■2024年4月号

今月の潮流
News
News2


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る

























バイオジャーナル

続々開発されるゲノム編集イネ

 

ゲノム編集イネが続々と開発されている。1つは島根大学が開発した「高ストレス耐性イネ」で、もう1つは農研機構が開発した「低グルテリン半矮性イネ」である。
島根大学教授の赤間一仁らは、高GABAイネの開発を進めてきた。開発の方法は、筑波大学の研究者が開発しサナテックシード社が販売している高GABAトマトと同じで、GABA合成にかかわるグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)の一部を取り除いたものである。研究者は当初、トマトと同様に健康食品として開発を進めていたが、このイネが乾燥や冠水などの環境ストレスに強い耐性を持つことがわかったとして、両者の性格を売り物に開発を進める予定のようだ。
もう1つのゲノム編集イネ「低グルテリン・イネ」の開発者は農研機構の若狭雄也らである。このイネは、4つのグルテリン遺伝子を欠く変異株を用い、さらに5つのグルテリン遺伝子を働かないようにして、きわめてグルテリンの少ないイネを開発した。グルテリンはイネが持つ主要なタンパク質だが、アレルギーの人や腎臓病の人向けに低タンパク米として売り出すことが目的である。
低グルテリン・イネや低アレルゲン・イネは、以前、遺伝子組み換えで開発されたことがある。アンチセンス法と呼ばれる、遺伝子の働きを抑える組み換え技術が用いられていた。低アレルゲン・イネは三井化学が開発し、タンパク質の量は少なくなったものの、量に大きなばらつきが出て、とても米アレルギーの人が食べられるものにはならなかった。低グルテリン・イネは、タンパク質が少ないほどお酒がおいしくなるため、酒造用米として開発が進められた。このイネには国家プロジェクトとして国の予算が投入された。しかし、グルテリンの量が減少すると、プロラミンというタンパク質の量が増え、これも使い物にならなかった。今回の低グルテリン・イネもまた、プロラミンの量が増えており、使い物にならない可能性が大きい。〔Springer Link 2024/2/2ほか〕