札沼線の開業時から、そのまま残っていると感じさせる小さな駅舎がある札比内。構内は駅舎側の線路が剥がされて棒線駅となった砂利敷きのホームがあるだけの駅だ。ホームからは石狩川の恩恵を受けた田園の風景が非常に美しい。
トイレが設置されていない事の方が多い北海道の無人駅だが、古い駅舎の横に別棟でトイレが造られている。古い駅舎と近代的なトイレというコントラストがユニークな所も、ある意味個性と言うべき所ではある。それでもトイレの方は空調設備が備わっている上に洋式できれいなため、旅行者にとっては非常に助かる。
また多くの無人駅において出札窓口が板などで塞がれてしまうケースが多い中で、札比内はその窓口がきちんと残されている。現在は駅舎内できっぷの販売は行われていないが、窓口には国道を挟んだ向かいの薬屋で
豊ヶ岡までの乗車券のみ販売している、いわゆる簡易委託であり、札沼線でこの形式を採用しているのは、この札比内だけである。
駅前の薬屋は築年数もだいぶ経っている古い建物で一見営業していないかに見えるが、閉まっているときはシャッターが下りている時なので、そこだけ見ればいい。店内も陳列が少ないが、乗車券は真新しい綺麗なものが用意されていて、きっぷマニアにとっては貴重なスポットとなっているのであろう。しかし、きっぷを買うときに千円を出したら釣銭がないと言われて、わざわざ近くの自販機でお金を崩したので、きっぷを購入する際には170円、きちんと用意することをお勧めする。
(2018.9.2)