10章 狂ったブラッジャー

(「まったくだ」ジョージ・ウィーズリーが呟いた。「八月からずっと、俺なんかちゃんと乾いてたためしがないぜ」)
 大好きなセリフです。「ためしがない」はずはないんですが、こういう言い方するところがジョージのウィット炸裂です。なぜか何度も読み返しちゃうんです。

「だからこそ、プレッシャーを感じるなよ、ハリー」フレッドがハリーにウィンクをした。
 クィディッッチのときは双子はほんとにハリ−を可愛がってます。フレッドがこんなに優しいのはこんなときぐらい!?

「危なかったな! ハリー」ジョージが棍棒を手に、ハリーのそばを猛スピードで通り過ぎ、ブラッジャーをスリザリンめがけて打ち返そうとした。ジョージがエイドリアン・ピューシーめがけて強烈にガツンとブラッジャーを叩くのを、ハリーは見ていた。
(略)
 ハリーはひょいと急降下してかわし、ジョージがそれをマルフォイめがけて強打した。
(略)
 グラウンドの反対側でフレッド・ウィーズリーが待ち構えていた。フレッドが力まかせにブラッジャーをかっ飛ばした。それにぶつからないよう、ハリーは身をかわし、ブラッジャーは逸れていった。
「やっつけたぞ!」
 フレッドが満足げに叫んだ。が、そうではなかった。
(略)
狂ったブラッジャーが、ハリーを空中から叩き落とそうと全力で狙ってくるので、フレッドとジョージがハリーすれすれに飛び回り、ハリーには二人がブンブン振り回す腕だけしか見えなかった。(略)
「誰かが――この――ブラッジャー――に――いたずらしたんだ――」またしてもハリーに攻撃を仕掛けるブラッジャーを全力で叩きつけながらフレッドが唸った。
「タイムアウトが必要だ」
 ジョージは、ウッドにサインを送りながら、同時にハリーの鼻をへし折ろうとするブラッジャーを食い止めようとした。
 (略)ハリー、フレッド、ジョージの三人は、狂ったブラッジャーを避けながら地面に急降下した。
 狂ったブラッジャーのおかげでビーター大活躍の巻(笑)。映画で見たかったなあ。残念です。一度二人が思いっきりブラッジャー叩くとこ見たいです。そして冷静な判断をしてるジョージが素敵。

「オリバー、俺たち、その六メートルぐらい上の方で、もう一つのブラッジャーがハリーを殺そうとするのを食い止めていたんだ」ジョージが腹立たしげに言った。
「誰かが細工したんだ――ハリーにつきまとって離れない。ゲームが始まってからずっとハリー以外は狙わないんだ。スリザリンのやつら、ブラッジャーに何か仕掛けたに違いない」
 ここもすごくジョージらしいなと思う。この言い方とか、「誰かが細工した」と考えているところとか。

「バカ言うな」フレッドが言った。「頭を吹っ飛ばされるぞ」
(略)
「オリバー、すべて君のせいだぞ。『スニッチをつかめ。然らずんば死あるのみ』――そんなバカなことをハリーに言うからだ!」ジョージが怒った。
 双子の怒る基準ていうのがいいなと思うの。自分達の勝利のことよりハリ−のために怒るっていうそのバランス感覚みたいのが。
 このセリフも映画でやってほしかったけどね。オリバー・フェルプスくん(ジョージ)に言ってほしかったですよ。「オリバー、君のせいだぞ!」って(笑)。


「フレッド、ジョージ、ハリーの言ったことを聞いただろう――ハリーをほっとけ。あのブラッジャーは彼一人に任せろ」
 それだけ怒ってても引き下がったんだね。でも心配だったろうなあ。

周りに立ち並んだ脚のむこうに、フレッドとジョージが見えた。狂ったブラッジャーを箱に押し込めようと格闘している。ブラッジャーはまだがむしゃらに戦っていた。
 二人で格闘してる姿も見たかった〜(こればっかや)。この後先生方はこのブラッジャーを調べなかったんですかね。魔法使いの魔法と屋敷しもべ妖精の魔法は違うみたいなことをJKRは言ってたけど。

「ハリー、チョーすごい飛び方だったぜ」ジョージが言った。
「たった今、マーカス・フリントがマルフォイを怒鳴りつけてるのを見たよ。なんとか言ってたな――スニッチが自分の頭の上にあるのに気づかなかったとか、とか。マルフォイのやつ、しゅんとしてたよ」
 興奮しているらしい様子がかわいいです。このとき「泥んこでびしょびしょ」と書いてありますが、そんなんでパーティーしようとして気持ち悪くないんでしょうか。映画ではきれーな格好してましたな。