価格破壊
ハンバーガーが平日半額になって正直言ってびっくりした。こんな値段で儲かるのだろうか?それとも今までが高すぎたのか?とにかく消費者にとってはうれしい話だ。どうして安くしたのだろうか?ハンバーガーの需要は頭打ちになっていた。そこで考えたのが、値段を下げて、他のハンバーガー業者の固定客を切り崩していく戦略だ。「少しくらい味が違っても安ければいいや」というお客さんを奪うことが出来た。他のハンバーガー業者が同じように値段を下げると面白い現象が起こった。それは、他業種の客がハンバーガーに流れてくるという現象だ。牛丼・カレーやラーメンなどのお客さんが安いハンバーガーに流れてきた。そうなると面白くないのが牛丼屋だ。牛丼屋さん同士でも値下げ戦争がおこり、ついに牛丼並盛りが1杯400円から280円に値下げされた。

ハンバーガーも牛丼も取材で食べてみました。値下げ前と味も量も変わっていないことを私が保障します。牛丼屋さんで並盛りを注文したら「卵と味噌汁はいかがですか?」と聞かれた。卵と味噌汁は牛丼屋さんにとって利益率の高い商品。涙ぐましい努力である。外食産業が値下げをして集客力をつけると困るのがコンビニ弁当。コンビニ弁当は、500円の弁当を売ると150円くらいの利潤がでるドル箱商品。コンビニ業界も弁当の値段を下げたり品数を増やしたりして、外食産業に対抗しているようです。

ハンバーガー・牛丼・車検・眼鏡・洋服・スーツ・電化製品・携帯電話・カラオケ・旅行などあらゆるものが価格破壊の洗礼を受けている。100円ショップやアウトレット店が売上を伸ばしている。給料が下がっているから当然なのか、それとも危険な兆候なのか?

10%引きや半額セール、半期に一度の大決算はもう慣れてしまった。野球チームの優勝記念セールや閉店セールも見飽きてしまった。値札の価格にバツがついて安い値段がついていても、前の高い価格を疑ってしまうので信用できない。物の価値がわからなくなってきた。車も今なら10万円分のオプション付きとか、あなたの車のメーター距離分を値下げしますなど、消費者を誘惑させている。近頃ではマイホームまで決算セールだ。私も家を買おうかな?今の家は弟の瑞穂が昭和30年に建ててくれたから、もう45年以上も住んでいる。弟の瑞穂は大工だったから、兄のために家を建ててくれた。昭和30年当時、私は弟に1万円支払った。あの当時、1万円の家は価格破壊だった。

昭和13年、私は山を買った。当時の人はその山を「なまこ山」と呼んでいたが、なんで「なまこ」なのかは私も知らない。斜面が緩やかで、沢の水は冷たくておいしい。私はその山を1000円で買った。あの当時、1000円はちょっと高かった。

私が今ほしいもの。子供の頃はあったかいストーブがほしかった。戦時中はお腹いっぱいになる食べ物がほしかった。私が今ほしいものは、価格破壊とは縁のないお金では買えないもの。それは健康。最期まで丈夫な足と脳みそを持ちたい。でも、あと5年以内にクローン技術が発達して、心臓50万円、脳みそサービス価格100万円で病院に売っている時代が来るかもしれない。科学者の皆さん、がんばってください。その日が来るまで、私はこれ以上老化が進まないように、タイムカプセルの中で寝ていたい。