◆目次
T さかしまの地理学
宇宙卵クンルンの謎
黄河の源流がひょうたんであること
不死の山〈崑崙〉への航海
地中海から来た火焔山
U 人工宇宙の遊び人たち
偽りの山・懐胎の山
リゾートにいたる地図学
見立てのある宇宙論
孔くぐりのルナパーク
円明園の噴水と永久機関幻想
金魚鉢の中の畸形宇宙
海上蜃楼圖譜
V 怪物たちの午後
中華風怪物の盛り合わせ
ことばと怪物
髑髏の幻戯
八戒、その漂白の旅
猪ッちゃんが喰うわよ!
「イラ・フォルモサ!」への旅
躍るテレメンテイコ
W 桃源郷の機械学
近代中国における電気とエーテル
中華風惑星カタログの旅
杞憂のゆくえ
月を見るサイ |
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←怪獣ラクダドリ!
唐代に西方の国から献上されたダチョウに、中国人は「脚がラクダのような鳥」ということで「駝鳥」という漢字を与えた。年月がたってダチョウが民族の記憶から消えても「駝鳥」の文字は残る。そして年月がたって「駝鳥」の文字情報から図像化を余儀なくされた絵師は、こんな怪物を生み出しちゃったんである。(V章ことばと怪物)より。 |
→はてさて、ではこの波間を泳ぐブタくんが何かっていうと、これは「海のブタ」−「海豚」、そう、イルカなのだ。「海豚」と「江豚(ヨウスコウカワイルカ)」たち。ラクダとちがってイルカは中国でも目にされていたはずなのに、なぜか彼らはイルカを海や江に投げ込まれたブタとして描く。そこんとこ、武田先生は「おそらくは<江豚>という二つの漢字の持つ魔力、そしてブタに似ているという文字情報に引きつけられて、<長江中に泳ぐ豚>という図像が確定してしまったのであろう。」と推論されるのであります。(V章「八戒、その漂白の旅」より)。 |
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