駅へと通じる車道もなければ歩道もなく列車でしか行けない驚きの駅がこの小幌である。かつて「徒歩でも車でも行けない所なんてまるで秘境だよな」の一言で「秘境駅」という言葉が誕生したのもこの駅があったからだ。
後に秘境駅として認められたのはいくつか出てきたがこの小幌は他の追随を許す事はなく、いつしかついたニックネームは「キング・オブ・秘境駅」である。
ディーゼルカー約2両分の長さを持つホームだが下りホームは砂利とコンクリででき、上りホームは鉄板製と素材が違う。でも下りホームへ行くには警報機は鳴るが踏切がなく線路を横切って行かなくてはならない風変わりな駅だ。
駅前の大きな建物は保線作業員用の詰所や休憩所になっていて一般の人は入れない。その向かいにバラック小屋風の建物がありそこが小幌の待合室である。中に入ってみると印象に残ったものはストーブと薪で冬場はよく使っていたせいか待合室の中はススで汚れている。そしてベンチではなく2人くらい横になれるくらいのスペースが設けられていて誰かが生活をしている感じだった。室内は生活臭と言うよりかはどこか原始時代の様なにおいがした。
その待合室のさらに奥へと進んでいくと踏み分けた感じの獣道があり、その獣道を下っていくと海岸に出られる。この海岸も列車でしか行けないポイントとして知られている。海岸までは駅から徒歩5分位でいけるが傾斜が非常に急でかなり草が生い茂っているので海岸まで行くには履物と衣服には十分に注意して欲しい。
元々は信号場として開設されたが室蘭本線の複線化の線路の移設によって現在の所になったがその時も仮乗降場として営業を行っていた。その後も保線上の関係で必要不可欠にな事から駅として承認されている。
この日は隣の静狩から保線作業員が乗り込んできて小幌の駅構内の中線の線路の撤去作業を行っていたが、昨今の秘境駅の静かなブームや保線関係で今後も下車する人が絶えないであろう。
(2003.7.7)