慢性中耳炎の話

 慢性中耳炎でお困りの人は、多いと思われます。もちろん、症状は難聴、耳漏、その他です。慢性中耳炎には、大きく分けて二つのタイプがあります。

  1. 慢性化膿性中耳炎
     鼓膜に穿孔があり、難聴と耳漏を繰り返すタイプです。難聴を直すには、もちろん手術しかありませんが、耳漏さえとまっていれば、すぐに手術する必要はありません。もちろん難聴を治すには、手術が必要です。

  2. 真珠腫性中耳炎
     中耳内に真珠腫ができ、難聴や耳漏を繰り返すタイプの中耳炎です。放置すれば、周囲が破壊されてどんどん進行していきます。原則として手術が必要な中耳炎です。

 手術には、いろいろあります。

  1. 鼓室形成術
     中耳炎の病変と、聴力再建を同時にする手術です。中耳炎の病状によっては、1回でだめなときもあります。2回以上の手術が必要な場合もあります。

  2. 中耳根治術
     中耳炎の病変のみを手術して、聴力再建を考えない手術です。可能なら、上記の鼓室形成術をするのですが、どうしても出来ないときもあります。そんなときはこの手術をすることになります。

 

中耳炎Q&A

Q.子供が、耳が痛いと言ったら?

 子供が急に、耳が痛くなった時ほとんどが、急性中耳炎か、外耳炎です。耳介を引っ張ったり、押したりして痛ければ、外耳炎の可能性大です。痛みだけでなく、耳が詰まった感じで、聞こえも悪ければ、中耳炎の可能性大です。夜間で、すぐ受診出来ないときは、手持の鎮痛剤で痛みが治まれば、明朝受診でかまいません。もし、耳介の後ろが腫れて皮膚がかなり赤ければ、中耳炎が進行している可能性がありますので、すぐ診察が必要です。

Q.痛みがとれたら、中耳炎は治った?

 痛みがとれただけでは、治ったとはいえません。中耳炎の痛みは、長くは続きません。耳が詰まった感じ、難聴もとれて、初めて治ったといえます。子供は、耳が詰まった感じはほとんど言いませんので確認が必要です。知らず知らずの間に、滲出性中耳炎になって、治療に時間がかかるときもあります。

Q.もし、滲出性中耳炎になったら?

 鼓膜の奥の中耳に、水が溜まるのが、滲出性中耳炎ですので、必要に応じて、溜まった液をとります。耳管通気で、中耳へつながる耳管の通りをよくしてやります。同時に、副鼻腔炎などあることが多いので、平行して副鼻腔炎の治療もします。必ず治る病気ですので時間はかかるときもありますが、根気良く治療をつづける必要があります。