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最三小判平成19.4.24 民集第61巻3号1073頁(裁判所判例検索システム)
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(判決要旨)
いわゆる自動継続特約付きの定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効は,それ以降自動継続の取扱いがされることのなくなった満期日が到来した時から進行する。
(参照法条) 民法91条,民法166条1項,民法666条
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(判決理由抜粋)
3 第1審,原審とも,本件預金の弁済の事実は認められないとした。他方,本
件預金の払戻請求権の消滅時効について,第1審は,本件預金契約締結後最初に到
来する満期日(以下「初回満期日」という。)である昭和63年2月23日から時
効が進行するから,その後10年の経過によりこれが完成したとして,被上告人の
請求を棄却したのに対し,原審は,上記消滅時効は,本件解約申入れ後最初に到来
する満期日である平成15年2月23日から進行するから,いまだ完成してはいな
いとして,第1審判決を取り消して被上告人の請求を認容した。
4(1) 自動継続定期預金契約における自動継続特約は,預金者から満期日にお
ける払戻請求がされない限り,当事者の何らの行為を要せずに,満期日において払
い戻すべき元金又は元利金について,前回と同一の預入期間の定期預金契約として
継続させることを内容とするものである(最高裁平成11年(受)第320号同1
3年3月16日第二小法廷判決・裁判集民事201号441頁参照)。
消滅時効
は,権利を行使することができる時から進行する(民法166条1項)が,自動継
続定期預金契約は,自動継続特約の効力が維持されている間は,満期日が経過する
と新たな満期日が弁済期となるということを繰り返すため,預金者は,解約の申入
れをしても,満期日から満期日までの間は任意に預金払戻請求権を行使することが
できない。したがって,初回満期日が到来しても,預金払戻請求権の行使について
は法律上の障害があるというべきである。
もっとも,自動継続特約によれば,自動継続定期預金契約を締結した預金者は,
満期日(継続をしたときはその満期日)より前に継続停止の申出をすることによっ
て,当該満期日より後の満期日に係る弁済期の定めを一方的に排除し,預金の払戻
しを請求することができる。しかし,自動継続定期預金契約は,預金契約の当事者
双方が,満期日が自動的に更新されることに意義を認めて締結するものであること
は,その内容に照らして明らかであり,預金者が継続停止の申出をするか否かは,
預金契約上,預金者の自由にゆだねられた行為というべきである。したがって,預
金者が初回満期日前にこのような行為をして初回満期日に預金の払戻しを請求する
ことを前提に,消滅時効に関し,初回満期日から預金払戻請求権を行使することが
できると解することは,預金者に対し契約上その自由にゆだねられた行為を事実上
行うよう要求するに等しいものであり,自動継続定期預金契約の趣旨に反するとい
うべきである。そうすると,初回満期日前の継続停止の申出が可能であるからとい
って,預金払戻請求権の消滅時効が初回満期日から進行すると解することはできな
い。
以上によれば,自動継続定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効は,預
金者による解約の申入れがされたことなどにより,それ以降自動継続の取扱いがさ
れることのなくなった満期日が到来した時から進行するものと解するのが相当であ
る。
(2) 前記事実関係等によれば,本件預金契約は,本件解約申入れのあった平成
14年8月13日の後における初めての満期日である平成15年2月23日におい
て,それ以降自動継続の取扱いがされることがなくなったものと解されるから,本
件預金の払戻請求権の消滅時効は,同満期日から進行するというべきである。
5 以上のとおりであるから,被上告人の請求を認容した原審の判断は,正当と
して是認することができる。論旨は採用することができない。
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