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最二小判昭和49.12.20 民集第28巻10号2072頁(裁判所判例検索システム)
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(判決要旨)
準禁治産者である権利者が保佐人の同意を得られないため訴を提起できない場合でも、その権利についての消滅時効の進行は妨げられない。
(参照法条) 民法12条1項4号,民法166条1項
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(判決理由抜粋)
消滅時効は、権利者において権利を行使することができる時から進行するのであ
るが、消滅時効の制度の趣旨が、一定期間継続した権利不行使の状態という客観的
な事実に基づいて権利を消滅させ、もつて法律関係の安定を図るにあることに鑑み
ると、右の権利を行使することができるとは、権利を行使し得る期限の未到来とか、
条件の未成就のような権利行使についての法律上の障碍がない状態をさすものと解
すべきである。
ところで、準禁治産者が訴を提起するにつき保佐人の同意を得られ
なかつたとの事実は、権利行使についての単なる事実上の障碍にすぎず、これを法
律上の障碍ということはできない。
それゆえ、準禁治産者である上告人が本件訴を
提起するにつき保佐人の同意を得られなかつたとしても、そのことによつては、本
件損害賠償債権の消滅時効の進行は妨げられないといわなければならない。
また、
上告人の本件損害賠償債権が条件付債権あるいは確定判決のある債権でないことも
明らかである。以上のとおりであるから、被上告人らの時効の抗弁を認めた原審の
判断は正当である。
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