単発利息計算ソフト Risokkey Ver.7.1
                        (2008.01.20 〜 2022.11.17)

Risokkey


1 ソフトの目的
  裁判実務向きの単発利息計算ソフト。
  Excelの操作を知らなくても使える「Excel」なソフト。
  利息計算方法では、裁判実務(債権執行等)で使われる年利計算(○年と○日式)の暦日期間計算方法等に対応。
  操作簡単、計算敏速、計算プロセスを明示、その印刷、計算履歴の記録、閲覧も可能です。
  Risokkeyは、「利」便性、敏「速」性、「記」録性を目指した名称です。


2 ソフトの概要
  利息は、基本的に、
        
元金 × 利率 × 借受期間 
で算出されますが、いろいろな場合に応じて使えるソフトにするためには、これだけの算式では対応できません。
  (1)利率は年利によるか、日歩によるか、
  (2)利率はどれほどか、
  (3)期間は年単位か、日割計算は全て365日計算か、うるう年で366日計算か、
  (4)期間は借受日(初日)を含めるか(起算日をいつにするか)、
  (5)算出金額の小数点以下の処理(切捨てか四捨五入か)は、部分計算ごとにか、又は一括計算後にか、
等によって、計算結果が異なります。
 それぞれに応じた計算結果を出すためには、複雑なプログラムを組まなければなりません。
  このソフトは、ユーザーフォームの画面上で、「元金」、「利率」、「借受期間」の指定入力のほか、計算方法の条件設定を容易にし、「計算」ボタンをクリックすれば、計算式を示して、利息(遅延損害金)が敏速に算出されるようにしたものです。
  法律実務では、計算結果の正しさとともに、その計算過程を目に見えるように説明することも重要になります。
  このソフトでは、計算結果とともに、算出に必要な計算方法の要点、日数、利息計算の計算式をも表示されるようにしています。


3 動作環境
(1) 開発・使用確認のパソコン環境
    Windows10 + Excel2016上で開発したものです。
    Windows10以降、Excel2016以降のExcelファイル(マクロ機能付き)で動作可能です。

(2) ダウンロード時の注意
    ダウンロードに際しては、ファイルは圧縮されて提供されるので、「解凍」した上で使用します。
    (インストール、設定等の作業は不要です。)

(3) Excelのマクロを使用
    このソフトは、ExcelのVBA(マクロ)を利用して動作し、ほとんど自動計算、処理される仕様になっています。Excelの表(ワークシート)操作は、原則として不要です。
    なお、このソフトの実行により、レジストリの変更、パソコンの環境設定が行われることはありません。

(4) セキュリティ設定
    使用当初のみ、冒頭画面上部に「セキュリティの警告」が表示されるので、右側の「コンテンツの有効化」ボタンをクリックします。
    直ぐに単発利息計算ソフトのユーザーフォーム(基本画面)が表示されます。     

4 使用方法
  各部の説明、操作方法は、次のとおりです。

(1) 元金
    半角数字で入力します。数値の入力に従い「兆・億・万」の位取り表示が現れます。
    全角で数字を入力しても半角に自動変換されます。
    付属の「電卓」を利用し、計算処理した結果を入力することもできます。
    「電卓」では、「10000*(3+2)+2000/2」(算出結果は「51000」)のような加減乗除の数式計算が可能であり、その計算結果をそのまま利用して、利息計算ができます。
    「電卓」は、元金欄をダブルクリックしても、表示させることができます。
    元金欄で入力後、「Enter」キーを押せば、次に入力すべき利率欄にカーソルが移動します。
    (注)以後、入力して「Enter」キーを押していけば、順次自動的に必要な項目にジャンプして入力でき、「計算」実行までできます。

(2) 利率
    利息の元本に対する割合(利率)の定め方としては、年利、月利、日歩(100円に対する1日の利息の割合)があります。
    このソフトは、年利か日歩かを選択した上で、その利率を入力します。通常は、「年利」が原則として採用されます。
    利率設定は、年利、日歩の選択に応じて、利率リストから選択して入力します。アップダウン↑↓キーで選択入力が可能(日歩選択の場合は、年利に換算され、日歩入力欄の右に自動換算された年利が表示されます。)。
    リスト以外の利率を数値欄に直接入力することもできます。

(3) 使用期間
    「始期」と「終期」の年月日を、年・月・日の数値を指定して入力します。アップダウン↑↓キーで選択入力が可能です。
    期間計算では、初日(借受日)を算入するか否かが問題になります。これについては、後記の「初日(借受日)の算入、不算入」で設定します。
    期間入力では、和暦を基本に入力しますが、年月日の数値入力に従い、西暦、閏年・平年の区別、曜日、期間日数は、自動計算して表示されます。
    始期と終期の年月日の入力に従い、その間の「年数と日数」及び「全日数」が自動計算されて表示されます。

(4) 計算方法の指定
  ア 期間計算の方法
    次の計算方式の中から選択できます。
    (ア)「暦日(年・日)計算」
       暦に従って年単位で計算し、年に満たない期間は、閏年366日、平年365日として日割計算をします。
       特約がある場合は、その方式によります。
       このソフトの初期設定では、「暦日(年・日)計算」としていますので、特約がある場合は、それに応じた設定変更が必要になります。

    (イ)「年未満365日計算」
       暦に従って年単位で計算し、年に満たない期間は、全て年「365日」として日割計算をします。

    (ウ)「年365日計算」
       期間内の全日数を計算し、閏年、平年にかかわらず、年365日として日割計算をします。

    (エ)「各年計算」
       各年ごとに、閏年366日、平年365日として日割計算をします。
    (算出される利息金額は、「年365日計算」による場合が一番多くなります。)

  イ 初日(借受日)の算入、不算入
    初日(借受日)算入か、不算入かの選択をします。
    金銭貸借では借受日から利息が取れるとするのが判例(最大判昭33.6.6民集12巻9号1373頁)ですが、実務(消費者金融業者の多く)は、計算が簡便なため、借受日不算入の扱いが多いようです。
    このソフトでは、初日(借受日)「算入」を初期設定としています。

  ウ 小数点以下の処理
    年計算、日割計算した後の金額に対し、「切捨て」か「四捨五入」の選択ができます。
    
「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」3条は、債務の現金弁済について、1円未満について「四捨五入の原則」を定めていますが、直接金利計算を規制するものではなく、強行法規の利息制限法の制限利率を超えないようにするため、小数点以下「切捨て」処理が実務の取扱例として多いようです。
  このソフトでは、原則として、「切捨て」を初期設定としています。ただ、この場合でも、(a)すべて切り捨て計算とする方法と、(b)平年と閏年にまたがる期間の利息計算については、それぞれの期間について小数点以下1位までを求めて合算した結果で小数点以下を切り捨てる方法(東京地裁執行部採用方式)がありますが、このソフトでは後者を採用しています。

(5) メモ
     事件番号等、適宜メモを記入します。

(6) 計算実行
    以上を入力して「計算」ボタンをクリックすれば、計算方法に従った、期間、利息金、元利合計金、計算経過、算出数式等が表示されます。
    計算履歴を登録する場合は、引き続き「登録」ボタンで実行してください。
    「登録」した場合、利息計算の基本データ(元金、利率、期間、計算方法)がデータ表(「計算履歴」シート)に登録されます。
    ここでの計算の数式を付属の「電卓」にコピー&ペーストすれば、そのまま小数点以下までの計算結果が得られます。

(7) 印刷
    利息計算の内容、算出の方法、経過、結果等をプリントアウトする場合は、「印刷」のボタンをクリックします。画面(シート)が切り替わり、印刷内容が表示されます。
    印刷実行する場合は、画面右上の「印刷」ボタンをクリックします。
    (注)印刷用画面(シート)からユーザーフォーム(入力画面)に戻るには、右上の「利息計算」ボタンをクリックします。

(8) 計算履歴の登録・削除・閲覧
    登録  利息計算の基本データ(元金、利率、期間、計算方法)がデータ表(「計算履歴」シート)に登録されます。
    削除  計算履歴のシートから、指定データを削除します。
    閲覧  フォーム表示を消し、計算履歴のシートを閲覧できます。
    (注)データの登録・削除は、ユーザーフォーム上からのみ行ってください。シート上で登録・削除すると、その後の動作が保証されません。

(9) 計算履歴の表示
    「リスト」ボタンをクリックすれば、以前に登録した基本データ(元金、利率、期間、計算方法)を表示させ、再度条件設定をし直して、再計算をすることができます。
    (注)計算履歴一覧の画面(シート)からユーザーフォーム(入力画面)に戻るには、右上の「利息計算」ボタンをクリックします。


5 計算結果
  計算は、年、日の計算単位で利息計算した結果を小数点第2位で切り捨て、これを合算した結果で、小数点第1位以下の数値を、切捨て又は四捨五入しています(後記の裁判実務資料参照)。
  計算の順序、小数点以下の処理方法等により、他のソフト等に比べて、計算結果に若干の違いが生じる場合があります。


6 主要なファイル構成
  Risokkey.xls     (実行ファイル)
  ReadMe.htm    (ソフトの案内)
  SaibanJitumu.htm (期間計算方法の説明文)
  RSKImage.JPG   (イメージファイル)


7 著作権、配布方法
(1) 著作権
     このソフトの著作権は、「実務の友」管理者山本正名 に帰属します。
     プログラムの内容については、閲覧、編集することはできません。

(2) 配布
     このソフトはフリーソフトで、配布は無償、自由です。
     配布する場合は、元のファイルを加工せず、元のまま配布することを要します。

(3) 利用結果の責任
     このソフトの使用結果について、ソフト製作者、著作権者は一切責任を負いません。
     利用者の自己責任でご利用ください。
     正確な実行結果を期しておりますが、万一不具合がありましたら、ご容赦ください。

8 サポート
  ソフトの動作、日数・利息額計算のバグ(プログラムミス)等については、連絡くだされば、可能な限りの対応はします。
  バグの照会については、入力数値と計算結果をお示しくださると助かります。
  連絡は、次の【メール送信】をクリックして行います。
        実務の友【メール送信】

9 参考
(1) 利息の計算方法
    「暦日(年・日)計算」、「年未満365日計算」、「年365日計算」の計算方法については、東京地方裁判所民事第21部(民事執行センター・インフォメーション21)・執行手続・書式等のご案内【債権執行手続】の中の案内資料「利息・損害金の計算について」に詳しい解説があります。
    その概要は、SaibanJitumu.htmのとおりです。
    この裁判実務の取扱いは、「利息計算対象期間のうち年単位の、年単位の期間については年単位で考え、端数期間について平年に属するか閏年に属するかにより単位期間、すなわち分母を365日又は366日を採用するという考え方を採用しています(大阪弁護士会・大阪弁護士協同組合作成の「法律事務の手引」・全訂第4版102頁・大阪地方裁判所民事14部・東京地方裁判所民事21部債権執行係の取扱い例)。

(2) 計算方法の留意点
    大阪弁護士会所属弁護士五右衛門氏のサイトでは、この裁判実務の考え方を端数期間暦年閏年説ともいうべき考え方だとし、これに対し、理論的には、抽象的2月29日説(端数期間の起算日を基準として、向こう1年間の中には2月29日を含むが現実に金利計算する端数期間の中には2月29日を含まない場合においても、単位期間、すなわち分母として366日を採用するという考え方)が正しいとしています。
    その一方、
「現在の実務の取り扱いは、問題を含むと考えられる。」とするが、「消費貸借等における利息金ないし遅延損害等の、一度限りの計算方法としては、端数期間暦年説は、わかり易く、計算が簡便であり、電卓で計算できるという利点がある。」としています。
    
また、大阪弁護士会所属弁護士服部廣志著「金利計算と閏年・端数処理について」(電子図書・付録プログラム「金利及び弁済金額計算に関する法律と実務」抜粋)には、同旨の詳細な解説があります。

10 ソフト開発履歴
  2005.09.24 利息計算機を作成
  2008.01.20 Ver.1.0
      「実務の友」にアップロード
  2008.01.21 Ver.1.1
      電卓を、計算結果の数式をコピー貼り付けして再計算を可能にした。
      利息計算のバグ(利息金が計算の都度増えていく)を修正
  2008.01.22 Ver.1.2
      各年計算の日数表示のバグを修正
  2008.01.25 「Vector」に公開登録申請
  2008.02.10 Ver.2.0
      日数表示の食い違いのバグを修正
      始期が終期より大きい場合の不具合を修正
      数式のプリント時の長さを数段表示に改善
  2008.08.05 Ver.3.0
      暦日期間計算のバグを修正
  2009.02.15 Ver.4.0
      画面の構成、操作方法を改良、暦日期間計算のバグを修正
  2009.02.16 Ver.4.1
      画面の構成、操作方法を改良、暦日期間計算のバグを修正
  2022.01.22 Ver.7.0
      ファイル形式を.xlsm仕様化、画面の構成、操作方法を改良
  2022.01.27 Ver.7.1
      年率リストに1〜3%を加え、期間計算では、初日「算入」を原則とした。
      ReadMeファイルの閲覧障害(インターネットエクスプローラ利用)を修正

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