1970年代になると、踏切を無くして高架やトンネルといった、高規格の新路線がお目見えするようになる。鹿島臨海工業地帯の開発に伴って1970年に開業した鹿島線の延方は島式ホームを持つ高架駅である。
高架で立派な建物には見えるが、階段を下りると改札口はなく、今は使われていない、きっぷ売り場と思しき小さな小屋がある。階段は2つあるが、鹿島神宮寄りの方は閉鎖されている。またホームのアスファルトに割れ目が出来ているなど、ちょっとくたびれた感があるのは小さな無人駅であることの哀しい宿命であるかのように感じてしまう。
駅から徒歩数分にある国道にはコンビニがある。そしてその国道の交差点の入口には「白鳥の里」と掲げられたアーチが建てられている。高架である延方のホームから見える北浦は、白鳥の越冬地として有名になっているようで、実際に駅入口にある駅名板にも白鳥が羽ばたく姿のイラストが描かれている。
北浦に近いということは、水辺のために当然風が強い地域であり、延方の高架下にはガラス張りの待合室がすっぽりと収められているようにして造られている。これは風の冷たい時期にはけっこうありがたい設備である。
延方と鹿島神宮の間には長大な北浦橋梁がある。単線であるがゆえに、まるで水の上を走り抜けていくスリルは鹿島線最大のハイライトである。
(2016.3.18)