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建設記録とレイアウト製作上のエピソードやテクニックなど

まとめと気づいたことなど
★★実景の模型化の難しさとその方策★★
 模型誌やインターネットなどで、実際の風景を精密に再現したジオラマを見かけることがありますが、その出来栄えにはいつも驚かされます。私のレイアウトはJR西日本の京都線がモチーフであるものの、自分の好きな風景・シーンで構成しており、実景のスケールダウンではありませんので、気軽に作業を進めることができました。しかし現実に拘り模型化するとなれば、様々な制約が発生します。ストラクチャーひとつをとってみても、完全にスクラッチビルドで手作りするならば出来るでしょうが、そんな技術や時間も持っていない身なので、市販品を流用することになります。このジオラマの製作でも、最近の各メーカーによる製品ラインナップの充実に助けられたのはもちろんで、既製品で表現できない部分は加工等で済ますことができ、自分としての及第点は達成したつもりです。
 そして前に少し述べましたが、実景の再現を目指すために欠かせないことは、現地のつぶさな観察でしょう。車輛の写真ではなく、周辺の様子や構築物・道路などを写真に収めてきたことによって、現地ではなくとも作業はできますし、うろ覚えではなく写真で確認しながら製作できました。この観察という行為は、架空のレイアウト・ジオラマづくりにおいても、リアリティ追及の役に立つと思います。
 このジオラマは、ベースを自宅で作り現地(民宿・川戸屋さん)に持ち込んで、鉄橋部分の取り付けと細部の仕上げを行っています。このため3週連続で週末ごとに餘部通いをしました。この時に実景と違っている点や建物等の位置のずれで修整できるものはしようと考えていましたが、その必要はほとんどなく、事前の取材・観察が効果を上げていることをが実感できました。



★★「実物」は「模型」より奇なり?★★
  私のレイアウトもそうですが、レイアウト・ジオラマを作りたい人なら、自分が再現したいシーンや好きな場面を作ってみたいのは当然のことと思います。でも好き勝手に、あるいはいい加減に、線路の周りにシーナリーやストラクチャーを配置しても、実感的にはなりません。本物の鉄道線路を敷くときは地形を選んでいきますし、線路の間際に立つ建物や並行したり交差してくる道路も、必然的にその位置が決まってきます。つまりその場所・位置には、すべて理由があるのです。
 ところが、実際の風景のなかで「なぜこんなところに?」とか「これにはどんな意味があるのか?」という場所や設備が見受けられることがあります。餘部鉄橋もそうです。初めて見た人は「なんでこんなところにとてつもなく大きな鉄橋がかかっているの? 下に大河が流れているわけでもないのに」と思われるようです(でした)。しかしながらここができた歴史をひも解いて事情を知ることで、必然性が理解できます。こんな大きな例でなくても、街中で見かける風景で一見不思議ではあるものの、理由がわかるとなるほどと納得するものがありますね。実景を模型化するにあたって細かく現地を見ていくと、時々そういった場面に出くわします。
 JR近畿京都線の製作記のなかで、「実際にありそうな風景・見たことがある情景を創造することがリアリティを生み出す」と書きましたが、現場には想像の範囲を超えた奇妙な実景もあるということに気が付きました。ただし、あくまで理由・根拠があってのことで、"何でも有り"とは違います。昔から言われることですが、レイアウトは学校の運動場にエンドレスでレールを敷いてC62を走らせるのと同じぐらいの世界感で完結しなければなりません。これだけでもありえない話なのに、シーナリー・ストラクチャーまでおかしなことになれば、遊園地の乗り物の○○ライドのようになってしまいます。(もちろん、そういうレイアウトを作りたいのなら構いませんが)
 とりとめのないことを書いてきましたが、ジオラマ餘部鉄橋の建設記はここまでです。私の個人的な考えになりますけれども、要はレイアウト・ジオラマのコンセプトや指向性ををしっかりとすることだと思います。実景の忠実な再現を目指すのか、自分独自の世界を作りあげたいのか、人それぞれでいいでしょう。好きなようにしても誰にも叱られたり止められたりはしないのが模型趣味の世界です。

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