宿泊拒否理由 アイスター秘書室長が元暴力団員に例え説明
阿蘇郡南小国町の「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」が国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園(菊池郡合志町)入所者の宿泊を拒否した問題で、ホテルを経営する「アイスター」(東京)の秘書室長が昨年十二月、同社に抗議した支援者に対し、入所者を元暴力団員に例えて「他の宿泊客に被害者意識を持たせる」などと宿泊拒否の理由を説明するメールを送っていたことが五日、分かった。
メールを受け取ったのは大阪市在住の大学生の男性(20)。同社の平田哲哉秘書室長が昨年十二月五日に送付した。メールで、宿泊拒否について「元暴力団の方たちであってもお断りしている。社会通念上、一般の方たちとの何らかのトラブルが起こる可能性がある場合、旅館業としてとるべき責任」と説明した。
この男性が「例えが不適切」と返信すると、平田室長が翌日メールを送り、「そうは思わない」とした上で、「元暴力団員となると、他の宿泊客には無言の威圧感と、危害を加えられるのではという恐怖心を感じさせる。つまり被害者意識だ。ハンセン施設の方々の宿泊にその他のお客が感じるのは、やはり、感染するのではないかという被害者意識だ」と重ねて主張した。
また、県と熊本地検が処分を検討している旅館業法違反容疑についても「旅館業法は県側がアイスターを告発する際に持ち出した単なる武器。実際、法を確実に守って運営している旅館がどれだけあるか疑問」としている。
平田室長は、今月五日の取材に対し、「私がそう思ったから書いた。法務局の社内研修は受けたが、(入所者から)病気がうつるかどうかは、今も分からない。(元暴力団の例えが)常識外れと言うのならば、私に常識がないのだろう」と答えた。
これに対し、恵楓園入所者自治会の太田明会長は「入所者が暴力団のような反社会的存在というのだろうか。人権意識が欠落した企業としか思えない」と話した。