夜泣き石の話には後日談がある。赤ん坊は、成人後に刀の研ぎ師となるのだが、あるとき刃こぼれした刀が彼のところへ持ち込まれた。母親が賊に斬殺された時、傍らにあった夜泣き石が刀の刃を止め、それで自分が生き延びたことを知っていた彼は、「もしや」と思って持ち主に刃の欠けた理由を問い詰めると、若い頃遠州で妊婦を殺めた時に近くにあった石を切ったせいだ答えが返って来た……。
 小夜の中山は西行法師や松尾芭蕉も歌に詠んだ土地。峠道は狭く、勾配もきつい。しかし気候が良い頃ならば、ハイキングのつもりでこの辺りを歩くのも気分が良いだろう。周囲の山々の斜面には茶畑が広がり、茶所静岡を地で行くような風景を眺めることが出来る。