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定型書式文の高速穴埋め・置換の効率的文字入力法

 裁判所に提出すべき訴状,準備書面その他の民事訴訟書類の記載事項については,民事訴訟規則に規定があり,基本事件の申立では,当事者,代理人の住所氏名,事件の表示,年月日,裁判所の表示,附属書類を記載すべきこととされ(同規則2条1項),基本事件を前提にした申立てでは,住所の記載を要しないこととされています(同規則2条2項)。

 しかし,その記載事項を,紙面のどこに,どのように配置して記載すべきか,レイアウトまでは規定されていません。
 どういう目的,趣旨の書類で,どういう記載事項を,どうレイアウトして記載するかは,確定的な基準はありませんが,長年の実務の中で,次第に「一般書式」として形成され,現在では,記載事項とその書式をまとめた裁判実用書も多く出版されています。
 そうした一般書式では,次のようなレイアウトで,記載部分を○○○等で表記した書式が示されています。

平成○○年(○)第○○号 ○○○請求事件
原 告 ○○○○
被 告 ○○○○

○○○○申立書
平成○○年○月○日
○○○○裁判所 御中

○告訴訟代理人弁護士  ○○○○ (印)

 頭書事件について,○○○○○されたく申し立てます。





 「Wordの友」ver.12では,こうした実務で多く用いられる簡単な裁判書式を「短文(定型句)登録」し,適宜呼び出して利用することができるようにしています。
 上記のような書式(A4版)をWordで作成し,これに「●書式」などのタイトルを付けて短文登録しておけば,「Wordの友」特製のシステムで,リスト一覧が自動作成され,一覧リストから「●書式」をクリックするだけで,Word文書に保存したファイルから,その書式のサンプルを簡単に呼び出して利用することができる,というものです。

 誤解のないように補足しておきますが,法律文書や裁判文書は,定型的な表現処理もありますが,常にサンプル文をコピーし,継ぎ接ぎ細工のように簡単に仕上がるものではありません。
 ここでは「法律実務家のための文書作成の技術」と銘打っていますが,このサイトの中心テーマは,コンピュータによる文書作成の情報処理と技術開発であり,そのため,形式的な文例や定型書式や表記法,効率的な文書作成処理のソフトの工夫と操作術など取り上げているものです。
 法律実務家のための文書作成にとって真に大事なことは,目的や手続内容に即して,「論理的な明晰性,合理性,一貫性」のある,達意簡明な説得力ある文書を適時適切に作成することだと理解しております。
 その観点から,法律文書,裁判文書として,「何をどう書くべきか,何を書かざるべきか」については,最近発表された弁護士門口正人先生の論説「裁判最前線 第2回裁判所に提出する書面」(金融法務事情1983号(2013.12.10)39ページ以下,田中豊先生著「法律文書作成の基本 Legal Reasoning and Legal Writing」(日本評論社,211年)などが参考になると思います。
 以上を前提にした上で,パソコン時代に,法律文書を電子的にどう効率よく作成するかの技術研究が,ここでのテーマであり,ここで示した文例や記載例も,その限りの例示的な引用でしかなく,実務への実際の利用に際しては,利用者において,その目的,手続に応じて,再度吟味をお願いします。



 こうした短文登録・検索のシステムにより書式サンプルを簡単に利用できるようになったとしても,次の問題は,これをどう利用して文書を作成するかです。

 普通は,○○だらけの虫食いのような文書を,○○の部分を補充修正した後,次の○○部分へとカーソルを1文字分ずつ移動させて,これを補充修正し,あるいはカーソルを次の行に移動して補充修正し・・・と,このもどかしいばかりの操作(順次手操作)を次々と反復させて,文書を作成していかなければなりません。
 ほかに方法はないものでしょうか。これが問題です。「それしか方法がないんじゃないの?」というのが,普通の返答だと思います。

 「Wordの友」ver.12では,短文登録・検索システムに加えて,文書中の○○部分,数字部分,カタカナ部分,英字部分のいずれかを,又は,そのいくつかの組み合わせで,これを文中から自動検出し,順次修正できるようにしています。

 (1)エンターキー打ち(トン)で,○○字部分等該当箇所へジャンプし,(2)○○字部分への置換文字を入力してエンターキー(トン)で確定し,(3)次のエンターキー(トン)で,更に次の検出場所へとジャンプさせ,次々と文字置き換え作業をしていくという検索修正システムです。トン・トン・トーン,トン・トン・トーンと,リズムを取って○部分や数字部分等だけを自動検出させ,○の穴埋め,数字の置き換え等が,該当箇所だけの文字入力とエンターキーの操作だけでできてしまいます。

 Word画面で○が1つの部分であっても,入力機に数文字を入力することもできますし,逆に数文字分の○であっても,1文字に置き換えることもできます。数字入力で半角にするか全角にするかも,半角↑,全角↓のキー操作で実現できます。

 前述の「順次手操作」に比べて,この方法が効率的かどうかは,操作する人の馴れや好み,文書の置き換え部分の量などにもよるかもしれませんが,Wordのマクロ・VBAを駆使した一つの効率的な入力方法になります。文書の冒頭からといわず,文書の途中にカーソルを置き実行すれば,そこからの検出と修正も可能になります。

 こうした置き換えの機能を使わないまでも,この検索修正システムでは,○○の部分,数字部分,カタカナ部分だけを検出し,蛍光ペン表示にする機能もありますので,長い文章の中の数字部分,カタカナ部分などだけを検出し,表記の点検,確認,間違いの修正等にも使うことができます。


【1】 「検索修正」起動の初期画面。入力機の「先頭から」にチェックを入れます。
検索修正0
【2】 エンターキーを押すと,年の○○が検出され,反転表示されます。
検索修正1
【3】 入力機の○○部分に「26」と入力して,エンターキーを押します。
検索修正2
【4】 Word画面の○○部分が置換され「26」と修正されます。
検索修正3
【5】 エンターキーを押すと,自動的に,次の○○部分にジャンプし,反転表示されます。
検索修正4
【6】 入力機に事件符合の「ワ」を入力してエンターキーを押すと,Word画面の○部分が置換され「ワ」と修正されます。
検索修正5
【7】 エンターキーを押すと,自動的に,次の○○○部分にジャンプし,反転表示されます。
検索修正6
【8】 入力機に事件番号の「123456」を入力してエンターキーを押すと,Word画面の○○部分が置換され「123456」と修正されます。
検索修正7
【9】 エンターキーを押すと,自動的に,次の○○○部分にジャンプし,反転表示されます。
検索修正8
【10】 入力機に事件名の「貸金」と入力してエンターキーを押すと,Word画面の○○○部分が置換され「貸金」と修正されます。
検索修正9


【11】 ここで「蛍光表示」ボタンをクリックすると(ボタンが押された状態),次のとおり表示されます。
検索修正10
【12】 再度「蛍光表示」ボタンをクリックすると(ボタンが元に戻る),蛍光表示が消えます。
検索修正11
【13】 検索文字の「○●★×」のチェックを外し(検索文字を「全角数字」,「半角数字」のみとする),「蛍光表示」ボタンをクリックすると,次のとおり表示されます。
検索修正12

 最初に○や数字を「蛍光表示」をさせると,全文書で該当箇所が水色で蛍光表示され,その上で検索修正を始めると,検出置換作業が終わっても,その部分の蛍光表示は維持されたままになります。好みで使い分けをしてください。


 以上は,近いうちにアップロードする「Wordの友12」に装備予定の機能です。
 入力機の画面は,改良のため,実際にダウンロードしたものとは異なる場合があります。


法律実務家のための文書作成ツール(Word機能拡張ソフト)の活用

2013.12
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