Departure

特に何を話し合って相談したわけでもない。
例の準備を進めながら、
ふとぶつかり合うもの言いたげな目と目。
 もしかしたらこれが……
 万一そうなったとしても……
 多分俺たちは……
 きっともうとっくに……
 それでもいいんだな
 構わないよな
確認し合う瞳と瞳。
自問自答を重ねるかのような無言の会話。



こんなの計画どおりじゃない。
断じていつもの俺たちではない。
身を隠しながら、逃げながら、感じる違和感。
右へ行こう、左へ行こう。
考えると同時にそのとおりに動くもう一人の自分。
きっと感じているはずの違和感。
このままでは必ず追い詰められるという確固とした予感。



どこかでそれを待っている。
きっともうずっと待ち続けてきたのだ。
逃げも隠れもできなくなる瞬間を。
前にも後ろにも進めなくなる瞬間を。
高く高く、上に飛翔するしかないその瞬間を。
もうずっと長いこと待ち続けてきたのだ。



振り向いたその目は同じ色をしていた。
見返す瞳は同じ強さを放っていた。
言葉にしたときにはいつだってすでに答えは出ている。
だからこれは確認ではなくスタートの合図。
今だ。
今がそのときなんだ。
俺たちは何を名残惜しむこともなく地を蹴って
たたみ続けることに疲れた羽を思うさま張り伸ばし
何ものにも妨げられない空へと
高く、高く……。


"Accio brooms!"






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