◆ 連載された作品です。 連載誌面は一通一通が葉書のようにレイアウトされ、エヴァンズの 切手もちりばめられて、たいへん美しいものでした。 そしてこのたび単行本化が2001年、連載終了後なぜこんなに 年月がたったのかというと…平出先生は10年間、推敲しておられたのだ! 「では葉書もずいぶん増やされたのですね?」とお伺いすると、 「いえ、減りました」とにっこりなさる平出先生。詩人おそるべし! (でもほんとうの理由はU章を読んでください このご本は架空の切手の国々への通信ではあるけれど、 「架空の通信」の本ではない。「ほんとうの旅」の本なのです)。 印刷ゲラになってからも著者校半年、3校ゲラもまっかか、 4校は「会社からは禁帯出ですよー」と泣いてる担当者に 「だいじょうぶ。伺います。」とにっこり朱入れ。 でも、加筆してくださるたび、ふるえちゃうぐらいよい御文章になってゆくのだ。 泣きながら喜ぶ担当者でございました。 責了といいます)、平出先生が「is」に書いておられた 「本は避けられない」を再読してうむうむ、とナットク。 ◆ 紹介なさった横田茂さん(横田茂ギャラリー)が手がけてくださいました。 本表紙(カバーを外した本体)の淡い黄緑色がすべての基本に なっています。これは横田さんの指定によって特別に調合したインクで (インクを調合することを印刷用語では「調肉」というのだ。 印刷工場に行くと「調肉室」というプレートがかけてあってちょっとスゴイね)、 見返し紙も裏表このインクの濃淡で刷るというゼイタクさ。 神田須田町の気合いの入った印刷所、栗田印刷さんのワザものです。 各章の扉の前にはやわらかなクリーム色で刷られた薄紙が配されています。 この紙と、巻頭の化粧扉は同じ紙。ただし均量がすこし変えてあります。 これはレター・ペーパーで、透かし文字が入ってる。 意外とカワイイもようなのだ。ヒントは紙の名前「ゴールド・カップ」。 横田ギャラリーさんで造本打ち合わせをしていたとき、 ハプニングがありました。国際的なコンセプチュアル・アーティストの Morgan O’Hara さんがたまたま横田さんを訪ねていらしたのですが、 O’Hara さんはその場でとらえた、ひとびとの印象や動きを 左右の手にした鉛筆で線描にしてゆくというとてもふしぎなアートを 制作しておられて、その打ち合わせの様子を描きだしてくださったのでした。 本づくりのアイディアが提案され、定まってゆく過程が 描線になってあらわれでている作品です。 ◆ 濃いとただの黒になってしまうし、薄いと字がかすれてるみたいに見えちゃう。 「これ、グレーに見えますかね」などとだんだんわけがわからなくなって 濃度設定にえらく時間がかかってしまった。生産ノルマがあるのに いやなカオひとつせずにおつきあい下さった図書印刷・沼津工場枚葉課の みなさん、ありがとうございました。 ◆ 和田シャチョーより「先生の遊びゴコロを見た!」の発言アリ。 ◆ さりげなーく造本にお金のかかった本なんであります。 ちょっと高いけど、ゆるしてくれたまえ。 所持しているとじわじわとその良さが伝わってくることでしょう。 ◆ 平出先生と「バー・セントルム」をたずねる友人とはこの方です!)、 「is」編集長山内さんに深く感謝いたします。 |
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