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金融庁・事務ガイドライン

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「第三分冊:金融会社関係(平成15年4月1日改正) 3 貸金業関係」から抜粋
(注)貸金業規制2法に関する旧大蔵省銀行局長通達を引き継ぎ,改訂をしているもの

第三分冊 金融会社関係

3 貸金業関係

3−2  業務関係

 貸金業者等に対する法第3章の規定に係る監督に当たっては、次により取り扱うものとする。

−2−1 過剰貸付けの防止

 法第13条(過剰貸付け等の禁止)の規定に係る監督に当たっては、次に掲げる事項に留意するものとする。
 

(1)

 過剰貸付けの判断基準
 貸金業者が貸付けを行うに当たって、当該貸付けが資金需要者の返済能力を超えると認められるか否かは、当該資金需要者の収入、保有資産、家族構成、生活実態等及び金利など当該貸付けの条件により一概に判断することは困難であるが、窓口における簡易な審査のみによって、無担保、無保証で貸し付ける場合の目処は、当該資金需要者に対する1業者当たりの貸付けの金額について50万円、又は、当該資金需要者の年収額の10%に相当する金額とすること。

(2)

 顧客に対し、必要とする以上の金額の借入れを勧誘したり、借入意欲をそそるような勧誘をしてはならないこと。

(3)

 無担保、無保証の貸付けを行うときは、借入申込書に借入希望額、既往借入額、年収額等の項目を顧客自らに記入させることにより、その借入意思の確認を行うこと。

(4)

 無担保、無保証の貸付けを行うときは、信用情報機関を利用して、顧客の借入状況、既往借入額の返済状況等を調査し、その調査結果を書面に記録すること。


−2−2 取立て行為の規制

 法第21条第1項(取立て行為の規制。法第24第2項、法第24条の2第2項、法第24条の3第2項、法第24条の4第2項、法第24条の5第2項において準用する場合を含む。)の規定に係る監督に当たっては、次に掲げる事項に留意するものとする。
 

(1)

 貸金業者又は債権の取立てについて委託を受けた者等が、債務者、保証人等を威迫する次のような言動を行ってはならないこと。
 

@

 暴力的な態度をとること。

A

 大声をあげたり、乱暴な言葉を使ったりすること。

B

 多人数で押し掛けること。

(2)

 債務者、保証人等の私生活又は業務の平穏を害する次のような言動を行ってはならないこと。
 

@

 正当な理由なく、午後9時から午前8時まで、その他不適当な時間帯に、電話で連絡し若しくは電報を送達し又は訪問すること。

A

 反復継続して、電話で連絡し若しくは電報を送達し又は訪問すること。

B

 はり紙、落書き、その他いかなる手段であるかを問わず、債務者の借入れに関する事実、その他プライバシーに関する事項等をあからさまにすること。

C

 勤務先を訪問して、債務者、保証人等を困惑させたり、不利益を被らせたりすること。

(3)

 その他、債務者、保証人等に対し、次のような行為をしてはならないこと。
 

@

 他の貸金業者からの借入れ又はクレジットカードの使用等により弁済することを要求すること。

A

 債務処理に関する権限を弁護士に委任した旨の通知、司法書士法第3条第1項第6号及び第7号に規定する業務(簡裁訴訟代理関係業務)に関する権限を同法第3条第2項に規定する司法書士に委任した旨の通知、又は調停、破産その他裁判手続をとったことの通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求をすること。

B

 法律上支払義務のない者に対し、支払請求をしたり、必要以上に取立てへの協力を要求すること。

C

 その他正当と認められない方法によって請求をしたり取立てをすること。


−2−3 取引関係の正常化

 上記のほか、貸金業者の監督に当たっては、資金需要者等の利益の保護を図る観点から、次に掲げる事項に留意するものとする。
 

(1)

 債務者、保証人その他の債務の弁済を行おうとする者から、帳簿の記載事項のうち、当該弁済に係る債務の内容について開示を求められたときに協力すること。

(2)

 契約を締結するに際して、契約内容を文書又は口頭で十分説明すること。

(3)

 契約を締結するに際しては、次に掲げる行為を行ってはならないこと。
 

@

 白紙委任状及びこれに類する書面を徴求すること。

A

 白地手形及び白地小切手を徴求すること。

B

 クレジットカードを担保等として徴求すること。

C

 貸付け金額に比し、過大な担保を徴求すること。

D

 印鑑、預貯金通帳・証書、キャッシュカード、運転免許証、健康保険証、年金受給証等の債務者の社会生活上必要な証明書等を徴求すること。

(4)

 包括契約を締結したとき及び当該包括契約に基づく貸付けを行ったときは、そのいずれの場合にも、その内容を明らかにする書面をその相手方に交付すること。また、その書面は、債務者が自己の債務の内容を正確に把握し、弁済計画の参考としうる程度の一義的、具体的、明確なものであること。

(5)

 バス又は乗用車等の巡回により貸付けに関する業務の全部又は一部を営む行為は、安全性や顧客とのトラブルの発生等の問題があることから、行ってはならないこと。

(6)

 顧客の信用情報について、不必要な事項の調査、調査事項の貸付け目的以外への使用等顧客のプライバシーの侵害となるような行為は行ってはならないこと。

(7)

 貸金業以外の業務を行っている場合において、当該貸金業以外の業務に関して貸金業者の登録番号を使用してはならないこと。

(8)

 社会的に過剰宣伝であると批判を浴びるような過度の広告をしてはならないこと。

(9)

 貸付けの利率について、出資法に定められた上限利率にかかわらず、自らの経営努力により、可能な限り引き下げ、もって資金需要者の負担の軽減を図るよう努めること。

(10

) 法第17条第2項の規定により、保証人となろうとする者に当該保証契約の内容を説明する書面を交付するときは、保証人となろうとする者があらかじめ保証契約の内容を十分理解した上で保証契約を締結するとの法の趣旨に沿って交付すること。

(11

) 法第17条(法第24条第2項、法第24条の2第2項、法第24条の3第2項、法第24条の4第2項、法第24条の5第2項において準用する場合を含む。)に規定する書面における規則第14条第1項第1号イに定める事項の記載については、保証の種類(連帯保証、根保証等)及びその効力(根保証の場合における極度額の説明を含む。)をわかりやすく記載するなど、保証人となろうとする者が保証契約の内容を十分理解しうる内容であること。


−2−4 日賦貸金業者の監督

 上記のほか、日賦貸金業者の監督に当たっては、日賦貸金業者は他の貸金業者に比して債権の回収にコストがかかることなどを考慮して出資法の上限金利の特例が認められているという趣旨に鑑み、また、資金需要者等の利益の保護等を図る観点から、次に掲げる事項に留意するものとする。
 

(1)

 出資法附則第9項第1号において、日賦貸金業者の貸付けの相手方が主として営む業種は、物品販売業、物品製造業、サービス業に限られているが、業種の判断については、原則として、日本標準産業分類表を参考とすること。
 例えば、日賦貸金業者が、建設業者、不動産業者、サラリーマン、主婦等に貸し付けることは、出資法違反となること。

(2)

 日賦貸金業者の貸付けの相手方が常時使用する従業員の数は5人以下とされているが、常時使用する従業員数の算定に当たっては、正社員に限らず、臨時雇用であっても、数ヶ月程度の期間にわたり雇用されている場合などにおいては、実態に即して常時使用する従業員に含むものであること。

(3)

 出資法附則第9項第2号において、返済期間は100日以上と定められているが、当初の契約における返済期間が100日以上であったとしても、日賦貸金業者側が貸付けの相手方に債務の借換えをさせたり、正当な理由なく期限の利益を喪失させるなどして繰上弁済をさせるなどにより、事後的に返済期間が100日未満となっている場合には、出資法違反となる場合があること。

(4)

 出資法附則第9項第3号において、日賦貸金業者は返済期間の100分の50以上の日数にわたり、かつ、貸付けの相手方の営業所又は住所において自ら集金するよう定められているが、取立て日数の割合の算定に当たっては、貸付けの相手方が貸金業者の営業所に自ら返済金を持参し、それを受領したとしても取立て日数には算入されず、実際に相手方に訪問した日数のみを算入するものであること。
 なお、日賦貸金業者が集金のため相手方に訪問したものの集金できなかった場合には、帳簿等に訪問日時が記載されているなど、集金のために訪問したことが客観的に明らかになっている場合に限り、取立て日数に算入するものであること。
 また、土・日・祝祭日など日賦貸金業者又は債務者の休日であっても、相手方に集金のため訪問しなかった場合には取立て日数の割合の算定には考慮されないこと。

(5)

 数日分の返済金をまとめて前受けした場合、受領した金銭のうち1日当たり0.15%の割合により算出された出資法上の上限利息を超えた部分を元本に充当せず、利息として受領した場合には、受領時点において出資法違反(高金利)となること。

(6)

 いわゆる日賦償還表を法第18条の受取証書としている場合(法第18条第1項各号に掲げる事項がもれなく記載されており、かつ、貸付けの相手方が当該償還表を保有している場合に限る。)においては、返済金を前受けした場合や遅延損害金等を受領した場合など当初の日賦償還表の償還スケジュールに変更があった場合には、当該日以降の償還表の記載事項の変更を行うか、又は、当該日以降返済を受けた都度、法第18条の受取証書を交付する必要があること。
 また、貸付けの相手方から、返済の都度、個別に受取証書を交付するよう請求があった場合には、個別に受取証書を交付しなければならないこと。




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