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第18号 過去完了進行形

 Subject: 英語の文法と語法 018
    Date: Fri, 28 Jul 2006 06:50:00 +0900 (JST)
    From: Chick Tack
      To: Readers

=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英 語 の 文 法 と 語 法    No.018    20060728
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             ● 第 18 号 ●

………………
 Contents  (1)過去完了進行形
          〜過去のある一時点までの動作の継続〜

       (2)solution 〜to or of〜

       (3)more or less「多かれ少なかれ」


………………………………………………………………………………………………
(1)過去完了進行形
……………………………

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     過去のある時点までの〔動作〕の〔継続〕を述べるとき、
    〔過去完了進行形〕が使われる。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    ==============================
     過去完了進行形(past perfect progressive)
      「ずっと〜し続けていた」
     ------------------------------------------
     過去完了形=had+過去分詞
         +)   be動詞+現在分詞=進行形
     ------------------------------------------
           had+ been +現在分詞(Ving)=過去完了進行形
    ==============================

  (a) (×)At that time it was snowing for five days.
    (○)At that time it had been snowing for five days.
    「そのときには、5日間雪が降り続いていた」

  「どれくらい長く」という継続期間について述べるとき、〔過去進行形〕で
 はなく〔過去完了進行形〕が使われる。

  (a)の英文では、at that time という過去の一時点まで、「雪が降る」とい
 う動作が続いている。話題の過去の時点で、まだ降り続いていてもよいし、少
 し前に止んでいてもよい。


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  練習問題を解いていた。「私が到着したとき、みんなはテーブルを囲んで座
 っていた。口は空っぽだったが、おなかはいっぱいだった」という状況説明が
 あり、eat を〔過去進行形〕か〔過去完了〕か〔過去完了進行形〕にして  
 They に続く文でこの状況を表せ、というもの。

  (×)They had eaten.

  私は、上記のように書いた。食べるという動作が既に〔完了〕していると考
 えたのだ。解答は、

  (b) They had been eating.

  であった。少し前に終っている動作でも、それまで継続して行われ、その動
 作の影響が、そのときに明らかに残っている場合にも〔過去完了進行形〕は使
 われる。これに当たるのだろう。

  「みんなのおなかがいっぱいだった」が、「食べた」という動作の影響を表
 しているのだろう。そんな文法的解釈とは別に、「先に食べられてしまった人
 物の悔しさ(?)」がにじみ出ている英文だ、と感じた。


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     know, like, have など、動作よりも状態を表していると考
     えられる動詞は、過去の一時点までの〔継続〕を表すとき
     でも、〔過去完了進行形〕にはせずに、〔過去完了形〕に
     する。これらの動詞については、第3号の(1)を参照さ
     れたし。
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    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/001-010/egu003.html


  (c) (×)We had been knowing each other for ten years.
    (○)We had known each other for ten years.
       「私たちは10年間ずっと知り合いだった」


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 《やりすぎ》か。学んだので紹介しておく。

  (d) He had been standing by the window till he was called.
    「彼は呼ばれるまで、窓のそばでずっと立っていた」

  (e) The typhoon hit this area.  The tree which had stood there for  
   more than five hundred years fell down.
    「台風がこの地域を襲った。そこに五百年以上立っていた木が倒れた」

  同じ動詞が、〔過去完了進行形〕と〔過去完了形〕に使い分けられることが
 ある。

  人間が立ち続けられるのは、せいぜい数時間。仕事で10時間以上立ってい
 なければいけない人もいるかも知れないが……。それに比べ、木は10時間く
 らい立っていても、立っているうちには入らないくらい。

  このように、同じ動詞でも、「人間がずっと立っていた」という一時的な動
 作の継続には〔過去完了進行形〕、「木がずっと立っていた」という動作の継
 続というより、状態の継続に近く、「長く立っているのが当たり前」のような
 場合には、〔過去完了〕で継続を表す。このように使い分けることがある。

  これは、絶対的なものではない。例えば「人間が立ち続けていた」ことを
 He had stood for a few moments. と表す英文もある。


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  例文が少ないので、少々載せておく。

  (f) She had been watching him ever since he had passed her.
    「彼が彼女を追い越してからずっと、彼女は彼をずっと目で追っていた」
       (モンゴメリー著『赤毛のアン』中の英文を少し改変して掲載)

  (g) From the first moment of his settlement in the Danelaw the   
   northman had been passing into an Englishman.
    「北方人(ヴァイキング)は、デーン・ロー(デーン人の法制度下の)
     地域に、入植したその時点から、(徐々に)イングランド人へと変貌
     を続けていたのだ」(ジョン・R・グリーン著『英国民の歴史』より)

  《Note》pass には「(しだいに)変化する」という意味がある。


………………………………………………………………………………………………
(2)solution
……………………

  平成17年のセンター試験の第2問A問2は、

  (a) We have to find (     ) to the world's environmental problems.

    1.results  2.causes  3.solutions  4.benefits

  の4択問題だった。

  1の「結果」は意味がおかしい。2の「原因」のcause は、後ろに続く前置
 詞として、of が好ましい。to ではない。4は「世界の環境問題にとっての利
 益」と意味がおかしい。

  答えは3。
 「私たちは、世界の環境問題に対する解決策を見つけなければならない」

  多分、この問題は、単語の意味の違いで解けるのだろう。でも、調べてみて
 気になることがあったので書いておく。


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  “Longman Dictionary of Common Errors New Edition”
   ND Turton, JB Heaton 著 によると、
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#dce

  (b) (×)Let us hope that there will be a peaceful solution of   
      these problems.
    (○)Let us hope that there will be a peaceful solution to
      these problems.
     (上掲書P306のsolutionの項)
  「これらの問題の平和的な解決策があるだろうと、私たちに希望させてくれ」
   →「これらの問題の平和的な解決策が、きっと見つかるという望みを捨て
     ないでおこう」

  説明のところには、「“solution to a problem or difficult situation”
 と使い、of ではない」とある。明らかに、to は良くて、of はだめと言って
 いる。


  ところが、受験生が多く使っていると思われる『ジーニアス英和辞典第3版』
 の solution の欄には、

 ----------上記『ジーニアス英和辞典第3版』P1782 より引用-------------

  〔問題などの〕解答;〔困難などの〕解決策〔to, of, for〕;〈数〉解;
  解法| arrive at[reach] the 〜 to[of, for] the problem 問題の解答に
  到る/ He is seeking the best 〜 of the difficulty. 彼はその難事の
  最善の解決法を捜している。

 ---------小西友七・南出康世編集主幹---大修館書店-----引用終わり------
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#gej

  こちらでは、to の他に、of でも for でも良いとしている。あと、手もと
 には古い辞書しかないが、確認したら、of, to, for を記載しているものや、
 記載はないが、例文で of, to を使っている辞書もあった。
  solution of/to a mystery という例示がある古い英英辞典もあった。

  文献にも当たったが(古いものが多い100年前やそれ以前)、その限りでは、
 of が多かった。最近では、of は古臭い表現になっているのだろうか。事実、
 冒頭のセンターの問題では、to を使っている。

  to の部分を答えさせる問題ではないので、あれこれ詮索する必要はないの
 だが、ご存知の方があればご教授願いたい。


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(3)more or less
…………………………

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    ・more or less「多かれ少なかれ」「多少」
           「約」「だいたい」=about, approximately
           「ほとんど」=almost
           「基本的には」=basically
           「まあまあです」(独立して用いられて)
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  (a) All of us are more or less exposed to danger.
    「我々はみんな、多かれ少なかれ危険にさらされている」

  (b) They are more or less dependent on her.
    「彼らは、程度の差こそあれ、彼女の世話になっていた」

  (c) It's ten kilometers from here to the station, more or less.
    「ここから駅までは、だいたい10キロメートルです」


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
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●あとがき

  夏休みに海外へ出かけられる方もいると思う。私はパスポートも期限切れで
 出かける予定は全くないが、語学学習者にとって、海外旅行は何よりの刺激に
 なる。

  しかし、楽しいことばかりではないこともしばしば。「ここは日本ではない」
 ということをしっかり意識して行動してもらいたい。

  外務省は、外国旅行をする人や在外邦人向けに『海外安全ホームページ』を
 開設している。旅行を予定されている方は、一度ご覧になられると良いだろう。
  http://www.pubanzen.mofa.go.jp/

  コンテンツの中に、『海外邦人事件簿』というコーナーがある。日本人が巻
 き込まれた犯罪の内容が書かれている。知っているのと知らないのとでは大違
 い。心構えができて、そこにはない事例にも巻き込まれなくなる。
  http://www.pubanzen.mofa.go.jp/jikenbo/jiken_index.html

  旅行予定のない方も、読み物として楽しまれる(?)と良い。

  もうずいぶん前になるが、友人と出かけた旅行で、私も犯罪に巻き込まれた
 ことがある。http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/china/china414.html


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        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2006
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