宮川沿いにある角川は今は飛騨市に編入されてしまった河合村唯一の駅だった。かつては交換可能な駅だったが、2004年の台風23号による被害で運休になり、2007年の全線復旧時に下りホームの線路が撤去されて棒線駅となってしまった。さらに2010年には木造駅舎からトイレのない小ぢんまりとした駅舎に建て替えられた。トイレに行きたい場合はすぐ近くにあるバスの車庫内にあるものを使うことになる。
駅舎は変わってしまったが、ホーム上にある木造の待合室は現在も残っている。ベンチには座布団も敷いてあるので、こちらの方がローカルな雰囲気を感じながら列車待ちができるかも知れない。
最近の角川の魅力は駅ではなく、橋を渡ってすぐの所にある落合のバス停だ。2016年に大ヒットしたアニメ映画「君の名は。」では、主人公の立花瀧がヒロインの宮水三葉が住む飛騨の湖畔にある架空の町、糸守町を探すものの見つからずに途方に暮れてしまうシーンに登場したのがこのバス停だった。
実際には落合のバス停はすでに廃止されてしまっているが、バスの運行区間は自由乗降が可能なため、運転手に降りる旨を伝えれば下車することができる。
バス停の待合室の中は「君の名は。」のポスターやイラスト入りの周辺の観光マップ、駅の駅ノートと同じようなファンノートが置いてある。ノートの書き込みを見てみると映画の反響は大きく、何度も見たとか、作中内に登場した飛騨市内のスポットに行ったという、いわゆる聖地巡礼をして来た熱心なファンが結構いることが印象に残った。
(2016.11.26)