2002年9月議会                戻る

《一般質問》


●議長(千葉満) 岩井友子議員。(拍手)

●岩井友子議員 質問いたします。

 最初に、日本共産党が7月から8月にかけまして、市民の皆さんに、市政に対してどういう要望を持っているのかというアンケートを行いましたが、そのアンケートに基づいて、幾つか質問をいたします。

 これまで市内から820通ほどの回答が寄せられています。アンケートの設問は、暮らし向きがどうなっているか、船橋市に特に力を入れてもらいたいこと、介護保険について、大規模開発や生活関連予算などについてどう考えているのか、こうしたことを聞きました。

 集計結果ですが、暮らし向きについて聞いた質問では、「よくなった」が6%、「悪くなった」が62%、「変わらない」32%というもので、不況に追い打ちをかけた政府の構造改革による乱暴な不良債権処理や、リストラによる失業の増大、医療改悪などの社会保障の切り下げなどが広範な市民の暮らしを直撃していることを示しています。

 28項目の選択肢から船橋市に特に力を入れてほしいことを選んでもらう設問では、第1位が国民健康保険料の引き下げ、340人、第2位が介護保険料の引き下げ、第3位は歩道の整備や生活道路の整備、第4位が公共料金の引き下げ、以下、特別養護老人ホームの整備、在宅支援の充実、雇用拡大、不況対策、こういう中身になっていました。

 年代別の傾向は、60代以上の方は介護保険料の引き下げ、国民健康保険料の引き下げが1位、2位になっており、50代以下の方は第1位が歩道の整備というもの、第2位が国保や公共料金の引き下げという内容になっています。市民生活が悪化する中で、市民負担を軽くしてほしい、危険な道路を何とかしてほしい、介護の充実など、日ごろ私自身が議員活動の中で感じてきた市民の要望が数字でも明確になったというふうに感じます。

 しかし、現実の市政は、今年度、がん検診の有料化、粗大ごみの有料化など、市民負担をふやし、歩行者の安全対策も市民の期待にこたえる水準になっているとは言えず、市民の声が尊重される市政への改善を強く願うものです。

 そこで、市長は、今の市民の生活の実態、市民生活の悪化をどういうふうに認識しているのか。その上に立って、今後の市民の税外負担をどう決定しようとしているのか。特に要望の強い国民健康保険料や介護保険料など、公共料金の負担軽減についてどう考えているのか。それから、要望の強い歩行者の安全対策ですが、議会でも繰り返し取り上げられてきていますが、市民の実感としては、船橋市がこの問題を重点課題として取り組んでいるというふうには感じられていません。従来どおりのテンポではとても解決しないと思いますが、この問題、どう取り組んでいくのか伺います。

 さらに、アンケートで具体的に挙げられてきた2つについて聞きます。1つは、法典西小学校の放課後ルームの設置場所の問題です。全学区に設置されたということでしたが、実は法典西小学校は、市長もご存じのとおり、法典西小の学区にはありません。学区外です。自宅から遠く離れたルームに通わなければならないということで、大変無理を来しています。夏休みに私も様子を見てきましたが、学校から20分ぐらいかかるところにルームがありますが、その学校まで20分、30分かかる子供の家、それを考えると、早急に学校内など適切な場所への移設が必要だと思いますが、現状についてどう認識しているのか、改善について伺います。

 もう1点は、丸山の道路問題です。法典東小学校前を通る市道とゴルフ場前を通る市道のT字路交差点ですが、駅へ向かう歩行者、自転車と地域内や通り抜け車両が集中する場所で、3年前には死亡事故も起きています。大変危険なところです。以前から信号の設置を要望してきましたが、なかなか具体的な動きになっていません。この改善にどう取り組むのか。さらに丸山は狭い道路に通り抜け自動車が入り込み、こうした危険な場所が少なくありません。道路の整備だけでなくて、一方通行など交通規制や信号機の設置など、現在の道路を利用した中での交通安全対策が必要ですが、住民任せにしない行政としての対策を求めます。あわせてお答えください。

 次に、住基ネットと市民の個人情報保護の問題について伺います。

 8月5日から住基ネットの稼働が始まりましたが、杉並区や横浜市のように接続を見合わせたり、選択制を取り入れる独自の判断で行動する自治体が生まれています。もともと住基ネットの導入を決めた3年前の国会では、個人情報の漏えいや不当な利用ということが問題になり、個人情報保護の法整備が実施の前提だとしてきました。ところが、今回の稼働は、法律の整備のないまま進めたものであり、政府みずからが国民の個人情報を危険にさらす違法なものです。

 同時に、住基ネットが個人情報保護の法整備を行ったとしても、絶対に情報が漏れないコンピュータのネットワークシステムは理論的にはあり得ませんから、全国規模のネットワークシステムと個人情報保護とは明らかに矛盾するというふうに感じます。

 さらに、11けたの住民票コードは国民を番号で管理していくものであり、今後 e-Japan構想や電子政府、電子自治体構想の中で、さまざまな個人情報が行政ネットワーク上で管理されようとしていることなど、人権侵害につながりかねない問題を含んでおり、私たち日本共産党は住基ネットの中止を求めております。稼働後、システムトラブルが各地で起こったり、セキュリティーに問題があり、200の自治体が総務省から、通常の業務の時間中の住基ネットの接続を遮断するよう指示されるなど、情報の漏えいの危険性が露呈しています。

 さらに、船橋市でも住民票コード番号の通知はがきが透けて見える情報漏えい問題が起こっていますが、番号を変更しても履歴が残る以上、住基ネットから離脱しない限り解決にはなりません。船橋市は稼働に当たって、セキュリティーの組織規定や管理運用基準などの策定やセキュリティー会議の設置など、セキュリティー対策をとったと先日の新聞では報道されていましたが、この対策は船橋市内部のトラブル対策であって、住基ネットで市民が一番心配している外部に接続することでの情報漏えいの危険を回避するものにはなりません。

 船橋市が住民基本台帳の個人情報を守るためには、接続によって市民のデータが流れるシステム全体のセキュリティーを責任を持って船橋市が確保するか、できなければ接続しないかのどちらかしかあり得ません。現状では船橋市以外のセキュリティーの確保は船橋市として責任は持てないのですから、住基ネットへの接続は切るべきです。総務省の乱暴なやり方に従って、市民の個人情報を危険にさらすのか、それとも市民の個人情報を守るため、自治体独自の判断を下すのかは、市長の決断ではないかと思います。そして、そのことを市民は注目をしています。市長から責任のある答弁をいただきます。

 次に、介護保険について伺いますが、今年度計画の見直しが行われています。介護保険実施の中で起こっているさまざまな問題を解決する、そういう見直しになるように何点か指摘しますので、見解を伺います。

 まず、アンケートのところでも紹介した介護保険料の、特に1号被保険者の保険料について、高齢者の悪化している生活実感に配慮して、政策的な保険料として引き下げることを求めます。

 この間、介護保険事業の総事業費は、第1期の介護保険事業計画と比べると、平成12年度、13年度とも低くなっており、14年度の予算でも低くなっています。このことは、基準額2,850円と定めたこの基準額が、事業費に比べて、実態に比べて高かったということを示しています。そして、その剰余分が基金として積み立てられています。13年度末で12億円程度になるでしょうか。最終的な決算は手元には来ておりませんが、この13年度末での剰余金、積立基金の数字をお聞かせいただきたいのと、その積立金を充当すれば保険料の引き下げができますので、そうしたお考えがないのかどうか、伺っておきます。

 2点目は、在宅サービスの利用限度額が低くて、限度内のサービスだけでは在宅生活ができない、この問題です。働いている娘さんと2人暮らしの介護度5の女性は、訪問介護、ヘルパーや訪問看護を利用して在宅で生活を続けていますが、限度額の3万6000円のほかに、限度額を超えて利用しているヘルパーや訪問看護料が22万円から23万円月々かかっています。10日間ぐらいショートステイを利用すれば、20万円ぐらいにおさまるけれども、なかなかいっぱいで利用できない。在宅はお金がかかります、というふうに娘さんはおっしゃっています。特別養護老人ホームなどの施設に入る方が安く済むが、本人は家がいいと言うから、何とかやりくりしているということでした。

 おとといも、在宅では半月で限度額を超えてしまい、超過負担はできないという所得の低い方は、リハビリを目的とした入院を病院に無理を言ってお願いをしました。

 限度額そのものの見直しを政府に求めるものですが、船橋独自でも事業計画の見直しの中で、通所介護などの限度額の上乗せを行って、介護保険の枠内で在宅生活が送れるような手直しをすべきだと思いますので、お答えください。

 3点目は、介護療養型のベットの深刻な不足問題です。この不足状態を解決するために、医師会とも相談し、船橋市としても特別な対策を講じるなど、保健福祉計画をみずから立てた、その目標に責任を持って対応を求めるものです。

 丸山の方ですが、静脈に栄養の点滴を受けている方がいます。病院からは、もう退院してほしいと言われているんですけれども、在宅では生活できないということで病院探しで転々としており、妻は病院探しと入院中の夫の世話でやつれ果てております。共倒れ寸前になっています。こういう市民がいるんです。介護療養型対応をどうするのか伺います。

 4点目は、介護保険制度が理解できない、なかなか難しいという、そういう市民の方々の問題ですが、前議会でも、また昨日もこの問題を取り上げた方がいらっしゃいました。私は基本的には在宅支援センターや地域担当の保健婦にもっと頑張ってほしいというふうに思っていますが、しかし、現在、地区担当保健師は、子供から障害者、お年寄りまですべてに目を配り、その上、健康教室などの事業も行っており、地区コミュニティーにたった1人か2人しかいません。こういう体制ではとても1人1人に目配せが行くような体制はとれないし、また在宅介護支援センターも委託料がどんどん減らされています。そのためにぎりぎりの職員数で、ケアプランの作成に追われて、地域の高齢者一般の対応する体制があるとは思えません。この間の答弁の中で、こうした地域ケア体制を活用するというふうに市は答弁していますけれども、本当に介護保険の活用を図るためには、この2点の改善をしなければならないと思います。

 それについてのお考えを伺って、1問とします。

[企画部長登壇]

●企画部長(菅谷和夫) それでは私の方から、市政に対する市民アンケートの結果ということにつきましてお答えさせていただきたいと思います。

 日本共産党さんが実施されました市民アンケートの結果、長引く不況のもとで暮らし向きが悪くなったというご指摘がございました。そのことについて、どのように考えているかというご質問でございますが、調査の結果につきましては、基本的にはバブル経済崩壊後、経済の失速、低迷、それに伴います企業の倒産、さらにはリストラによりまして、近年におきましては失業率が増加いたしまして、賃金自体余り伸びていないと、逆に減少しているということもございますので、そういったことから、ご指摘のようなアンケートの結果になったものではないかというふうに私どもは思料しているところでございます。

 このような中で、税額負担の軽減も考えるべきではないかというご指摘でございます。市といたしましては、市議会での皆さん方のご意見を初めといたしまして、市民意識調査、あるいは市政ポスト、さらには市政懇談会等と、さまざまな機会を通じまして、市民の皆さんのご意見やご要望をお聞きしているところでございます。これらを通じまして寄せられました市民の皆様からのご意見、あるいはご要望を真摯に受けとめまして、緊急に取り組まなければならない事業、あるいはその準備を必要とする業務等、十分見きわめながら、また市民の皆様のニーズを把握した中で、暮らし向きにも配慮いたし、限られた財源の中で、最少の経費で最大の効果を上げるべく今まで取り組んできたところでございます。今後もこれらのことも基本といたしまして、対応してまいりたいというふうに考えているところでございますので、ご理解いただきたいと思います。

 以上です。

[道路部長登壇]

●道路部長(涌井稔) それでは、道路問題に関します3点かと思いますが、ご質問にお答えいたします。

 まず第1点の、共産党さんがアンケート調査した結果におきます歩道の整備の要望が非常に強いということに対するご質問にお答えいたします。道路の整備が不十分であるというようなこと、歩道が非常に悪いというふうなことは私どものアンケート調査でも十分把握いたしておりますし、私どもも実感をいたしております。

 そういうことで、どこよりも先駆けてバリアフリーの精神に基づいて、歩道の整備をやっておるわけでございますけれども、残念ながら船橋全体の道路幅員が狭いこと、とりわけ歩道の幅員が大変狭いわけでございまして、そのバリアフリー化について一生懸命取り組んでおるわけでございますが、なかなか電柱等があったり、目に見えた感じでは進んでいないように見えますが、一生懸命に取り組んでいるわけでございます。

 そして、同時に、都市計画道路につきまして、いろいろご批判もされているわけですが、大半の都市計画道路は歩道の整備で、現道に歩道を整備するというような形で行っているわけでございます。そういったことも十分お考えをいただきたいと思っております。

 次に、丸山地区に関します2つの問題があろうかと思いますが、1つ、丸山4丁目の交差点の安全対策についてのご質問にお答えいたします。ここの4丁目3番地地先になろうかと思いますが、従前から信号機の設置をしてほしいということでご要望をいただいておりまして、交通管理者に私どもも要望いたしております。しかし、現況道路の幅員が大変狭いわけでございまして、人のたまり場所が狭いために、設置は大変難しいとの見解を交通管理者から示されております。したがいまして、信号機に代わります安全対策といたしまして、カーブミラーの設置、あるいはカラー舗装によります歩道の確保と申しますか、歩行帯の確保ですね、それから、横断歩道等の整備を行いまして、歩行者の安全確保に努めているところでございます。

 最後のご質問ですが、丸山地区全体についての安全の確保についてお答えを申し上げます。ご案内のように、丸山地区につきましては大変良好な住宅環境を形成しているところでございますけれども、私道、あるいは階段等を含みます狭隘な道路が大変多く見られる地域もございます。また、そういうことから安全で快適な市民生活を支える道路整備が大変大きな課題になっているというふうに私どもも認識いたしております。しかし、現実的には道路を広げることは大変難しい面がございまして、またハード面での改善にも苦慮しているわけでございますけれども、当地区のような地域ではソフトの政策、例えば路面の工夫によります走行速度の抑制、一方通行等の交通規制、あるいは車両進入の抑制、路上駐車の抑制など、いわゆる交通規制などを取り入れた安全対策などが効果的であろうと考えております。

 しかし、いずれにいたしましても、交通規制等につきましては、基本的には交通管理者と地元住民との合意が必要でございます。市が住民の場に入って説得してほしいというご質問でございますが、行政の力だけでは限界がございます。地域の熱意も大切でございます。利害や得失を乗り越えた地域に根差した連帯感のもとに、交通管理者及び関係機関と連携協力し、解決の方向を見出していきたいと思っております。

 以上でございます。

[福祉サービス部長登壇]

●福祉サービス部長(飯島和男) 法典西放課後ルームに対する現状認識とその対応についてお答えいたします。

 法典西放課後ルームは、当初、学校内への設置に向けて、教育委員会及び学校側と調整したわけでありますが、教室及び校庭内の活用が困難であったため、地元地権者の協力を得て、この事業のために設置していただいた施設を借用し、使用しております。兄弟で在籍していた2人の児童が、通いにくいという理由で退所したのが1件あるのは承知しております。施設の立地条件は確かに制約が多いのも事実でありますが、現場の指導員たちも運営面で努力しているところであります。当初の事情もあり、当面は現行施設で対応してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

[市民生活部長登壇]

●市民生活部長(渡来直治) 岩井議員のご質問にお答えをいたします。

 住民基本台帳の関係では、大変国民の皆様、それから市民の皆様方も、報道等によって不安等があると思います。先ほどの質問の中でもいろいろとおっしゃっておりましたけれども、ご承知のように住民基本台帳法は、行政機関個人情報の保護等の特別法でございます。本人確認情報、つまり住所、氏名、性別、住民票コード、これに伴う変更情報ということで、それぞれの行政機関が法律で規定されている事務の処理以外の目的のために、本人の確認情報を使うことは、利用することは禁止をされているところでございます。まして、行政機関同士でこの住民票コードの利用や名寄せにつきましては、一切してはいけないというふうに禁止されているところでございます。

 また、市区町村、都道府県、指定情報処理機関等、及び本人確認情報の提供を受けた行政機関のシステム操作者には守秘義務が課せられまして、通常より重い刑罰を科しているところでございます。2年以下の懲役、または100万円以下の罰金が付されると。したがって、住民基本台帳ネットワークシステムの制度面での個人情報保護につきましては、ただいま申し上げました住民基本台帳法が規定する個人情報保護に係る規定によって担保されているんだというふうな考え方でございます。

 また、平成14年の6月10日付の総務省の告示によりまして、住民基本台帳ネットワークシステムのセキュリティーにつきましての取り扱い方、その個人情報の保護措置を講ずることにつきまして、義務付けの詳細な通知がされております。その中では、細かくは申し上げませんけれども、時間があれば、またその技術的な面での細かい内容をお答えしてもよろしゅうございますが、技術的な面、それから運用面等におきましても、全国の地方公共団体が取り組むべき体制、規定等の整備確立等のセキュリティー対策の方針につきまして、47都道府県で構成する住民基本台帳ネットワークシステム推進協議会において決定をされておりまして、今後の運用につきましては、万一、本人の確認情報の漏えいのおそれのある場合の緊急対応措置等につきまして、地方公共団体等、指定情報処理機関において作成することとされているところでございます。

 船橋市におきましては、緊急措置といたしましては、この緊急時対応計画書の中で、緊急時にはこの住基ネットからの切断をする、一時停止をするという措置も講じているところでございます。先ほど議員ご質問のように、この個人情報を確保するには船橋市がこの全体のシステムを確保するか、あるいは独自の判断によって接続を遮断する以外に方法はないではないかと、このような仰せでございますが、遮断することにつきましては、住民基本台帳法の法施行がもう既に8月5日になされておりまして、その附則第1条以降によりまして違法行為、との総務省の判断でございます。そのようなことを考えますと、違法行為をあえてするということではなく、現行できる範囲での個人情報保護について、全力を尽くしてまいりたいという考え方でございます。

[保健福祉部長登壇]

●保健福祉部長(金子正雄) 介護保険料についてお答えいたします。

 まず、介護保険の財政調整基金の残高でございますが、現在高は12億2,989万5,073円となってございます。

 次に、介護保険料の引き下げの件でございますが、給付実績を見ますと、今年度はまだ3カ月分でございますが、その平均給付額は13年度1年間の平均月額と比較をしてみますと、20%近い伸びになってございます。今年度の給付がどうなっていくか、はっきりわからない中で、次期介護保険料について財政調整基金を取り崩すかどうかについて、現段階では申し上げられません。議案質疑のご答弁でも申し上げましたが、次期介護保険料については、人口推計値等、基本的なデータの確定、介護報酬改定の影響も見きわめなければなりません。そういう中で、財政調整基金については今年度給付のために取り崩すのか、15年度以降、不測の事態のため、幾ら積み立てしておくのか、よく見きわめながら対応しなければならないと考えております。

 次に、区分支給限度額を超えてサービスを利用している方の対応でございますが、この限度額が一本化になる前のデータによりますと、190名程度の方が限度額をオーバーしていると考えられます。400円ぐらいのオーバーから10万円を超える方もおりました。要支援の方ですと、限度額の倍以上、利用している方もおりました。しかし、12月のデータで、この限度額に対する在宅サービスの平均利用割合が43.7%と低い数値になっていることも事実でございます。

 介護保険で利用できるサービスのほか、高齢者施策で実施している各種サービスも事業拡大し、その利用も上がってきております。介護保険のサービスとこれらのサービスを組み合わせることによって、サービス利用者の自立する能力を最大限引き出し、居宅において日常生活が送れるよう支援に努めてまいりたいと考えております。

 次に、介護療養型医療施設についてでございますが、高齢者保健福祉計画における平成16年度までの整備目標数は524床でありますが、現在の整備数は37床で、その達成率は7.1%と極めて低い状況でございます。医療保険から介護保険への転換が進まない理由でございますが、介護療養型医療施設は、一般病床より1人当たりの病床面積や廊下幅が広いなどの施設基準があることも、転換が進まない理由として考えられます。しかしながら、診療報酬の改定が平成14年4月に行われ、また平成16年にも予定されております。これらの改定は医療保険適用の療養病床の経営には厳しい改定と言われております。さらに、平成15年8月31日までに一般病床か、療養病床かの病床区分の届け出が必要となります。したがって、これらを機に医療保険適用病床から介護保険適用病床への転換が進むのではないかと期待をし、その推移を注意深く見守ってまいりたいと思っております。

 最後に、介護保険制度の難しさというご質問でございますが、私どもは制度執行前より地元へ出向き、説明会を開催したり、65歳以上の方には全員に小冊子を配布するなど努力をしておりますが、やはり介護保険は難しい、理解ができないという声も聞いております。したがいまして、次期高齢者保健福祉計画の見直し策定の審議を進めている介護保険事業運営協議会や、そのワーキンググループである作成委員会においても、このことを論点事項として各委員から意見を出してもらうようにしているところでございます。

 パンフレット、小冊子、事業所一覧を発行し、配布することは(予定時間終了5分前の合図)継続してまいりますが、家庭を訪問する地域保健活動の中での対応や、地域にある在宅介護支援センターと、そこで働くケアマネジャー等の活用など、行政とその関係機関にとどまらず、町会、自治会、地区民生委員協議会、地区社会福祉協議会の方々にも説明会を行い、これら団体等と連携もとりながら、介護保険をどのように伝え、理解していただくか、さまざまな工夫を検討しているところでございます。

 以上でございます。

[岩井友子議員登壇]

●岩井友子議員 時間がないので、市長に2点伺います。

 まず、介護保険の保険料の問題です。今ご答弁で積立金が12億2,900万円あるということが出されましたけれども、1号被保険者の人数で割ってみますと、今、約7万2,000人いるんですけれども、1人当たり1万7,000円になるんです。これを3年間、36カ月で割りますと470円です。これだけ実は船橋市はもう先取りをしてしまったということなんですね。先取りをした、これから先、もしかしたら、もう払った方の中で亡くなっている方もいるかもしれない。そういう保険料というのは、だから将来の不測の事態に備えるようなものじゃないんですね。

 先ほども申し上げたとおり、船橋市の生活実感、市民の生活実感、特に高齢者の生活実感は大変な状況になっています。そういう人たちに対して、保険料の軽減、この積立金を利用すれば十分軽減ができる、それを市長としてはやらないのかどうか、もう1回伺います。

 それから、住基ネットの問題なんですけれども、違法行為かもしれないというのが総務省の判断だ。これに対して、日本弁護士会は、「個人情報の保護に関する懸念が払拭されない、懸念を無視して住基ネットの稼働を強行することは政府の公約を保護にする暴挙であり、国民の政府に対する信頼を裏切るものだ」、厳しく住基ネットの稼働について、日本弁護士連合会はこういう声明を出しているんですよ。そのぐらい、住基ネットに接続しないということも違法行為にはならない可能性もあるということで、法的にこれから争われるような、そういう内容になっているんですね。

 船橋市として、総務省の言いなりになるのか、それとも独自の判断で個人データを守るという、そういう対応をとるのか、やはり市長の口からご答弁をいただきたいと思います。

[市長登壇]

●市長(藤代孝七) 岩井議員の再質問にお答えいたします。

 介護保険料を値上げするのかということでございますけれども、先ほど担当部長の方からご答弁申し上げましたように、確かに積立基金といたしまして12億何がしはあることはございます。しかしながら、これから先の高齢者人口の伸び、これははかり知れないものがあろうと思っています。確かに敬老行事がございます。4月30日付でもちまして、100歳になる方が29人だったんです。ところが12月31日末としますと47名と、これだけわずかの期間で伸びるということなんです。ですから、高齢者がそれだけ伸びてくるということになってまいりますと、これからサービスの利用者、これもふえているというようなことになってまいりますと、やはりこの保険料を下げるという、そういう要素は少ないのではないのかと。(予定時間終了の合図)しかしながら、これはいろいろ検討させていただきますけれども、恐らく下げられる要素はないのではないかと考えております。

 それから、住基ネットでございますけれども、先ほど担当部長の方から事細かくお話を申し上げました。私どもも全国市長会の方としましても、それなりの緊急要望といたしまして提出いたしておりますから、ひとつご理解していただきたいと思います。

《船橋市住民基本台帳に係る個人情報の保護に関する条例の提案説明》

岩井友子議員 発議案第1号船橋市住民基本台帳に係る個人情報の保護に関する条例の提案説明を行わせていただきます。

 小さな声ネットワークの皆さん、それから日本共産党の皆さんに賛同いただき、提出することができたこと、大変うれしく思います。ぜひ、多くの皆さんのご賛同を、まず最初に呼びかけたいと思います。

 ご承知のとおり、8月5日に稼動した住民基本台帳ネットワークシステムについては、これまで市町村がそれぞれ独立して管理運営をしていた住民基本台帳の情報が、全国の市区町村間を通信回線で結び、転出入などのときに必要な情報をやり取りしたり、そのうちの氏名、住所、生年月日、性別と、住民票コードは、本人確認情報として、都道府県と全国センターの指定情報機関が管理するということになったものですが、情報の管理するところがふえたということで、情報漏えいの可能性が高まるために、このシステムが個人情報の保護を図ることができるかどうかは、接続に当たっての重要な要件となっていました。

 政府も、住基ネットの稼動の前提として、こうした個人情報保護のための法律の整備を行うというふうに言ってきたものです。

 しかし、8月5日の稼動は、こうした必要な保護対策が行われないままの稼動だったために、皆さんもご存じのとおり、杉並区や横浜市など、接続を見合わせる自治体が出たり、中野区のように、接続しても個人情報が確実に保護される確認ができないとして、切断する自治体も出ています。

 船橋市では、個人情報保護条例があり、船橋市としても、個人情報保護に努めてきましたが、法律による外部への情報提供がこの個人情報保護条例では可能になっているために、住基ネットへの接続が行われています。しかし、接続した外部での接続先での個人情報保護までは保護の対象になっていません。住基ネットにより自分の情報が外部に流れてしまうことはないのかと、多くの市民が不安に感じています。それに対して船橋市は、船橋市内部での情報漏れを起こさない対策、セキュリティ会議の設置などを行われておりますけれども、接続先がどうなっているのかということは、現段階では確認さえできない状態ではないでしょうか。

 本来であれば、こうした点では、市長がみずから条例を整備して、市民のプライバシーが侵害されないように、住基ネットへの接続については慎重を期すべきでしたけれども、市長が行わないと言う以上、市民の個人情報の保護に、議会が持てる力を発揮すべきではないかというふうに考えます。そうした点では、議員の皆さんのご賛同を心から訴えるものです。

 条例の内容は、主に4点となっています。1つは、接続先に対して、個人情報の保護について調査をし、個人情報が侵害されるようなおそれがあるときは、必要な措置がとれるようにしたこと、接続を切ることもそこでは想定をしています。

 2つ目は、接続によって、ネット上を流れる市民の個人情報の処理状況を個人情報保護審議会や市民に報告することによって、監視できる体制のもとに置くこと。

 3つ目は、人権侵害につながる不当な住民基本台帳の閲覧などについて、規制を加えることです。

 4点目は、不当な目的による取得の禁止と違反行為に対する罰則も含めた対応。こうした、主に4点の内容となっています。

 最後に、施行期日についてでございますが、条例制定直後から実施をしたいということと、さらに内容的には来年8月の本稼動時から対象となる部分になっています。そういう点で、実施時期については改めて規則で定めるということにいたしました。

 以上で、説明を終わります。

(平成14年第3回船橋市議会定例会会議録より)