ろうあ児施設における性的虐待報道
読売新聞編
第一報 2003年12月8日
都内ろうあ児施設で少女に性的虐待、職員を懲戒解雇

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 東京都葛飾区のろうあ児施設「金町学園」で、男性職員が女子入所者に性的虐待を繰り返し、懲戒解雇されていたことがわかった。

 都は週明けにも、施設を運営する社会福祉法人「東京愛育苑」(高柳博子理事長)に検査に入る方針。金町学園にはすでに、別の体罰事案で調査改善委員会が設置されている。児童福祉施設で相次いで明らかになる虐待に、施設管理のあり方が問われそうだ。

 性的虐待を繰り返していたのは30代の男性職員で、3年ほど前から施設内で10代の女子入所者の胸をさわるなどの行為を繰り返していたことが、この女子から相談を受けた別の入所者の訴えで発覚した。

 男性職員が事実を認めたため、東京愛育苑は11月末に懲戒解雇し、都に報告した。事態を重くみた都は詳しい事実関係を把握するため、立ち入り検査に入る。東京愛育苑では「詳しいことは調査中で、現時点ではコメントできない」としている。

 金町学園では今年8月、児童の1人が施設内で職員から体罰を受けたと都に訴え出たため、都は10月、東京愛育苑に弁護士や学者ら第三者による調査改善委員会を設置し、事実関係の解明と改善策を報告するよう求めたばかりだった。

 金町学園は1948年に設立され、全国に15か所あるろうあ児施設の1つ。首都圏では唯一のろうあ児施設で、5歳から20歳まで、聴覚に障害があって言葉がうまく話せない子ども二十数人を都内や神奈川、千葉などから受け入れており、施設の運営などにかかる費用は、国から支給されている。

 児童福祉施設では、3年前に千葉県の児童養護施設「恩寵園」で元職員が強制わいせつなどで逮捕されたほか、昨年11月に茨城県の児童養護施設「筑波愛児園」で園児に虐待をしていた職員が懲戒解雇されるなど、これまでもたびたび虐待が明るみに出ているが、表面化するのは氷山の一角にすぎないとの見方もある。

 「日本子どもの虐待防止研究会」理事の平湯真人弁護士は「施設内での虐待が相次ぐ背景には、恒常的な人手不足や、親代わりなので何をやってもいいという誤った認識を職員が持ちがちという構造的な側面もある。体罰の禁止や施設の責任者の資格を法律に明記し、職員の研修も充実させるなどの対策が必要」と指摘している

第二報 (2003年12月9日)

「金町学園」運営法人、女子入所者への性的虐待認める

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 東京都葛飾区のろうあ児施設「金町学園」を運営する社会福祉法人「東京愛育苑」は8日、「反社会的な行為があった。深く反省している」とし、職員が女子入所者に性的虐待を繰り返していたことを初めて認めた。

 小林尚武事務局長は「都の指導や調査改善委員会の結論を待って、施設の改革を進めていきたい」と話した。

第三報(2003年12月9日)
東京都、性的虐待「金町学園」に立ち入り検査

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 女子入所者に対する性的虐待が明らかになった東京都葛飾区のろうあ児施設「金町学園」と、施設を運営する社会福祉法人「東京愛育苑」に対し、東京都福祉局の職員13人が9日午前9時50分過ぎ、児童福祉法などに基づく立ち入り検査に入った。

 都のこれまでの調査によると、金町学園の34歳の男性職員(先月末に懲戒解雇)が今年6月ごろまでの約1年半にわたって、学園内で10代の女子入所者の胸を触るなどの行為を繰り返していた。このほか、学園では「しつけ」の名目でほかの入所者に体罰が行われていた可能性もある。

 また、この施設の入所者は聴覚に障害があるため、職員とのやり取りは手話で行われているが、職員の手話能力が低く、コミュニケーション不足が生じているとの指摘も出ている。このため立ち入り検査では、職員に対して手話などの研修がどの程度実施されているかについて聞くほか、法人の理事会議事録や職員の出勤記録なども調べ、施設が適切に運営されていたかどうかについてもチェックする。

 都は検査結果を踏まえ、具体的な項目を挙げて法人に文書で改善を求める方針。


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