蘇州から上海、市バスと地下鉄で
岡部一明、2015年11月
上海の郊外、蘇州に居る。「東洋のベネチア」と言われる運河の街だ。
約100キロ離れた上海まで高速鉄道(新幹線)で25.5元(480円)だというが、市バスと地下鉄で行けばもっと安いのでは、と例の悪い考えが出て、ある日試した。
なしにろ、中国の市バスは1元(19円)〜2元。地下鉄も普通、初乗り2〜3元だ。特に上海の地下鉄は延長が進み、他省にも伸びはじめている。安旅行専門家?として血が騒ぐ。
上海都市圏は、世界で最も日本人滞在者が多く(約5万人)、その中で最も多いのが上海市、次が蘇州市らしい。両都市間を移動する日本人が多いだろうから、具体的な情報を紹介するという姿勢で書いてみる。
「東洋のベネチア」と言われる蘇州
上海 バンド地区の歴史的建築
蘇州・観前街から地下鉄に
出発は蘇州の地下鉄臨頓路駅。街の繁華街、観前街近くの駅だ。出発点として適当だろう。
地下鉄1号線で終点の鐘南街駅まで約30分、4元(700円)。降り
たら2番出口から外に出て、市バス111番に乗り換える。(ここでは漢字を日本式に書くが、現場では簡体字なので注意。)
市バスを乗りこなすには、バス路線が載る市街地図が必須。しかし、蘇州出発の時点で、上海市との中間にある昆山の地図を持っていなかった。蘇州の本屋、駅のキオスクなどを探したがない。主要都市でない街の地図は、他の町ではなかなか買えないものだ。
昆山方面に行く市バスはわからないが、蘇州市街地図上で、111番バス路線だけが昆山方面に抜けることがわかったので、これを試したわけだ。
蘇州市バスの停留所(今回のルートでは使ってない場所)
正儀鎮で蘇州市バスから昆山市バスに乗り換え
111番バスに約40分ほど乗り(1元)、「南橋」停留所で下車。昆山市バス126番に乗り換える。
後で確認すると、この「南橋」周辺は昆山市正儀鎮だった。蘇州・上海間は経済発展が進んだ地域で、立派な道路、高層マンション街、近代的工場地帯などが続くが、この正儀周辺だけは、古い貧しそうな村落だった。
この辺では、蘇州市バス111番と昆山市バス126番は並行して走るので、どこで乗り換えてもいい。しかし、上記「南橋」での乗り換えを薦める。古い
運河にかけられた橋のたもと。周囲に密集した村落や市場があり、趣がある。やはり、江南地方では、どこでもまず運河
近くに集落が発達したのだな、と理解できた。
なお、111番の終点、正儀バスターミナルまで行ってしまうと、126番のバスとの乗換えができなくなってしまうので注意。
「南橋」停留所近くの橋から
昆山バスターミナル
乗り換えた昆山市バス126番は立派な道路を走り、近代的な昆山市街地に入っていく。蘇州東部(工業園区)はシンガポールが大規模に投資した地域だが、昆山は、台湾企業が大規模投資した街として有名。中国でも一人当たり所得が最も高い街のひとつだという。
ここでも多様な乗り換えが可能だが、わかり易いのは終点のバスターミナル(南駅)まで行ってしまうこと。そこまで約1時間、1元。
(ここでは、旅慣れたようにスラスラ書いているが、実際は右往左往、失敗の連続で相当の時間ロスをしている。昆山の南バスターミナルでようやくバス路線付き昆山市街地図が入手でき、体制を建て直せた。)
南バスターミナルは昆山の長距離バス発着所だが、市バスはその立派な建物の前の停留所エリアに着く。すぐ近くのバス停の101番、花橋村行きに乗り換え
る。花橋村はまだ昆山市内だが、上海市の地下鉄(11号線)が乗り入れている。バス代は、高速を走るからか、3元とやや高い。ここでもやはり、わかり易さを優先して終点の兆豊路駅まで乗る。
上海地下鉄11号線を活用
兆豊路駅で上海地下鉄11号線に乗る。同路線は、郊外では地上を走る。南翔駅あたりで地下にもぐった。駅の間隔も郊外の方が長いようだ。
環状地下鉄4号線と乗り換えられる曹楊路駅まで50分、6元だった。上海と言っても広いので、地下鉄環状線の駅に着くまでを上海行き行程の最終地点と考えよう。
結局、かかった運賃は計17元(330円)。時間は、乗っている時間だけで計4時間、待ち時間を入れておそらく5時間程度だった。
実際には間違ったり、地図を調べ
たり右往左往し、昼ごはん休憩もしたので8時間はかている。
朝、蘇州を出で、上海に着いたのは夕方。いろいろ用を足して、帰りは高速鉄道にしようと虹橋の
高速鉄道駅に行ったのが夜10時頃。何と、すでに当日切符の販売は終了し、駅員も宿探しの世話をしていた。近くの高速バスターミナルも閉まって真っ暗。
ちょっと早いんじゃないの。
あきらめず、地下鉄2号線(比較的遅くまでやっている)で市内に戻り、在来線の上海駅に行ったら、ぎりぎり最終の11時48分発普通列車に間に合った。普通列車と行っても途中、昆山にしか止まらず、約90キロ先の蘇州に1時間で着いた。
勝負あり
高速鉄道の料金は25.5元(D系列列車、2等)と知っていたが、在来線料金はいくらなのだろう。興味深々だったが、硬座(2等)で14.5元(280円)。べらぼうに安い。
結局、市バスと地下鉄5時間の旅は330円。普通列車は直通で1時間280円。勝負あり。どちらをとるべきかは明らかだろう。
高速鉄道でも30分、 25.5元(480円)だから、十分、価格競争力がある。高速バスも1時間半50元(960円)だから、鉄道側の圧倒的勝利ということになる。
(中国の交通機関事情は変化が激しい。上記の「行き方実験」は2015年11月2日の記録であることをお断りしておく。)
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