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最一小判平成25.7.18(裁判所判例検索システム)
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(判決要旨)
継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰
り返され,同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合にお
いて,過払金が発生している時点で新たな借入れをしたときには,利息制限法1条
1項にいう「元本」の額は,新たな借入金に上記過払金を充当した後の額をいうも
のと解するのが相当である。
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(判決理由抜粋)
2 原審は,過払金が発生している時点で新たな借入れをした場合における利息
制限法1条1項にいう「元本」の額とは,新たな借入金そのものの額をいうものと
し,本件第1取引のうち平成8年8月26日の100万円の借入れ以降の取引に適
用される制限利率を年1割5分と判断して,被上告人の請求を認容すべきものとし
た。
3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰
り返され,同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合にお
いて,過払金が発生している時点で新たな借入れをしたときには,利息制限法1条
1項にいう「元本」の額は,新たな借入金に上記過払金を充当した後の額をいうも
のと解するのが相当である。
これを本件についてみると,前記事実関係によれば,過払金24万1426円が
発生している時点で新たに100万円の借入れがされたというのであるから,利息
制限法1条1項にいう「元本」の額は,上記借入金に上記過払金を充当した後の額
である75万8574円となり,以降の取引に適用される制限利率は年1割8分と
なる。
4 以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違
反がある。論旨は理由がある。
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