Well, I said; but surely you would agree with Homer when he says, 'Modesty is not good for a needy man'?
Yes, he said; I agree.
Then I suppose that modesty is and is not good?
Clearly.
But temperance, whose presence makes men only good, and not bad, is always good?
That appears to me to be as you say.
Well, I said; but surely you would agree with Homer when he says, 'Modesty is not good for a needy man'?
needy=poor。agree with... は「…に同意する」「…に賛成する」。
Homer[ホウマー;ホーマー]とは、紀元前十世紀ころの古代ギリシャの詩人ホメロスのこと。『イーリアス(イリアッド)』『オデュッセイア(オディッセイ)』の作者と言われる。この2つは壮大な叙事詩で、西洋古典文学の雄とみられている。
「いいだろう、しかし、『困窮している者には控えめなのは良くない』とホメロスが言うとき、きっと彼に賛成できるね?」
Yes, he said; I agree.
「はい、賛成します」
Then I suppose that modesty is and is not good?
that節は、次のようになっていると推測できる。
Modesty is (good) and (modesty) is not good.
のカッコ内の省略である。
「それでは、控えめなのは善であると同時に不善でもあると私には推測できる」
Clearly.
「はっきりとしています」
But temperance, whose presence makes men only good, and not bad, is always good?
presence は present の〔名詞形〕。「存在(すること)」。今回は「影響」「影響力」。
whose は、temperance's のこと。
whose presence を it に代えて、whose presence makes men only good, and not bad, の部分だけを見てみると、
it makes men only good, and (it does) not (make) men bad,
だと考えられる。
「でも、人間を善にだけして悪にはしない節制は、いつも善なんだね」
That appears to me to be as you say.
“S appear (to O) (to be) C”で「Sは(Oには)Cのように見える」
as you say の as については、説明できない。多分〔接続詞〕の〔様態〕の使い方で、節全体を to be のC(補語)としているのではないか。
「それは、私にはあなたの言うとおりに思えます」
ソクラテス:
いいだろう。しかし、『困窮している者には、遠慮は良くない』というホメロスの意見に、君はきっと賛成してくれるね。
カルミデス:
はい、賛成します。
ソクラテス:
それでは、控えめなことは、善でもあって不善でもあるということになるが、どうかね。
カルミデス:
ええ、はっきりしています。
ソクラテス:
でも、節制は人間を悪に導かずに、善に導くだけだ、と言っているが、その節制はどんなときも善なんだね。
カルミデス:
あなたのおっしゃる通りだと思います。
「遠慮」と「控えめ」「謙虚」と場所によって日本語訳を変えたくなるのが modesty。できるだけ統一したいが、日本語が不自然になる。
これは temperanceにも言えること。「節制」ばかりでなく「節度」を使いたいときが出てくる。