この内名は牛山隆信氏の著書、「秘境駅へ行こう!」に掲載された駅として知られている。駅のまん前には農家が1軒あるのみで背後には竹林が視界を遮っていて本当に秘境間が漂っている。
駅の出入口辺りには傾きかけているキップの回収箱があり、傾きと錆びの様子から見てあまり使われていない印象がある。
駅前の急な坂道を下って間もなく少しばかり視界が開けてくる。その平地のほとんどは田んぼでその中に民家が8〜9軒あると言った感じである。そんな民家も駅からはいちばん近い所で5分〜10分以上も離れているので、この内名の駅まで行ってまで列車でどこか行くよりも車を使ってどこかへ行った方が手っ取り早いと言った感じの農村の風景ではある。
そんな山間の田んぼの多い集落に朝霧がかかったりすると「まんが日本昔話」の世界を醸し出してしまうくらいのどかな所である。
もともと誰もいない静かな駅なので、ホームからは竹林のちょうど背後にある成羽川のせせらぎが聞こえてくる。
「秘境駅へ行こう!」にも載っていた屋根がなぜか大きいトイレは今でも健在である。立地的には駅寝ができそうだが、待合室にはドアがなく吹き抜けになっているのであまりお勧めできる環境ではない。駅寝をするならば風や虫を覚悟する必要がある。
この辺りの芸備線の沿線は中国山地の中を走り、線内でも本数がいちばん少ない線区ではあるが、雰囲気は最高である。
(2003.3.26)