秋田新幹線のために改軌される前は特急「たざわ」のために電化された田沢湖線。新幹線の開通後は普通列車も電車化されたが、オールロングシートが主流となっている701系は、田沢湖線ではセミクロスシートとなっており、北東北の電化路線としては今でも異彩を放っている路線である。

 そんな田沢湖線にある秘境駅、刺巻は平屋のログハウス風の駅舎に2面2線の対抗式ホームという構造となっている。小さな駅であるが故に、新幹線は当然高速で通過していく。秘境駅とは言うものの、駅から数十メートルくらいの所に民家があり、真ん前の国道は車がよく通る。しかし駅の裏手は原生林かつ湿地帯という土地のため、駅周辺に居住スペースが少ないというのが正直な感想だ。

 駅舎側の駅名表示の所や駐輪場にはミズバショウが描かれ、待合室となっている駅舎内にもミズバショウの写真が展示されている。ミズバショウの名所となっているのは、ここから大曲寄りの約1キロ離れた所にある刺巻湿原だ。

 刺巻湿原のミズバショウは4月~5月が見ごろとされているが、3月下旬というオフシーズンの時期に湿原に行ってみた。湿原内を歩き回るために重要な役割を果たす木道の上にまだ雪が残っている場所があって歩くことが出来ないため、さすがに駐車場には車が1台も停まっておらず、立ち寄る人は誰もいなかった。しかしながら、残雪で人が近づけそうにない場所には、ミズバショウが咲き始めている箇所があった。まだ寒い秋田ではあるが、春は確実に近づいていることを教えてくれているようだった。

                                                             (2022.3.29)

刺巻の駅名表示の所にはミズバショウの挿絵が描かれている。


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刺巻の駅舎。平屋のログハウス風の建物になっている。
Sashimaki
刺巻の観光ポイントとなっている、刺巻湿原にはほんの少しだけミズバショウが咲いていた。
刺巻の駅舎内に展示されている、ミズバショウの写真。
刺巻は田沢湖線内の駅であるがゆえに、新幹線が高速で通過していく。
刺巻の下りホームと待合室。駅裏は湿地帯となっていて、人が住めるような環境ではない。
刺巻