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Hamlet4

なんとなくハムレットる

今まで何回かにわけて書き散らかしてきた独断と偏見だらけのハムレット考ですが、今回でえーと、何回目だったっけ、って、そんなことはどーでもいいです。たいしたことは書いていないので。
大雑把にまとめると、ハムレットってめちゃくちゃ面倒くさい男よねーとか、ロズギルってなんだか気の毒とか、ホレイシオってハムレットのことが好きすぎる とか、そんなどうでもいいことから、さらにはもっとどうでもいいハムレットの年齢設定から映画化されている数ではロミジュリに負けていることや翻訳者たち があえて避けてきた「生きるべくか死ぬべきか」の訳のことや、ロシアの現代版ハムレットは主役より亡霊や劇中劇の王様役がかっこよかったとか、全然まと まっていませんが、まあそんなところです。
さて、ハムレットのモデルは北欧の伝承物語サガに登場するアムレードという人物と言われていますが、ハムレットは世界中で翻訳されていて、北欧、つまりデンマーク、ノルウェイ、スウェーデン、フィンランドの四か国では名前がそのまま“Hamlet”となっています。もともと北欧のお話ということは素知らぬ顔。その他の西欧の国々でも、ほぼその表記が採用されているみたいです。
が、しかし、ギリシア語ではなぜか“Άμλετ”、イタリア語では“Amleto”、「h」はいったいどこへ行ってしまったのでしょう。

もしかして、これが先祖がえり?なわけないか。
ちなみに、フランス語では“Hamlet”ですが、発音すると「h」がどこかに行ってしまいます。「t」も。
そして、キリル文字を使う国の多くはГамлет、国によって若干スペルが違うこともありますが、「г」はラテン文字の「g」にあたります。こうなると、「h」はどこへ行ってしまったの、どころの騒ぎではありませんし、誰も騒いでいないし。
同じキリル文字を使う国でも、東欧のブルガリア語やセルビア語ではХамлет、「х」はラテン文字の「h」なので、めでたく「ハムレット」復活、というよりは、ロシアをはじめとするスラブ語圏の国々で「h」を「г」に書き換えてしまったんですね。見た目が似ているからではなく、発音の問題らしいです。そのあたりは、ロシア語をやっていれば習うことなのですが、日本人の感覚としては「h」が「g」になるなんて、どうにも納得できません。
ということで、相変わらず、どうでもいいことを書いていますが、ネットでいろいろ調べていたらハムレットの名前の表記が国によって違っているのが面白かったという、それだけの話です。

そういえば、何かのインタビューだかで、蜷川幸雄さんがシェイクスピアの「ハムレット」とカミュの「カリギュラ」は似ているとおっしゃっていたのを読んだことがありますが、確かにそうかもしれません。
ハムレットにしてもカリギュラにしても、狂気を装う、もしくは演じているうちに一線を越えてしまっているわけで、しかも、当人たちはそれに気づいていない節があります。
ハムレットの場合、父親の復讐という大義名分があったから「悪」とはみなされていないものの、巻き込まれる周囲はたまったものではありません。
一方のカリギュラはというと、最初から一線を越えていたと言えなくもありませんが、いやらしいまでに理性的で論理的で、しかも、自らを「悪」と認めるような台詞もあって、だからこそ始末に負えないし、やはり周りはたまったものではありません。
ただ、カリギュラの場合は自分の最期を見越してもいたし、実際のところ、暗殺の首謀者ケレアに自分を殺すようそそのかすようなこともしてい たので、周りを巻き込んで自滅していっても、不思議と悲劇とは思えないところがあります。むしろ清々しささえ感じます。はた迷惑な人であることには変わり ありませんが。
ハムレットの方は、「世に並びなき英主ともなられた王子」と嘱望されていただけに、なにかやり切れない気がします。
でも、ハムレットが優れた王子というのは他の登場人物の台詞にあるだけで、舞台の上ではくよくよ悩んでいたり、奇行ばかりで、あまり伝わら ないんですよね。父王が亡くなる前は素晴らしい王子様だったのでしょうけれど、オフィーリアに対するハムレットの態度は、まるで女の敵そのもの。上の「世 に並びなき〜」というのも、ハムレットとはほとんど面識のないノルウェイの王子のセリフで、ハムレット亡きあとのデンマークを引き継ぐ人物なので、リップ サーヴィスと受け取れないこともないですし。というか、そもそもこの二人が互いに評価し合っていることが謎。もしかしたら、王子様同士、通じるものがあっ たのかも。

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