mineral 02-05
"Natural Neighbors vol.9: Minerals"
American Audubon Association,
Chicago, 1914
231×180mm, 48 color plates




オーデュポン・ソサイエティ編纂の"Natural Neighbors" の「鉱物編」。
この本はBirds, Plants, Animals, Minerals の4テーマから
なってる。egg03-05のタマゴ写真はそのBird編から。
カラー・プレートは48枚(購買部にそのうち14枚載ってます)。
図版のcopyrightはすべて1902, by A.W.Mumford, Chicago。

そこで気になるのが「htwi」鉱物王国号でも話題に
上がった鉱物博物画のルーツ探し。
この鉱石は、こういう描き方、っていう定型があるみたいなんだよね。
(あるいはたんに使いまわしっていうか・笑)。
鉱物博物画の系譜っていうの、スゴク知りたいんだ。

この本では2葉だけが写真ではなくて画なんだけど
from: Bauer's Edelsteinkundeと引用表記がされてる。
ドイツの本からの引用。


この下のサウス・アフリカ産ダイアモンドが
例のどの鉱物図鑑にもでてくるあの描き方!




和田維四郎「宝玉誌」(1889)
←2001年、東大の研究博物館でその鉱物コレクションの展示があった和田維四郎の「宝玉誌」(1889)の唯一のカラー口絵がこれ。ね、おなじダイアモンドでしょ。
この口絵は和田維四郎の「日本鉱物誌」(1904/2001覆刻・東京大学出版界)でも使われ、「鉱物界新教科書」(帝国書院, 1927/「htwi」参照)でも使われてる。
でもって、やはり「htwi」に掲載されているイタリアの博物書の2葉をみると維四郎大先生本の口絵の鉱石は全部そこにも載ってる。↓の「天文の話・鉱物の話」の瑪瑙も載っているので、維四郎大先生とイタリア図鑑のソースは同じなんだよな。


「天文の話・鉱物の話」
文藝春秋社
(小学生全集62) 1926



というわけで「和田維四郎鉱物展」のパンフを見直してみたら
なんだ、ちゃんと書いてある。

「和田の後継者として東京大学教授になった神保小虎によれば、
外国から購入した約150点の鉱物標本と教科書として
ドイツのヨハンネス・ロイニース著「博物学」
(Leunis' Naturgeschichte, 1870)
が一冊しか備え付けられていなかったといわれます。
(田賀井篤平<和田鉱物標本>展の開催」より)。
WEBは→ココ




とゆうことで整理しておくと
日本の鉱物博物画のルーツは、Leunis' Naturgeschichte, 1870.
オーデュポンの鉱物博物画の親本はBauer's Edelsteinkunde.

べつの系列でいくと、
Adolf Kenngot "Naturgeschichte des mineralreichs
fur schule und haus", 1886.
が踏襲しているのが、
Johann Gottlob von Kurr "Das Mineralreich in Bildern", 1858。

他に把握してるのが、
02-01/02-02のMeyers lexikon, 1897.



あ-、もっと知りたい。
鉱物博物画についてなにかご存じの方、ぜひご一報を!



ついでなので「和田鉱物標本展」のときの写真。標本じたいは立派すぎて??だったけど、和田維四郎大先生の標本箱や愛用品、研究室再現(ちょびっとね)はおもしろかった。(「いし好きいしろう…デキスギ」とか思ってましたが「つなしろう」でした。スンマセン)。パンフを読むと類い希な業績、類い希な才能、超人的な努力をした驚異的なコレクター、ということで維四郎せんせいも類い希に立派なんだけど、下のスモーキー・ピンクのフロア・スタンドがむしょーに気になったんであった。当時の流行かな。でもみょうに色っぽいよな。

で、後日わかったんだけど、やっぱり和田維四郎はトンデモナイ男でした。剛毅で色気があって「立派」じゃなくて「どはずれて」んのだ。くわしくは月兎社近刊の「エキセントリック・コレクター」を見ておくんなさい。(この本もドハズレる予定なのさー)。


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