御正体山

A 道坂峠〜岩下ノ丸〜牧ノ沢山〜御正体山・往復

2008年3月2日(日)


(R413沿いから見た御正体山)

自宅600−津久井湖−R413−R24−710道坂峠・駐車場730〜748稜線803〜岩下ノ丸〜牧ノ沢山〜1041白井平分岐〜1157御正体山1237〜1516道坂峠分岐〜1529駐車場

 昨年の秋から体調が優れず、今年になってまだ1回しか山へ行ってない。無性に山へ行きたくなった。

 体調が悪いからといって、家でジーとしていても良くなる訳でもない。体調が悪ければ悪いなりにゆっくり登ればいいだろう、と開き直って、近くの御正体山へ行くことにした。

 朝6時に家を出た。
 昨夜の天気予報で「明日はお出かけ日和になる」と報じていたが、まさに最高の登山日和である。

 道志みち(R413)を走っていると、正面に見えて来た大室山が朝日を浴びて輝いていた。
(写真右:青根の新橋手前から見た大室山)

 R413からR24へ入り、道坂トンネルの手前にあった駐車場へ7時10分着。しかし車は1台もない。ウソー・・・と思わず唸ってしまった。こんな良い天気なのに誰もいないとは信じられない。少し気抜けしてしまった。


(道坂トンネル入口(東側)。右側が駐車場、左が登山口)

(駐車場の手前に鳥居と社があった)

 登山道にトレースがあることを確認してから一服。その後、ゆっくりとスパッツを着け、7時30分に出発した。
 通行止めの林道を150mほど歩いて行くと終点で、その左手前に御正体山の登山口の標識があった。

 その標識から杉林の斜面をトラバースしながら進んで行くと、今度は一気の登りになった。鼻をつくような急斜面である。雪の表面はバリバリに凍り、土が出ているところも凍っていた。アイゼンを着けて来れば良かったと思ったが遅かった。こんな急斜面ではアイゼンも着けていられない。木に掴まりながら慎重に登って行った。

 7時48分、とにかく稜線へ出てホッとした。ここで一服しながらアイゼンを着けた。
 8時3分発。すぐに急な登りになり、それを登ればピークかと思いきや、さらにダラダラとした登りが続く。

 三角点があるピークへ8時19分に着いた。標識が立っていたが、文字が古ぼけて読めない。地図によると岩下ノ丸には3等三角点があるが、ここが本当に岩下ノ丸だろうか。コースタイムは登山口から1時間30分となっているが、まだ50分ほどしかたっていない。そんなに早く着く訳けがない。ここはどうも岩下ノ丸ではなさそうだ。
 ジャケットを脱いで8時24分発。

 歩き出して2分もすると伐採地へ出た。ここからは東側の丹沢方面がよく見えた。しばし展望を楽しむ。
 それにしても静かだ。この尾根に誰もいないというのは、少々寂しい気もする。

 ここからまた展望が利かなくなった。4年前に三輪神社から登った時は、左手に見えたこの尾根は「さぞかし丹沢の展望がいいだろうなあ」と思ったが、実際は森林が多くほとんど展望は得られなかった。少しガッカリしながら歩いていると、再び伐採地へ出た。迷わずここで一本。
 左手には西丹沢の畦ケ丸から菰釣(こもつるし)山の稜線が見えるが、大室山や檜洞丸のような迫力はない。

「さて、出かけようか」と立ち上がると、正面(南側)にこれから目指す御正体山と富士山が見えた。おー、と思わず歓声を上げた。


(西丹沢・畦ケ丸〜菰釣(こもつるし)山方面)

(御正体山と富士山)

 ここから先は、御正体山の山頂と富士山がバッチリ見えるに違いない、と思うとファイトが湧いて来た。しかし、期待とは裏腹に森林が多く、展望は利かなかった。

 小高いピークへ登り、そこからかなり下って行くと、正面に堂々とした御正体山が見えて来たが、樹木が多くシャッターは切れない。本当に腹が立つ山だ。

 かなり山頂に近づいてから、樹木の間に垣間見える御正体山を撮ったが、まったく絵にならない。(写真左)

 左手の眼下に集落が見えて来た。そして、風向きによってラジオや犬の鳴き声が聞こえて来た。いかにも里山らしい。

 しばらくすると、右手の遥か遠くに真っ白に輝く山が見えた。思わず歓声を上げた。

 最初は南アルプスの白峰三山かと思ったが、どうも怪しい? 八ケ岳のようにも見える。

 白井平分岐へ10時41分着。ここの標識だけは文字が読めた。御正体山へ登るコースで、この白井平から登るコースが最も近いことを私は知っていたが、ここを登ってはトレーニングにならない。そう思って道坂峠から3時間もかけてテクテク歩いて来たのである。

 ここからは急登になった。ここを登り切れば山頂は近いだろうと思ったが、さらにダラダラした登りが続く。
 樹木はブナやミズナラなどの落葉樹だった。新緑の季節はさぞかし美しいだろうと思った。

 道が右に曲がるころは、もうメロメロだった。こんな所でメロメロになって恥ずかしいと思っている時、後ろからスーと単独行の若者に追い越された。雪道は人が近づくのが分かりにくい。今日、初めて人に会った。

 さらに単独のオジさんにも追い越された。それにしてもここからが長かった。時々、膝まで雪に潜りながら登って行った。

 やっと山頂へ着いた。11時57分着。見覚えのある広い山頂に、立派なテーブルとイスがあった。皇太子様が登られた時に作られたのだろうか。
 そのピカピカのテーブルで3人揃って昼食にした。

 若者(と言っても30代後半か?)から、「オジさん、オジさん」と呼ばれる。確かに私はオジさんではあるが、普段呼ばれることがないため違和感を覚えたが、せめてオジイちゃんと呼ばれなかっただけマシかな?と、一人で苦笑い。

 ここは山頂といっても展望は全くない。昼食が済めば長居は無用。早々に下山の準備を始める。彼らは三輪神社へ下るという。二人は駅前からタクシーで相乗りして来たと言う。

 12時37分、下山。私はまた一人ぼっちになってしまった。
 下りはとにかく捻挫などしないように注意して下った。助けを求めても誰もいないからだ。

 途中に針葉樹林帯があり、薄暗く、まるで日没後を思わせるような薄気味悪いところがあった。その暗がりからヌーと人影が現れてビックリした。ニヤニヤしながら近づいて来た御仁は、地下足袋をはいて肩に銃を掛けていた。どうも地元の猟師さんのようだった。
 それにしても、こんな杉林の中に獲物なんかいる訳けねぇだろう、と思った。

 その御仁は、背に小さいザックを背負っていたが、ザックの中に熊や猪が入る訳はないが、何か小さな獲物が入っているかも知れないと思い、
「何か獲物がいましたか」と聞くと、
「いないねぇ・・・」と呟く。

 道坂峠分岐へ15時16分着。
 分岐から杉林の急斜面を下る。よくもこんな急斜面を登ったものだと我ながら思った。幸い距離が短いので助かった。
 駐車場へ15時29分着。

 今回は写真が撮れず少々不完全燃焼だったので、R413を山中湖方面へ車を飛ばし、今、登って来たばかりの御正体山の写真を撮って来た。しかし逆光のため期待したほどの写真は撮れなかった。(TOPの写真)

 この山は『展望が利かずツマラナイ山』という人がいるが、それもまんざら間違いではないかも知れない。しかし私は、体調がイマイチでも、ゆっくり登れば登れるということが分っただけで充分だった。

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