新幹線はおろか、高速道路もなかった昭和の長野市周辺。そんな時代にスキーをしにバスで志賀高原に向かう道中に見かけた無人駅、それが飯山線の立ヶ花だった。
千曲川の左岸に位置する立ヶ花だが、その地名は駅のある長野市ではなく対岸の中野市に由来し、実際に利用者は中野市民の方が多いというのが実情だ。長年その鍵を握っているのは、駅よりも一段高い位置にある立ヶ花橋である。
駅の真ん前を通る旧道こそ、今では信じられないと思われるがかつてのメインルートであり、かつてはこの旧道から立ヶ花橋が架かっていた。しかし橋の老朽化に加えて、我が国最長の川であるが故に冠水災害に弱かったため、時代が昭和から平成に変わった時期に橋の付け替え工事が始まり、1995(平成7)年に現在の立ヶ花橋が竣工して開通、これは1998年の長野オリンピック開催における先がけとも感じ取れた。
今では立ヶ花橋が線路よりも高いところに造られ、その橋の先に高速道路のインターチェンジがあるので志賀高原へ行く際に立ヶ花の駅前を通ることはなくなった。それでも立ヶ花橋は駅を使う中野市民だけではなく、車を使う長野県民にとっては非常に重要な橋とも言える。
(2023.3.13)