三角屋根の間に「中川」と強調するように駅名を表記している出入口を備えた駅、中川は単線区間の路線内に交換設備を設けた対向式のホームを持つ駅だ。駅のすぐ近くに「かわでん」という電気機器メーカーの工場がある。
三角屋根の横側にある入口を入るとその先には貨車を改造した待合室がある。山形の近郊ながらも室内に自動券売機はなく、乗車駅証明書を発行するオレンジの機械があるのみだ。北海道では貨車を改造した待合室は多く見られるが、本州では稀なケースである。
芸能界でも有名な鉄道ファンである中川家の礼二も、NHKの番組の企画で、この中川に途中下車をしているが、自分の名字の駅の簡素な佇まいに失望したのか、カメラが回っている中で終始ボロクソに文句を言っていたのがとても印象に残っている。
駅の近くには「かわでん」の工場の他に、酒屋が1軒開いていたので食料の買い出しをしてみたら、店頭で「りょうこく」という地元山形のパンを勧めていた。お店のおばちゃんも「おいしい」と言ったので購入をして、中川の貨車の待合室で食べてみた。米沢では電車の接続の関係で駅弁を買えずに空腹状態だったのと、田舎の静かな無人駅の雰囲気と合い重なって非常に美味に感じられた。駅の思い出は人それぞれだとは思うが、自分的な中川の思い出は「りょうこく」のパンの存在を知ったことだった。
(2017.8.28)