(1) 本件映画の公表時に映画の著作物の著作権の保護期間を定めていた旧著作権法は,
独創性のある映画の著作物のうち,団体の著作名義で発行又は興行した著作物の著作権は,発行又は興行から30年継続するものと定め(旧著作権法6条,23条の3),
その期間は,著作物を発行又は興行した年の翌年から起算することとしている(旧著作権法9条)。その後,旧著作権法下において,団体名義の映画の著作物の著作権の保護期間は,2回の暫定的な延長措置(昭和42年法律第87号,昭和44年法律第82号)により33年に延長された。さらに,45年改正法が施行され,
映画の著作物の著作権は公表後50年を経過するまでの間存続する旨定められた(改正前著作権法54条1項)。
(2) 本件映画の著作権は,
公表の翌年である昭和29年から起算して50年後の末日である平成15年12月31日が終了するまでの間存続する,
すなわち,本件映画の著作権は,同日の終了をもって,存続期間の満了により消滅する。
(3) 本件改正著作権法が施行された平成16年1月1日においては,
改正前の著作権法による本件映画の著作権は既に消滅しているから,
本件改正法附則2条の規定により,改正著作権法54条1項の規定は適用されない。
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