宇部線の草江は無人駅としては珍しい、徒歩で空港にアクセスすることができる駅だ。駅から綺麗に整備された道路を真っすぐ進むだけだが、空港特有の広いロータリーの影響で思ったより距離を歩く感覚にとらわれてしまいがちではあるが、それでも所要時間は約10分、普通の人ならさほど問題はない距離だ。駅前には空港利用者を意識した宇部市の観光案内板も設けられている。

 草江は元々完全な無人駅という訳ではなく、駅前にあった西村商店がJRの代わりにきっぷを販売する、いわゆる簡易委託の形を取っていた。

 簡易委託そのものは全国的にも珍しくない形態だが、2010年にテレビ朝日の「ナニコレ珍百景」に投稿されてその日のMV珍になったこともある。しかし、2011年に西村商店は閉店してしまったが、現在はその影響が何もなかったかのように片面のホームが静かに頻繁に通り過ぎていく車を見過ごしながら電車を待っている。

 この時の私は青春18きっぷで三江線の駅訪問をメインとした旅をしていたが、旅行最終日は江津から山陰本線、山口線、宇部線と乗り継いで山口宇部空港から飛行機で帰るというルートを採った。せっかく山口に寄ったので、空港でお土産として獺祭を買おうかと目論んでいたが、空港に到着した夕方に売店をのぞいてみたら、殊のほか獺祭が完売しており、購入する作戦としては失敗していたことが分かった。この旅行において、いちばんの心残りとなってしまった。

                                                     (2017.3.28)

 
草江のホーム。宇部空港の最寄り駅だが狭い片面ホームの駅である。


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草江の駅前通り、駅から海側へ真っすぐ歩いていけば空港へ行ける。
空港からの利用者を意識しているのか、駅前には観光案内板が設置してある。
草江の駅舎。かつては近くの商店できっぷを販売していたが、閉店後は完全な無人駅となっている。
Kusae
草江