甲府市支援費制度
支給ミス報道2

下水道料8000件徴収漏れ 甲府市


未処理が見つかった登録データベースの入力画面。下水区分の項目にチェックを入れるだけで登録作業は済む=甲府市役所南庁舎で
  甲府市下水道部が00年度から02年度にかけて、届け出があった数千件の下水道新規利用者の登録をしないまま放置し、利用料を徴収していなかったことが21日、分かった。当時の担当だった職員(29)は障害福祉課で昨年12月に発覚した支援費の未支払い問題で、登録作業を怠っていた同じ男性。市幹部は「個人の怠慢が原因で考えられないこと」と話すが、チェック体制がない役所内の管理のずさんさが改めて浮かび上がった。

  市下水道部などによると、新規利用希望者の届け出で配管工事を始め、完了すると「工事完成届」が担当職員に届く。職員は上下水道利用者データベースの画面に、下水道を利用しているかどうかを示す「下水区部」の項目にチェックを入れて登録する。登録が済むと料金の徴収が始まる。指導を受ければすぐできる簡単な作業で、1件の処理に1分もかからないという。

  男性職員は00年4月に同部経営計画課に異動し、登録を担当していた。作業状況を定期的に報告する体制はなく、利用料が増えていないことを問われても「市民が節水に心がけているからではないか」などと答え、未処理のことを伝えていなかった。

  男性職員は03年4月に次の担当者に引き継ぎしないまま、障害福祉課に異動。支援費の担当となった。昨年12月に支援費問題が発覚後、下水道部が調べたところ、大量の未処理の書類が見つかっったという。

  同部は現在、未処理の件数や期間などを調査している。詳細は調査の後でないと判明しないが、市長周辺によると未処理件数は8千件程度という。すべてが平均利用額としても6億円以上が未徴収の計算になる。

  男性職員は「何が原因か」「責任は感じているか」などの朝日新聞の取材に対し、うつむいて表情を変えないまま、一切答えなかった。

  下水道部はこの日、05年度からの下水道料金の値上げについて、宮島市長と協議する予定だったが、未処理の発覚で協議は中止。宮島市長は臨時の部局長会議を開き、業務の再点検などを指示した。
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