第32回宝塚ニューイヤーコンサート
平成27(2015)年1月12日
(月・祝)宝塚ベガホール


 今年も、千吉音頭でにぎにぎしく幕が開いた宝塚ニューイヤーコンサートは、昨年宝塚市の市制施行60周年を迎え、さらに本年は西谷・長尾村を合併して60周年を迎えます。千吉音頭保存会の子どもは昨年度よりやや少ないという印象を受けました。また、出演する団体にはかなり変動があって、全体としては、男声合唱や器楽演奏の比重が高くなってきたという印象を受けました。

 さて、ボーイズ・エコー・宝塚は、人数が4人となりました。演目「月の砂漠」「エトのバトンタッチ(こうま・おうま・調子をそろえてクリック、クリック、クリック」というメドレーでした。合唱として成立する最少人数で、声のボリュームはともかく、歌詞を大切に歌っていることは伝わってきました。3月の定期演奏会では、昨年以上の工夫が求められるでしょうが、きっとできる限りのことをやり抜いてくれることを確信しました。何としてもボーイズ・エコー・宝塚の灯を消してはならないという気持ちになりました。それと同時に、自分ができることは、会場に通うことしかできないというもどかしさも感じました.3月28日は、西公民館の客席が満席になってほしい、新入団員が入ってほしいと願っています。


 ボーイズ・エコー・宝塚 第30回定期演奏会
平成27(2015)年3月28日(土) 宝塚市立西公民館


   今の4人でできることをしよう

 中安保美先生がご逝去されて、ちょうど1ヶ月目にあたるこの日、ボーイズ・エコー・宝塚 第30回定期演奏会が行われました。指揮者なしで4人が横一列に並んで行われることは、想定されましたが、プログラムを見ると、団歌で始まるステージではなく、団歌は第3部「OBといっしょに」の中で歌われるというこれまでにない展開でした。しかし、第1部「楽しい学校」第2部「いきもの大すき」とテーマ性をもったプログラミングは不変でした。そこには、ピアノ伴奏の辻潤子先生と今の4人の団員でできることをしようという想いを感じることができました。

   登下校の間に教科の歌が

 「学校坂道1」で登校した4人の子どもたちは、1年生から6年生までが複式学級でいろいろな教科の授業を受けます。それぞれの教科を代表するような歌が歌われていましたが、やはり一番楽しいのは給食ではないかと思わせたり、「学校坂道2」で下校という構成が面白かったです。

   「いきもの大すき」の構成こそ
 
 サン・サーンスの「動物の謝肉祭」にも、合唱に編曲したものがありますが、「つぶやつぶや」のタニシに始まり、いろいろな動物ソングが次々と登場し、「調子をそろえてクリック・クリック・クリック」の羊に終わる「いきもの大すき」の構成こそボーイズ・エコー・宝塚のプログラムの組み立ての基本形と言えましょう。事前に予習がいるような曲や、外国語の難解な宗教曲に挑むよりも、「歌声のある学級」の延長線上にボーイズ・エコー・宝塚があります。実は、「みんなのうた」がスタートした頃の歌は、そのような歌であったからこそ、当時の子どもたちに受け入れられたのではないでしょうか。団長で6年生の三谷俊太君の卒業演奏「ジャングル大帝」も自然な形で採り込まれていました。

   OBが25人

 この日は、OBがたくさん集まってくれました。第3部の「OBといっしょに」では、「翼をください」「しあわせ運べるように」「すみれの花咲く頃」「太陽のマーチ」「五色浜の守唄」「ボーイズ・エコー宝塚の歌」今日のひととき」とこれまで定期演奏会やニューイヤーコンサートのステージでよく歌われてきた歌を中心にしたプログラムでした。中でも「五色浜の守唄」は、これまで18年連続定期演奏会に来ている私にとっても1・2回しか演奏を聴いたことのない歌でしたが、中安保美先生を顕彰するには最もふさわしい歌とも言えるでしょう。この歌は、中安保美先生がこのままでは消えてしまうであろう郷土の淡路島の歌を採譜したものです。だから、暗譜で歌うことをポリシーにしているボーイズ・エコー・宝塚も、この歌だけは楽譜を見ながら歌うことになりました。このステージでは、昨年の卒団生から20代ぐらいのOBが25人も舞台に上がってくれたので、少年合唱というよりほぼ男声合唱のステージとなりました。この歌は、生涯学習にもつながります。中安保美先生・辻潤子先生が撒かれた種がこのような形で開花したのだとも言えるでしょう。

 この日来賓で挨拶された中川市長をはじめ、多くの人たちは、ボーイズ・エコー・宝塚の歌声がこれからも宝塚の町に響いてほしいという願いをもっていますが、しばらく休団することになります。指導体制の確立や団員が集まりやすい時間帯や練習場所を考えることが、再興につながると思います。宝塚には、音楽を愛好する地域の風土があります。ボーイズ・エコー・宝塚再興の日が来ることを願って筆をおきます。