日高本線の駅の中で最も海に近いのがこの大狩部で、ここ最近では牛山隆信氏の「もっと秘境駅へ行こう!」に掲載された駅としても有名である。ホームはキハ40のディーゼルカー1両分丁度といった感じで短く、ホームより少し高台にある待合室はブロック塀で造られたもので、太平洋から吹いてくる強い海風でもビクともしない頑丈さを持っているが何となく無機質な感が否めない。

 夏場は草が生い茂っているが、冬は草が枯れ、雪も風により吹き飛ばされてなかなか積もらず地面がむき出しになっている景色は寂寥感そのものである。かつて大狩部はTBSで放映された「女囚塀の中の女たち」のロケ地にも使われたそうでその記念の看板が駅名標の横にあり、主演の泉ピン子の名前がいちばん印象に残る。私は2年前に日高本線に乗車しており、その時に最も印象に残ったのがこの大狩部で「女囚塀〜」の看板を見た時もドラマの設定、ロケーション、そしてピン子さんの囚人服を着て寂しそうな表情をするのが頭に浮かび、とても似合っていると感心してしまう位だった。

 そんな寂しい感じがする大狩部だが、駅前の国道下のトンネルを抜けると小さな道路沿いに何軒もの民家がある。中には築5年も経っていない様な外壁がきれいな民家もあった。また自宅の庭に畑を造る家もあり、庭のない都会では考えられない光景だと思った。

 日高本線と言えば国内でトップクラスのサラブレッドの産地としても有名だが、大狩部の駅の近くを歩いて見ただけでも2軒のサラブレッドの牧場を発見した。

 トンネルを抜けるとそこは別世界と言うメルヘンチックな話もあるが、大狩部の待合室のすぐ近くにあるトンネルも殺風景な雰囲気の世界から生活の息吹を感じる世界へと変貌する様はまるでお話の世界みたいだった。

                                                           (2003.7.9)
 
Okaribe
大狩部
大狩部の駅名標の裏側とドラマのロケ地の表示板


ホームに戻る
路線別リストに戻る 都道府県別リストに戻る
大狩部のホームと目の前の太平洋
国道側から見える大狩部の待合室
大狩部のホーム全景