親不知は北陸路では最大の難所として名高い、親不知の険に近い駅である。この辺りは北アルプスの北端に位置し、最後は海の水で削られた形の断崖絶壁を成している。
昔の旅人はこの断崖の下の海岸沿いを歩き、襲いかかる荒波に親は子を忘れ、子は親を忘れるほど夢中で走り抜けなければならなかったと言う。親不知の名の由来となったのは、平頼盛の夫人が夫を慕って愛児と共にこの難所に差し掛かったが、その愛児が波にさらわれて帰らぬ人となり、深い悲しみの中で
親しらず 子はこの浦の波枕 越路の磯の あわと消えゆく
という歌を詠み、以来この難所を親不知・子不知と呼ばれるようになった。
親不知の中心である天険まではこの駅から徒歩で1時間、隣の駅である市振からでも所要時間は同じである。また北陸自動車道が開通して親不知にインターチェンジができ、道の駅「親不知ピアパーク」も設置され、観光にも力を入れているのが感じられる。ちなみにこの道の駅は親不知の駅から徒歩で10分くらいの所にある。
駅は海沿いにあるのだが、海の方を見てみると国道8号線と北陸自動車道が海の上を突き出すようにして造られており、景観があまり良くない。さすがに地方になると便利さの点では車の方が上で鉄道が犠牲になってしまうのかなと感じてしまった。
(2003.10.9)