実務の友 実友・判例集
 
最一小判平成4.6.25 民集 第46巻4号400頁(裁判所判例検索システム)
(判示事項)
 損害賠償額の算定に当たって加害行為前から存在した被害者の疾患をしんしゃくすることの可否
(裁判要旨)
 被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とがともに原因となって損害が発生した場合において、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、損害賠償の額を定めるに当たり、民法722条2項の規定を類推適用して、被害者の疾患をしんしゃくすることができる。
(参照法条)  民法722条2項
(判決理由抜粋)
一 被害者に対する加害行為と被害者のり患していた疾患とがともに原因となって損害が発生した場合において、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損 害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、損害賠償の額を定めるに当たり、民法722条2項の過失相殺の規定を類推適用して、被害者の当該疾患 をしんしゃくすることができるものと解するのが相当である。けだし、このような場合においてもなお、被害者に生じた損害の全部を加害者に賠償させるのは、損害 の公平な分担を図る損害賠償法の理念に反するものといわなければならないからである。





2013.2-

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