米坂線の起点駅である米沢から、市街地を避けるように時計回りに半周してたどり着く駅。それが西米沢である。やや古めの大きな駅舎があって、駅員がいても違和感がなさそうな駅ではあるが、ホームに立ってみると、撤去されたレールの跡や、使われなくなった反対側のホームが残されている。西米沢の西側の風景は市街地とはかけ離れたのんびりとした田舎の風景が広がっているところが、駅の衰退化と重ね合わせてみると、どこか悲しい気がする。
近年はどの駅においても、JR仕様の駅名標が目立つようになって来ているが、ここは駅舎の所にかつての国鉄時代の駅名標が残されている。それを見てみると、今泉方面の隣駅は本来は成島ではあるが、駅名標は中郡になっている。これは成島の開業が昭和36(1961)年と後になって開業したために急遽カッコ書きで付け加えたという名残であろう。
無人化すると駅事務室が使われなくなって、小さな簡易駅舎に建て替えられるのが世の常ではあるが、ここでは囲碁将棋同好会の「ゆうゆう」というグループが使われなくなった駅事務室を借りて使用している。
カーテンの隙間から中をのぞいてみると、囲碁の板や碁石の入っている入れ物があるのを確認した。囲碁は年配の方がやるものというイメージが強く、ルールを知らずに育ってきたのだが、近年は漫画「ヒカルの碁」の影響で、若い世代や世界中の人にも囲碁が浸透していると言う。
ここ西米沢の「ゆうゆう」でも、子供たちが囲碁をやっているか聞いてみたかったのだが、「ゆうゆう」の活動時間が午後なのに対して、私の訪問は朝。活動の様子を確認しないまま、次の列車に乗り込んで西米沢を後にした。
(2007.7.19)