西日本新聞報道記事
ハンセン病宿泊拒否 入所者を元組員扱い アイスター理由説明で例示

 熊本県南小国町の温泉ホテルによるハンセン病宿泊拒否事件で、ホテルを経営する化粧品会社アイスター(東京)が昨年十二月、事件に関する抗議に対し、ハンセン病療養所入所者を暴力団の元組員に例え、宿泊拒否を正当化する説明をしていたことが六日分かった。

 抗議をしたのはハンセン病問題で支援活動をしている大阪市在住の大学生の男性(20)。男性が手紙で同社に「宿泊拒否は人権侵害だ」と抗議したところ、昨年十二月五日、同社の秘書室長からインターネットのメールが届いた。

 メールは「元暴力団の人たちであっても(宿泊を)お断りしている。社会通念上、一般の方たちとの何らかのトラブルが起こる可能性がある場合、旅館業としてとるべき責任」と弁明していた。

 男性が「例えが不適切」と指摘すると、秘書室長は「そうは思わない」とメールで反論。「元暴力団の方からは無言の圧力と何らかの危害を加えられるのではないかとの恐怖心を感じさせる。つまり被害者意識だ。ハンセン病施設の方々の宿泊に、その他の客が感じるのは、感染するのではないかという被害者意識だ」と説明した。

 男性がさらに皮肉を込めて「ならば入所者をアパルトヘイトのように再び隔離するしかないですね」と批判したところ、「そうですね」との返信もあったという。

 国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」(熊本県合志町)入所者自治会の太田明会長(60)は「あらためて人権侵害の本質を反省していない会社の姿勢が分かった。人権研修など本当にしたのかさえ疑問だ」と憤っていた。

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