障害持つ息子と母の「職業訓練所をたずねて三千里」 |
|||||||||
ヒョンさんには精神遅滞障害2級の息子(20)がいる。幼い時に交通事故で頭を怪我してから言葉と左半身が不自由になった。京畿(キョンギ)道・広州(クァンジュ)に位置するサムユク・リハビリセンターの高校課程の修了をひかえた息子はコンピュータープログラムを学びたがっていた。 ヒョンさんは息子を連れて身体障害者職業訓練学校を訪ねた。しかし社会への「第一歩」は挫折と失敗の連続だった。 昨年12月、ヒョンさんは城南地域の身体障害者の職業訓練を担当する福祉館のなかで、IT(情報技術)関連の教育プログラムを運営している所を人づてにあたってみた。しかし息子のような重症の障害者を対象にIT教育を行っている機関はなかった。 「3年前からコンピューターの勉強だけに専念し、今では文書の作成やインターネットからファイルをダウンロードすることもできるようになった息子としては、これまでの努力が徒労になってしまいましたが、仕方ありませんでした」 これ以降、ヒョンさん親子はコンピュータープログラムの職業訓練を受けることは断念し、電気製品の組み立て技術を教える城南のK福祉館とS福祉館を順番に訪問した。しかし福祉館側は「左手の使用が困難であるため、この福祉館のプログラムは不適合」という返事だった。 そんなことをしているうちに2カ月が過ぎた。ヒョンさんは寄宿舎の生活をしたがらない息子を説得し、京畿道・広州にある某職業訓練学校を訪ねた。この職業訓練院は息子の希望していたIT教育の課程もあったが、息子のような重症身体障害者のためのクラスはなかった。 ヒョンさんは電子機器の組み立て技術の課程にでも息子を入学させて欲しいと頼み込んだ。なんとか入学許可は受けたが、息子は1週間で自宅に戻ってきた。「蝋づけや電気を扱う細かい作業もあるので、左手の使用が困難な障害者には不可能」というのが学校側の説明だった。 今年3月には息子を連れてソウルのS福祉館が運営する身体障害者職業訓練所を訪ねた。衣服のクリーニングなど簡単な技術を教えるところだったが、既に定員が超過していた。待機者の名簿に名前を書いたが、福祉館側は「待機者の中には2年待っている人もいる」とした。 ヒョンさん親子はだんだん焦ってきた。「20歳の成人がいつまでも親に頼って暮らすことはできない」と働きたがる息子の要求に焦ったヒョンさんは、自閉症者を教育する機関に息子を預けた。 しかしこれも失敗に終わった。「職業教育」を望む息子に「自閉症治療」に重点を置いた教育プログラムは合わなかった。入学から2カ月で息子は家に戻ってきた。 「息子も私も疲れ果てましたが、諦めることはできませんでした。再び他の教育施設を探しました」 ヒョンさんは今年6月末、重度身体障害者のための職業訓練プログラムを運営するソウル市内のC福祉館をたずねた。相談日を決めるのに1カ月もかかった。テストを兼ねた5日間の教育後、福祉館側は「教師1人が10人の重度身体障害者を管理している実情だが、息子さんの状態は教師かボランティアがつきっきりで面倒を見る必要があり、難しい」と伝えてきた。 保健福祉部が身体障害者の職業訓練施設222カ所を通じて雇用している重度身体障害者の数はわずか7000人あまり。施設への入所を待つ重度身体障害者は2万人を越えると福祉部関係者は推定している。 ヒョンさん親子はこのうち5カ所を回るのに、およそ7カ月を要した。息子の適性に合う訓練施設を見つけることすらできずに。ヒョンさんは「これからどれだけ待たされ、入学前のテストで拒否されるのかわからない」と述べた。 ある身体障害者団体の関係者は「身体障害者職業訓練施設も財政的に劣悪な状況で、就業などの“実績”を出さなければならなず、訪れる身体障害者の中でも相対的に障害の程度が軽い人を選んで受け入れているのが現状」と語った。 「障害者の電話」の金ソヨンさんは「重度身体障害者を対象にした職業訓練プログラムは、需要に比べて供給があまりに少ない。職業訓練所の待機者リストに登録し、いつとも知らず待ち続けているという相談の電話が多く、胸が痛む」と述べた。 廉康洙(ヨム・カンス)記者 |