第5回全国少年合唱祭レポ
【よりによってこんな日に雪】
当日朝、東京は雪とのことで、小田原-品川間を新幹線が徐行となり、東京駅へは定刻を15分遅れで到着。次の北陸新幹線への乗り継ぎ時間が9分しかなかったため乗り遅れ、結局1時間遅れでホールに到着しました。主催者の方は、私たちの状況を知るまでは
「ほんとにみんな着てくれるんだろうか?ひょっとすると幕が開いたら栃木のステージのみってなことになってしまうんじゃないか?」
と心配されていたそうです(笑)
予定が押しているので、バタバタと遅い昼食を済ませ早速声出し開始。新幹線の中ではしゃぎ、昼食を摂った直後とあって、みんなの声がぜんぜん出ません(凹)。追われるようにゲネプロ開始。当然全曲通しては無理で、各曲触りだけ音合わせし、合同演奏のゲネは、Fひらさんも書いてらっしゃるとおり、呉無しで行いました。そんなこんなで、心の準備も無いまま開演となりました。
【天使というよりむしろ円熟味のあるソプラノの桃太郎少年合唱団】
桃太郎少年合唱団の演奏が始まって驚いたのは、変声後の団員がいないことでした。おそらく中学生の、そこそこ体格の大きな子が数名ソプラノにおり、その子たちから発せられる声は、いわゆるボーイソプラノというより10代半ばの女声のソプラノに近い、円熟味のある声に聴こえ、とても力強くよく鳴っていました。
うちはソプラノは若年者が占め、アルトや変声男子に負けてしまうので、バランスという点ではあまりよろしくないのです。なので桃太郎合唱団のパワーのあるソプラノはうらやましく思いました。うちの指導員にその旨を話すと、「うーん、音は出てるが、若干響きが下かな。やや地声に近いです。もう少し上で響かせるようにすれば良くなると思う。」
とのことでしたが、私にはそこまで聞き分ける耳がありませんです(^^;A
桃太郎さん、もしこれをご覧になってらしたらご参考になさってください。
【バラエティ豊かな演目と楽しい演出の京都市少年合唱団】
今回の京都市少年合唱団の演目は、オペラ(魔笛メドレー)、ミュージカル(キャッツからメモリー)、バロック(主よ人の望みの喜びよ、メサイヤから主のくびきは負いやすく、主の荷は軽い)とバラエティ豊かで、演出も動きのある楽しいものでした。指揮者がオペラ歌手で舞台経験も豊かですので、さすが!と思いました。指揮者自らのプチソロもとてもよかったです。また10名余りいる変声男子をフィーチャーするような部分もあり、全体としてそれぞれのパートを活かした演奏になっていたと思います。先も述べたとおり、魔笛の3部に分かれるところでソプラノが若干弱いと思いました。やはりソプラノがメロディパートなので、もう少し人数を増やしては?と思います。
【元気全開の呉少年合唱団】
開演時間頃到着し、音出しも満足にできないままの舞台となってしまったのでしょう。しかし、第一声はとてもパワフルで綺麗に鳴っていました。一曲目の舟漕ぎ歌は、波の音と舟の櫓の音のなる楽器も入りよい雰囲気でした。30名足らずとは思えないほどの大きな声。とても少年らしい楽しい演奏でした。今後は大きな声を出すことは置いておいて、響きを集める練習もされると良いかと思います。
【いい感じですね〜栃木少年合唱団】
10名のオレンジの可愛いベレー帽君たちが一生懸命歌う姿に、自然と笑みがこぼれました。スーパー・カリフラジリスティック・イクスピアリ・ドーシャス。息も絶え絶え(^^)。でも可愛いですね。まだ息が浅く、喉だけで歌ってる…でもまだまだこれから。もっと練習すればお腹を使って安定した声が出るようになります。後半から研究科7名が登場し、男声合唱を披露してくれました。登場から演奏まで楽しい演出。これはうちも勉強になったとみんな言ってます。最後のヘンゼルとグレーテルは本科生の声もよく出ていました。東京から観にきていた私の弟も、「栃木は人数が少なく声量は無いけど、天使の声に一番近かった」と感激していました。
【総勢125名での合同演奏】
各団の持ち込み曲を、各団の指揮者が合同合唱団の指揮をするという素晴らしい企画でした。みな日ごろ味わえないmassの迫力を体感できたのではないでしょうか。息子もすごく気持ちよかった。あの4つ(の合唱団)で歌えば無敵やなぁ!」
とワクワクしながら言ってました。息子は通常女子と共に250名ほどで歌うこともありますが、「男子だけで」というのはまたいつもと違った結束感のようなものを感じだ様です。
【それぞれのカラーがある。が、目指すところは同じ】
今回他の合唱団を鑑賞できたことは、ほんとうに良い経験になりました。他の演奏を聴いて初めて、自分たちの演奏を客観的に捉えることができ、良いところ悪いところが見えてきます。終演後の懇親会で他の団の指導者の方が
「各団それぞれのカラーがあると感じました。目指すところはおそらく同じでしょうが。」
とおっしゃってました。私も全く同じことを思っていました。ひとつの山へ、いろんな登山道がありそれぞれからアプローチをされていますが、山頂はひとつ。でも、同じところへ到達したとしても、それぞれのカラーは大切に残していただきたいように思います。懇親会では、ホテルのバンケットホールを借りて大宴会となりました。団員はそれぞれ混じってテーブルに着き、メッセージカード交換などして交流を深めていたようです。途中で各団の自己紹介が始まり、京都の団員長君が
「僕らは通常は多くの女子と一緒に練習をしています…」
と言ったところ、すかさず桃太郎のおませ団員から
「手ぇ出すなよー!」
と野次が入るしまつ(しらふなのに笑)。練習中などもずっと感じていたのですが、栃木や桃太郎の子達は日ごろも男子だけの活動なのでまるで体育会系のノリだなぁと(笑)。それに比べると、多勢の女の子の中で育っているせいか京都はホヤホヤしています。
宴もお開きとなって解散となったときに、栃木の子がうちの団員に「後で部屋に遊びに行くから〜!」などと約束していました。部屋で二次会でしょうか(^^)?修学旅行みたいですね。楽しそう。明日は6時起きだけど、こんな日は寝る間も惜しんで遊びましょう。
翌朝7時半ごろホテルを出発しようとしたら、栃木の子達が見送りに来てくれました。夕べはどうやら消灯時間後だったからと遠慮して部屋には遊びに来られなかったようです。そんな会話を団員たちがしながら、固い握手とともに
「またな!」「おぅ!」と再会の約束。私たちを乗せたバスが遠ざかるまでずっと手を振ってくれました。
帰宅して息子が一言。
「たのしかったなぁ。また来年もいきたいなぁ」
きっとみなそれぞれが同様の思いでしょう。彼らにとって、得るものが多かったこの演奏会でした。
最後に、演奏会を主管しお世話くださった栃木のみなさま、本当にありがとうございました。お世話になりました。今後ともよろしくお願いします。京都市少年合唱団の指導員のみなさま、子供たちに良い経験をさせていただきありがとうございました。また、他の団のみなさま、今後ともよろしく御交流ください。この場をお借りして関係各位の皆様に御礼申し上げます。
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