平成14年度記録          

宝塚合唱連盟第36回合唱交歓会


  5月26日は、ベガホールで行われた宝塚合唱連盟の合唱交歓会に行ってきました。諸般の事情で、ボーイズ・エコー・宝塚は、昨年度末で約半数が退団。(昨年に入団した者がほとんど退団したそうです。)代わりに入った団員はほとんど入学したばかりの1年生ということで、まだ、入団して1ヶ月の顔見世公演という感じでした。これまで過去3回見た5月の合唱交換会では、まだ新入団員がいないことがほとんどで、卒団・退団を除いた団員による演奏でしたから、人数的には少ないけれど、3月の定期演奏会とほぼ同質の演奏を聴くことができました。しかし、今回は新生ボーイズ・エコー・宝塚の演奏を聴くという感じになりました。上級生が1年生の手を引いて、舞台に上がってくるという入場も私が見る限り初めてのケースでしたが、ほほえましい雰囲気を出していました。
 演奏曲は、「お山の杉の子」「ねむの木の子守唄」「走れよお馬」の3曲。
 「お山の杉の子」は、初演です。この歌は、もともと第2次世界大戦で敗色が濃くなった昭和19年に作られた歌だったのですが、戦後に一部歌詞を変えたものを演奏しました。私は、戦時中にレコーディングされたこの歌のCDをもっています。そこでは、声楽家の安西愛子や、伝説のボーイ・ソプラノ 加賀美一郎が歌っています。そこで、加賀美一郎は、緊張感に満ちた張りのある声でこの歌を一気に歌っており、「大きくなって国のため お役に立ってみせまする」など、当時の教育を真に受けた少年の本気の歌という感じを受けました。ところが、戦後に同じ加賀美一郎が歌った「赤ちゃんのお耳」は、曲想を差し引いてもただの穏やかで、あまり特色のない童謡でしかありません。さて、この日のボーイズ・エコー・宝塚が歌う「お山の杉の子」は、きれいな声なのですがややのんびりした歌に聞こえました。戦時中のような異常な緊張感は必要ありませんが、成長したいという強い願いが感じられる演奏になるためには、言葉の一つ一つを大切にし、1番1番を違うように歌う工夫がさらに必要かと感じました。
 「ねむの木の子守唄」は、新入の1年生はその場に座って、上級生だけによって歌われました。この日の演奏は穏やかな雰囲気が前面に出て、よくまとまった演奏でした。最後は、ニューイヤーコンサート以来繰り返し上演している「走れよお馬」。再び全員による演奏。どうしても、前を駆ける馬の演技に目を奪われがちになりますが、こういう楽しませる舞台づくりはこれからの少年合唱に必要であると思います。
 かつて、現6年生が2年生の頃、中安先生に、
「今の2年生、資質のよい子が多いから、あと2、3年経てば団全体としてもよくなりますよ。」
と言ったことがあります。今新入の1年生も、今はまだ未知数ですが、半年鍛えればかなりよくなると思います。それに、新人では5年生の竹内君はなかなかしっかりした歌を歌っていましたので、期待が高まります。ボーイズ・エコー・宝塚は、団員の定着も課題ですが、何より今年入団した1年生が卒業まで6年間頑張ってくれることを願っています。
 

平成14年度 のど自慢大会

 
 8月28日は、宝塚市立宝塚小学校で、恒例のボーイズ・エコー・宝塚ののど自慢大会がありました。会場に着きますと、今年も中安先生より審査員を依頼されました。今年は、例年以上に団員の異動が多く、しかも1年生の団員がかなりの比重を占めます。何と言っても、全員の独唱を聴くことができるのが、こののど自慢大会の最大の魅力で、他の少年合唱団にはあまりない企画です。3年連続この大会に参加しましたが、とりわけ6年生の4名は4年生の時から聴いているので、個人内の成長がよくわかります。また、2回以上参加している少年は、この1年間の成長を見ることができます。さらには、約半数が入れ替わったため、まだ名前と顔が一致していない団員もかなりいますので、それを一致させることにも大きな意義がありました。

 会場の多目的室に到着すると、団員はくじを引いて出場順を決めます。今年度になって学んだ曲のうち好きな曲を1曲、自由曲として選んで短冊に書き込みます。また、最初に歌う課題曲は、在団歴によって、2とおり。今年は入団1年目が「団歌1番」、2年目以上が「団歌1.2番」となりました。採点基準は、1曲ごとに@ふしがよい A言葉をまちがわない B声がはっきりしている C高くよく響く Dよい顔・よい態度の5点満点で1人10点。審査員2名の合計点(20点満点)によって決まります。しかし、今年も私はさらに、低学年では難しいとは思いますが、歌の心をつかんで表現する「芸術点」があってよいのではないかと思いながら採点しました。また、自分の声の持ち味を活かした選曲をしているかどうかでかなりできばえに差ができたように感じました。
 総評としては、さすがに6年生は、自分の持ち味を知って選曲していることや歌の山場つくりがよくできていることが印象に残りました。人間としての成長が歌にも反映することを感じました。また、はじめて人前で独唱する1年生は全体的にかなり緊張して、出だしがつかめなかったり歌詞を忘れたり必ずしも本来の歌が歌えていなかったこともあるでしょうが、これから場数を踏むことによって自分を知ることにつながっていくものと思います。今回は同点が多く、(同点の場合は下学年を上位とし、さらに同学年の場合は入団時期が後になるほど上位とするというルール)順位にそれほどこだわる必要はありませんが、ここでは点数に表せないものを含めて寸評を述べていきたいと思います。

  名前  (学年) 曲名 (自由曲)             寸                評   
1 竹内(1)新人 きらきら星 1番をあてて緊張したでしょうが、だんだん声が前に出てきて音程のよい確かな歌が歌えました。
2 尾崎 (6) いろんな木の実 楽しげなリズムに乗って、言葉一つ一つを大切にする誠実な歌づくりができていました。
3 宮城 (6) 星の世界 音程が昨年よりよくなって、声質の美しさが引き立つようになり、この曲に求められるものを表現できていました。
4 西田 (6) 見上げてごらん夜の星を 持ち味の安定性だけでなく、声に抒情性が増してきて、この曲の美しい世界を表現できていました。
5 南田 (1)新人 あすなろ 声そのものはとてもきれいです。みんなの前で歌うのは緊張したでしょうが、持ち前の元気さで歌いましょう。
6 森本 (1)新人 この木何の木 音程がしっかりしており、また曲の山場をつくることもでき、将来スケールの大きな歌が期待できそうです。
7 塩谷 (幼) お山の杉の子 音程もよく元気な歌が歌えていました。歌い出しをしっかりつかむとさらによい歌が歌えます。
8 佐々木(1)新人 あすなろ きれいな声が出ていました。音程もよいので、自信をもって歌うとさらに声が前に出てきます。
9 大川 (5) 見上げてごらん夜の星を 抒情的な歌の片鱗を感じました。歌全体の山場をしっかりつかむことでさらによい歌が期待できます。
10 有田 (1)新人 あすなろ きれいな声で思いきりのよい歌が歌えていました。「あすなろ」は最後を大きく歌い上げると、さらによくなります。
11 山下 (1)新人 あすなろ 高音はとてもきれいです。声が前に出るようになるとよい歌が歌えるようになります。
12 稲垣 (4) この木何の木 ピーンと張りのある美声が会場全体に響き渡って、ボーイ・ソプラノの醍醐味を味わうことができました。
13 圓井 (6) 見上げてごらん夜の星を 声の成長に合った発声で、抒情的な表現に一層磨きがかかり、聴かせどころを押さえた歌を創りあげることができました。
14 竹内(5)新人 星に願いを 抒情詩人を感じさせる歌で、特に「星に願いを」の最後は柔らかで伸びやかな美声が最高に生きていました。
15 塩谷(1) お星さま 真剣な態度のまっすぐな歌はとてもさわやかな感じがします。歌の山場をつくれるとさらによくなります。
16 河野 (1)新人 あすなろ 声そのものはとてもきれいです。みんなの前で歌うのは緊張したでしょうが、自信を持って歌い上げましょう。
17 吉田 (3) おりづる 聴く人の心に悲しみが伝わってくる歌が歌えました。声が前に出ると、それがさらに生きてきます。

第36回宝塚市民合唱祭


 11月3日は、宝塚ベガホールで行われた、恒例の第36回宝塚市民合唱祭に行って来ました。天気はよかったのですが肌寒い1日でした。今年の出場団体は過去最高の35団体でした。ボーイズ・エコー・宝塚の出場が5番目であり、また、前夜遅く桃太郎少年合唱団の浦池副団長先生から宝塚に行くとのメールをいただいていましたので、午前9時半過ぎに会場に着きました。開演10分前に浦池先生と合流、一緒に鑑賞しました。1団体8分の制限時間の中で持ち味を出すことはなかなか難しいことですが、4曲の選曲もバラエティに富んでいてよかったのですが、何よりこの日の演奏はこれまでと違った意味での感動がありました。

 その一つは、1年生団員が約半数を占めるのに、約半年間でよくここまで指導されたと、改めて中安先生・辻先生の指導力に驚嘆しました。振りかえれば、5月同じ会場で行われた合唱交歓会では、上級生に手を引かれて登場し、「ねむの木の子守唄」ではその場に座って聴いていた1年生が、もう立派に1団員としてステージに立って演奏ができるというのはすばらしいことです。二つ目はたった8分間の出演なのに桃太郎少年合唱団の浦池副団長先生がわざわざ岡山から来られたことです。数少なくなった日本の少年合唱団がお互い励まし合って頑張ろうという全国少年合唱祭の精神は、ここでも生きています。三つ目は、広島少年合唱隊が全国少年合唱祭に参加できなかったボーイズ・エコー・宝塚を想って、その持ち歌「しあわせ運べるように」を昨年度の定期演奏会で採り上げたことに対して、ボーイズ・エコー・宝塚は、広島の平和の祈りを歌った「折り鶴」をこの日初演し、それに応えました。このように、少年合唱団同士の友情も深まっています。

  さて、5番目の登場となったボーイズ・エコー・宝塚は、手作り楽器を持って21名で登場。今年度は人数に変動もありましたが、次第に増加に転じ、昨年度同時期の人数を回復しました。この日の演目は、@「いろんな木の実」A「世界中の子どもたちが」B「折り鶴」C「見上げてごらん夜の星を」の4曲。「いろんな木の実」は、最初声がまだ温まっていない感じを受けましたが、手作り楽器を鳴らすたびにだんだん調子が出てくるようになってきました。2曲目は「世界中の子どもたちが」。このところ、「おくりもの」「イッツ・ア・スモール・ワールド」とコンサートのたびに手話付きの歌をとりあげていますが、これは、歌に変化をもたせるだけでなく、歌に集中できていたのがよかったと思います。福祉教育にも力を入れているボーイズ・エコー・宝塚ですから、たとえ会場に聴覚障害のある方がおられなくても、こういう姿勢は大切にして欲しいと思います。次第に調子をあげてきた3曲目は、じっくり聴かせる「折り鶴」。こみ上げてくる悲しみが次第に高めていくような曲の組み立てが生きていました。修学旅行で広島に行った6年生はもとより、練習の中で辻先生の原爆のお話を聞いたりして、心情を高めてきたことがこの演奏につながっていました。「見上げてごらん夜の星を」は、竹内君、圓井君のデュエットを柱にして、合唱がそれを支えるという魅力的な試みが生きていました。総評としては、華のあるステージでした。この時期にここまでの仕上がりになっていれば、来春の定期演奏会が大いに期待できそうです。


第18回定期演奏会に寄せて

ボーイズ・エコー・宝塚のみなさん、第18回定期演奏会おめでとうございます。今年度はボーイズ・エコー・宝塚にとって、昨年度と違った意味で大きな変化の年となりました。それは、団員の約半数が入れ替わり、しかも1年生の団員が数多く入団したことです。先生方も、これまで以上に指導がたいへんだったと思いますが、文化の日の市民合唱祭での立派に成長した舞台姿を見ると、2・3年後大きな発展が期待できそうです。
   昨年末は、わずかに残っている日本の少年合唱団が厳しい状況のもとでがんばっているという記事が、朝日新聞の全国版に大きく掲載され、ボーイズ・エコー・宝塚も取材を受けました。そういう意味でも、今回の定期演奏会は、ボーイズ・エコー・宝塚の心意気を世に示す定期演奏会とも言えます。
   2003年は鉄腕アトム誕生の年でもあり、手塚治虫が少年時代を過ごした地 宝塚の少年合唱団ボーイズ・エコー・宝塚によって、それにちなんだ歌が歌われるというのは時宜を得た企画であります。また、日本で最初の歌って踊れる少年合唱団 ビッグマンモスの名曲「星物語」が25年ぶりに復活するのもすばらしいことです。日本の少年合唱が盛んになるためには、ビッグマンモスに学ぶことも多いと考えます。その外にも、今回のプログラムには、人の心に灯をともすような曲がずらりと並んでいます。
   本日は、ボーイズ・エコー・宝塚のボーイ・ソプラノの歌声によって、元気と心の安らぎが与えられ、至福のひとときを過ごせるものと確信しています。

ボーイズ・エコー・宝塚第18回定期演奏会

     1年生もがんばった
   今回の定期演奏会は「鉄腕アトム」誕生の年に、作者の手塚治虫が少年時代を過ごした宝塚の少年合唱団がそれにちなんだ歌を歌う。ビッグマンモスの「星物語」が25年ぶりに復活する。といった話題性のあるものでした。ただ、人数的には20人台を維持しているものの、団員の半数をしめる1年生(幼稚園)がほとんど出ずっぱりの長丁場のステージを耐えられるだろうかという一抹の不安もありました。しかし、全体としては1年生団員もよくがんばったのではないかと思っています。また、昨年の定期演奏会では課題となったプログラム構成という点において、ステージごとにも、全体としても盛り上がりをみせるように曲の配列が工夫されていました。

    絶妙な曲の配列
  第1ステージは「木を植えよう」第2ステージは「星がいっぱい」という題で、木と星にちなんだ曲が集められていました。「この木何の木」で始まり「お山の杉の子」「もみの木」「あすなろ」「ねむの木の子守歌」といろいろな木の歌が続き、最後に手作り楽器の演奏付きの「いろんな木の実」で締めくくるという構成には、一つのドラマがありました。「この木何の木」は、誰もが知っている日立グループのコマーシャルソングですが、知られているのは一部だけで全曲はほとんど知られていないという点でも、取り上げる意義があります。このステージでは、練習の段階やこれまでに発表された10分ほどのステージでは山場が弱いと思われた曲も改善され、濃淡がはっきりした演奏になっていました。とりわけ、「お山の杉の子」は、昨年5月と比べると生命力のあるたくましさを感じました。また、「もみの木」「ねむの木の子守歌」など全体としてきれいな仕上がりになっていました。
  第2ステージは、「星」を歌った合唱曲の定番とも言える「星の世界」から始まって1年生(幼稚園)に光を当てた「お星さま」などの軽めの曲をはさんで、「冬の星座」「星に願いを」「星物語」「見上げてごらん夜の星を」と盛り上げていく曲の配列は絶妙でした。「星に願いを」は、ボーイ・ソプラノの魅力を最大限に生かすアレンジでコーダの部分の美しさが心に残ります。「見上げてごらん夜の星を」は、竹内玲君と圓井君のデュエットを核に、オブリガードで繊細なアレンジをしながら大きな盛り上がりを創り出していきました。こういうステージづくりは、現在のボーイズ・エコー宝塚の団員の年齢構成からすると、ベストと言えるでしょう。

    「星物語」復活
  これまで私にとって、少年合唱団のコンサートは聴くだけのものでしたが、今回はビッグマンモスの「星物語」を25年ぶりに復活させる企画にかかわってきましたので、違った意味で感慨深いものになりました。また、創唱者の岩田浩一さんはじめ、ビッグマンモスファンの方々の期待と関心も高まっていましたので、期待を裏切らない演奏を願っていました。しかし、同時に団員たちにプレッシャーを与え過ぎてはいけないという想いもありました。さて、注目すべきポイントは、少年合唱曲としてどうアレンジされているか、セリフの部分をどう扱うか、ソリストの歌唱はどうか、といったところでしたが、それらは次のように取り組まれていました。まず、レコードジャケット裏の楽譜をもとに辻潤子先生がピアノ伴奏に編曲されました。歌の部分は、原曲の雰囲気を生かしながらもオーソドックスな少年合唱曲としてソロと合唱を組み合わせるという構成で、さわやかな仕上がりになっていました。セリフの部分は、声優の大ベテラン富山敬さんのものとは全く別な新しい試みという印象を受けました。舞台中央に出てきた西田君が空を指差すようにして、このセリフを言うのです。ソリストの稲垣君は、張りのある高音を生かして、山場の「僕を信じてほしい」の部分は、包み込むような歌い方をしていたのが心に残ります。
  「星物語」は「しあわせ運べるように」のように、この少年合唱団の持ち歌として生き続けることでしょう。なお、ビッグマンモスの歌としては「おいでよ、僕の町に」なども、ボーイズ・エコー・宝塚に合っているように思います。
        (岩田浩一さんからのメッセージ)

    卒団生に贈る
  今年度は4人の卒団生を送ることになりました。私がボーイズ・エコー・宝塚を知った時にはまだ2年生だったので、4年あまりその成長を追い続けてきたことになります。この時期はボーイズ・エコー・宝塚にとっては人数的に苦しい時期でしたが、この4人は終始変わらない態度で合唱団を支えてきました。特に今年度は、指導者の先生方を助けて1年生の世話をしてきました。
  「思い出の歌」と題して4人の思い出の歌で綴るこのステージは、身体の成長と正面から向き合いながら歌うというところもありましたが、一人一人の想いを大切にしたステージでした。宮城君は、ニューイヤーコンサートで歌った「翼をください」を。繊細な声を生かすと同時に誠実な歌づくりが伝わってきました。尾崎君は、初めてソロを歌った「川で歌おう」を。まっすぐで抒情性あふれた歌唱で、好感が持てました。西田君は、ビロードのような声と正確な音程で合唱を支えてきましたが、この日とりあげた「ドレミの歌」でも、その持ち味を生かしていました。団長の圓井君は、1年生のときに6年生がうまく歌っていたので歌ってみたかったという「サウンド・オブ・ミュージック」を。これは、スケールの大きいドラマティックな歌唱でした。あこがれがいかに人を育てるかということを改めて感じました。最後に4人で歌う「大きな古時計」は、この4人が創り出すハーモニーの美しさと歌心が重なった素晴らしいものでした。16日にTOKYO−FM少年合唱団によって歌われたものとはまた違った感動がありました。ご卒団おめでとうございます。さて、6年生が卒団した後、年齢構成的に苦しい状況は続くと思いますが、1年生の成長を考えると2〜3年後が大いに期待できそうです。

   テレビ放映があるかも
 第4ステージは、「アトム誕生おめでとう」。宝塚で少年時代を過ごした漫画家手塚治虫のアニメ「鉄腕アトム」「海のトリトン」「悟空の大冒険マーチ」を中心に7曲。ここでは、少年らしいやんちゃな表現を楽しむことができました。また、地域に根ざした音楽活動をしているこの合唱団の特色もよく出ていました。なお、ボーイズ・エコー・宝塚は、これらの歌を持ち歌としており、これまでもたびたび取り上げてきましたが、アニメ版の「鉄腕アトム」だけでなく、実写版の「僕は無敵だ、鉄腕アトム…」というのも取り上げてほしいと思いました。さて、この日はNHKの報道番組担当の方も取材に来られており、4月にはテレビ放映もあるかもしれないそうです。アトム誕生の年だからこそという感じがしましたが、マスコミが日本の少年合唱団を取り上げてくれることは大いに歓迎です。

   平和への祈り
  ついにこの定期演奏会の前日イラク戦争が始まってしまいました。政治的な話はあえて控えますが、1日も早い戦争終結を願っています。「しあわせ運べるように」「DONA NOBIS PACEM」「さとうきび畑」「折り鶴」「世界中の子どもたちが」と続く歌の中には、音楽的に傷のあるものもありましたが、それを超えるものもありました。特にこの日は「折り鶴」のできばえがよかったように思います。この歌の持つ根源的な悲しみがよく表現されていました。また、こういう歌を最後のステージに持ってくることは歌が伝えるメッセージという点でもよいことです。そのような意味でも、今回は前回の課題を超克した定期演奏会と言えるでしょう。

                                                                               戻る