◇再三の“SOS”生きず
長男(29)と次男(24)を自宅内で殺害したとして17日、相模原市上鶴間、無職、吉本やす子容疑者(57)が殺人容疑で逮捕された事件で、吉本容疑者が保健所や交番などに持ちかけていた相談は先月中旬から3週間余りで計9回に上っていたことが相模原市や県警の調べで分かった。再三の“SOS”は生かされることなく、最悪の惨事を招いた形だ。
市によると、吉本容疑者は先月13日に保健所を訪れ「クリニックへ長男のことを相談したら入院が必要と言われた。入院を考えたい」と相談。保健所側は「入院を含めた受診が必要」と病院への相談を勧めた。同21日は吉本容疑者自身が「不眠が続き具合が悪くなった。精神科受診を考えたい」と訴え、同26日に近くの病院で投薬治療を受けたという。
さらに長男を入院させるにあたり、次男を障害者一時預かりなどの施設に入所させたいと南保健福祉センターにも相談。同29日と今月7日に施設の見学までしていた。
市保健所の江森静子保健予防課長は「支援の要請を受けていながら、こういうことになったのは気の毒で残念」と話した。同課とセンターの間で情報の連携はなかったという。
また県警によると、吉本容疑者は先月21、25日の計2回、相模原南署東林間交番に「長男が暴れる。どうしたらいいか」などと相談していた。交番側は「暴れたら110番を。措置入院もある」と対応したという。【山衛守剛、高橋和夫】
毎日新聞 2008年1月18日