折渡は元々は信号場として開設されたが、国鉄が分割・民営化される直前の昭和62(1987)年3月31日に正式な駅として昇格された。ホームは3両編成の電車が入るくらいの長さではあるがその4分の3ほどが鉄パイプの支えと板を張った仮設ホームの様な感じで元のコンクリで造られたホームは1両編成の電車でもはみ出てしまうくらいの短さである。
駅は谷間にひっそりとした所にある小駅といった趣で、羽越本線の駅の中でも独特の雰囲気を持っている。今でも一部の普通電車が通過してしまい、停車する電車は1日に上下線合わせて9本しかない。
待合室は2つあり、下り側にある信号場時代からの建物と最近造ったと感じる建物がある。どちらの待合室にも石油ストーブが置いてあり、灯油も常備してあるので取扱と火の元に注意さえすれば暖かい電車待ちが望める。ただ下り側にある方がストーブのほかにも応接間に使うようなソファーや水道がついていて快適である。近くの県道にはジュースの自販機があるので、駅寝に向いてそうな感じがしないでもないが、入口には「警察官立寄所」のステッカーが貼られてある。
この折渡では平日に地元の人がこの駅の乗降客の調査を行っており1日調査を行えばお金がもらえる様でちょっとしたアルバイトといった感じである。ただ1日停車する電車が9本しかないので、四六時中駅に張り詰めている訳ではなく電車の停車時間が近づく頃に車で駅にやって来て乗降客の調査を目視している感じだった。私が折渡から電車に乗った時も調査員(いかにも自営業といった中高年者であるが・・・)が見ており、その日の利用者の一員になってしまったのかなと思った。
(2004.1.19)