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法令における漢字使用等について


編者注:昭和56年10月1日付けで「常用漢字表」(内閣告示第1号・内閣訓令第1号)が発せられ,同時に「公用文における漢字使用等について」(事務次官等会議申合せ)が定められたのに伴い,それらに関する法令における取扱いを内閣法制局で検討し実施の運びとなったので,同日付けで「法令における漢字使用等について」を,内閣法制次長から各省事務次官あてに通知したものである。
 原文は,通知文を除いては,縦書きである。


内閣法制局総発第141号
昭和56年10月1日
          殿
内閣法制次長     
               
法令における漢字使用等について(通知)

 昭和56年10月1日付け内閣訓令第1号「「常用漢字表」の実施について」により,各行政機関においては,同日付け内閣告示第1号の「常用漢字表」を漢字使用の目安とするものとされ,同日事務官等会議で「公用文における漢字使用等について」の申合せがされたので,当局において,法令における漢字使用等について検討した結果,従前の「法令における当用漢字の音訓使用及び送り仮名の付け方」に代えて,別添により実施することとしたから,通知します。


(別添)
法令における漢字使用等について

一 法令における漢字使用等は,法律については次回国会(常会)に提出するものから、政令につい
 ては昭和五十六年十二月一日以後最初の閣議に提出するものから、別紙「法令における漢字使
 用等について」による。
二 新たに法律又は政令を起案する場合に別紙「法令における漢字使用等について」によるものはも
 ちろん、既存の法律又は政令の改正について起案する場合(文語体の法律又は勅令を文体を変え
 ないで改正する場合を除く。)にも、同様とする。したがつて、改正されない部分に用いられている
 語と改正すべき部分に用いるこれと同一の内容を表す語とが書き表し方において異なることとなっ
 ても、差し支えない。
三 一及び二は、条約についても、同様とする。


(別紙)
法令における漢字使用等について

一 漢字使用について
  昭和56年10月1日事務次官等会議申合せ「「公用文における漢字使用等について」記1漢字使
 用について」による。
二 送り仮名の付け方について
 1 単独の語
 (一) 活用のある語は、昭和48年内閣告示第2号の「送り仮名の付け方」の本文の通則1の「本
    則」・「例外」及び通則2の「本則」の送り仮名の付け方による。
 (二) 活用のない語は、「送り仮名の付け方」の本文の通則3から通則5までの「本則」・「例外」の
    送り仮名の付け方による。
    〔備考〕 表に記入したり記号的に用いたりする場合には、次の例に示すように、原則として、
        (  )の中の送り仮名を省く。
          例 晴(れ)  曇(り)  問(い)  答(え)  終(わり)  生(まれ)
 2 複合の語
 (一) (二)に該当する語を除き、原則として、「送り仮名の付け方」の本文の通則6の「本則」の送
    り仮名の付け方による。ただし、活用のない語で読み間違えるおそれのない語については、
    「送り仮名の付け方」の本文の通則6の「許容」の送り仮名の付け方により、次の例に示すよ
    うに送り仮名を省く。
     例  明渡し  預り金  言渡し  入替え  植付け  魚釣用具
        受入れ  受皿  受持ち  受渡し  渦巻  打合せ
        打合せ会  打切り  内払  移替え  埋立て  売上げ
        売惜しみ  売出し  売場  売払い  売渡し  売行き
        縁組  追越し  置場  贈物  帯留  折詰
        買上げ  買入れ  買受け  買換え  買占め  買取り
        買戻し  買物  書換え  格付  掛金  貸切り
        貸金  貸越し  貸倒れ  貸出し  貸付け  借入れ
        借受け  借換え  刈取り  缶切  期限付  切上げ
        切替え  切下げ  切捨て  切土  切取り  切離し
        靴下留  組合せ  組入れ  組替え  組立て  くみ取便所
        繰上げ  繰入れ  繰替え  繰越し  繰下げ  繰延べ
        繰戻し  差押え  差止め  差引き  差戻し  砂糖漬
        下請  締切り  条件付  仕分  据置き  据付け
        捨場  座込み  栓抜  備置き  備付け  染物
        田植  立会い  立入り  立替え  立札  月掛
        付添い  月払  積卸し  積替え  積込み  積出し
        積立て  積付け  釣合い  釣鐘  釣銭  釣針
        手続  届出  取上げ  取扱い  取卸し  取替え
        取決め  取崩し  取消し  取壊し  取下げ  取締り
        取調べ  取立て  取次ぎ  取付け  取戻し  投売り
        抜取り  飲物  乗換え  乗組み  話合い  払込み
        払下げ  払出し  払戻し  払渡し  払渡済み  引上げ
        引揚げ  引受け  引起し  引換え  引込み  引下げ
        引締め  引継ぎ  引取り  引渡し  日雇  歩留り
        船着場  不払  賦払  振出し  前払  巻付け
        巻取り  見合せ  見積り  見習  未払  申合せ
        申合せ事項  申入れ  申込み  申立て  申出  持家
        持込み  持分  元請  戻入れ  催物  盛土
        焼付け  雇入れ  雇主  譲受け  譲渡し  呼出し
        読替え  割当て  割増し  割戻し
 (二) 活用のない語で慣用が固定していると認められる次の例に示すような語については、「送り
    仮名の付け方」の本文の通則7により、送り仮名を付けない。
     例  *合図  合服  *合間  預入金  編上靴  *植木
        《進退》伺  浮袋  *浮世絵  受入額  受入先  受入年月日
        *請負  *受付  受付係  *受取  受取人  受払金
        打切補償  埋立区域  埋立事業  埋立地  裏書  *売上《高》
        売掛金  売出発行  売手  売主  *売値  売渡価格
        売渡先  *絵巻物  襟巻  沖合  *置物  *奥書
        奥付  押売  押出機  覚書  *《博多》織  折返線
        織元  *織物  卸売  買上品  買受人  買掛金
        外貨建債権  概算払  買手  買主  *買値  書付
        *書留  過誤払  貸方  貸越金  貸室  貸席
        貸倒引当金  貸出金  貸出票  *貸付《金》  貸主  貸船
        貸本  貸間  *貸家  箇条書  貸渡業  肩書
        *借入《金》  借受人  借方  借越金  刈取機  借主
        仮渡金  缶詰  *気付  *切手  *切符  切替組合員
        切替日  くじ引  *組合  組入金  組立工  *倉敷料
        繰上償還  繰入金  繰入限度額  繰入率  繰替金  *繰越《金》
        繰延資産  *消印  月賦払  現金払  小売  *小売《商》
        小切手  *木立  *小包  *子守  *献立  先取特権
        *作付面積  挿絵  差押《命令》  *座敷  指図  差出人
        差引勘定  差引簿  刺身  *試合  仕上機械  仕上工
        仕入価格  仕掛花火  仕掛品  敷網  敷居  *敷石
        敷金  *敷地  敷布  *敷物  軸受  下請工事
        仕出屋  仕立券  仕立物  *仕立屋  質入証券  支払
        支払元受高  *字引  仕向地  *事務取扱  事務引継  締切日
        所得割  新株買付契約書  据置  《期間》  《支出》済《額》  *関取  備付品
        *《型絵》染  ただし書  立会演説  立会人  立入検査  *立場
        竜巻  立替金  立替払  建具  建坪  建値
        建前  *建物  棚卸資産  《条件》付《採用》  月掛貯金
        付添人  漬物  積卸施設  積出地  *積立《金》  積荷
        詰所  釣堀  *手当  出入口  出来高払  手付金
        手引  手引書  手回品  手持品  灯台守  *頭取
        《欠席》届  留置電報  *取扱《所》  *取扱《注意》  取入口  取替品
        取組  取消処分  《麻薬》取締法  *取締役  取立金  取立訴訟
        *取次《店》  取付工事  取引  *取引《所》  取戻請求権  問屋
        *仲買  仲立業  投売品  *並木  縄張  荷扱場
        荷受人  荷造機  荷造費  *《春慶》塗  《休暇》願  乗合船
        乗合旅客  *乗換《駅》  *乗組《員》  *場合  *羽織  履物
        *葉巻  払込《金》  払下品  払出金  払戻金  払戻証書
        払渡金  払渡郵便局  *番組  *番付  控室  引当金
        *引受《時刻》  *引受《人》  *引換《券》 *《代金》引換 引継事業  引継調書
        引取経費  引取税  引渡《人》  *日付  引込線  瓶詰
        *歩合  封切館  福引《券》  船積貨物  *踏切  *振替
        振込金  *振出《人》  不渡手形  分割払  *《鎌倉》彫  掘抜井戸
        前受金  前貸金  巻上機  *巻紙  巻尺  巻物
        *待合《室》  見返物資  見込額  見込数量  見込納付  水張検査
        *水引  *見積《書》  見取図  見習工  未払勘定  未払年金
        見舞品  名義書換  *申込《書》  申立人  持込禁止  元売業者
        *物置  *物語  物干場  *《備前》焼  *役割  *屋敷
        雇入契約  雇止手当  *夕立  譲受人  湯沸器  呼出符号
        読替規定  陸揚地  陸揚量  *両替  *割合  割当額
        割高  *割引  割増金  割戻金  割安
     〔備考〕 *印を付けた語は、「送り仮名の付け方」の本文の通則7において例示された語
         であることを示す。
 3 付表の語
   「送り仮名の付け方」の本文の付表の語(1のなお書きを除く。)の送り仮名の付け方による。
三 その他
 1 一及び二は、固有名詞を対象とするものではない。
 2 一及び二については、これらを専門用語及び特殊用語に適用するに当たって、必要と認める場
  合は、特別の考慮を加える余地があるものとする。

文化庁「公用文の書き表し方の基準(資料集)」から抜粋

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