No.70「歳をとると間違ってつながることがある

 暑い日が続きます。熱中症や頭がぼっとして起こす事故に注意しましょう。

 本を読んで目が疲れた時にメールが届きました。「やはりこの件はご希望の通り・・・」かねて気がかりだったことがうまくいったようです。早速関係先に問題が解決したと連絡してお茶を一杯飲んでもう一度メールと読んでみると「やはりこの件は慎重に検討し・・・」ええ!違うじゃん。何度読み返しても違う。仕方なく関係先に頭を下げて訂正の連絡をしたのですが、最初のメールは何だったのか。何が起こったのか。

 検討した結果間違ってつながったようだとの結論になりました。以前手の外科医をやっている時に切断した神経を縫ってつなぐことがあったのですが、神経を正確に縫合して元通りにしたようでも感覚を伝えるすごく細い神経は間違えてつながること、例えばJR線が東武線につながるようなことが起こります。やがて慣れて困らなくはなるのですが、触った感覚が違うのでしばらくは「何が違う」と不便を感じるようです。

 今回振り返ると目が疲れていて正確にメールの文章を読み取れていませんでした。読めなかったところを、暑さでぼっとしていた脳が適当にうめてしまった。もともと問題が解決すればいいのになと思っていたからでしょうが、勝手の都合の良い文章を作ってそれを事実のように記憶したようです。

 オレオレ詐欺とか電話でお金詐欺の話を聞きますが、騙される一つの原因に聞こえにくさから情報を自分で都合良いように間違えて記憶することがあるのかもしれません。子がトラブルで困っているのは都合は悪いことですが、本人にすれば滅多に連絡してこない子供が連絡してくれたことから、つながりやすいところにつながって騙されるのかもしれません。

 歳をとると若い時には想像もできなかったことが、面白いように起こります。子供の頃におじいちゃん、おばあちゃんが何か変なことやっているなと思っていたことがありました。自分がそうなるまでは理解できませんでしたが、今になってみれば納得できます。人間は間違える、特に歳をとると間違えることが多い。私も歳をとりましたので、間違えることが多くなります。間違いが起きないように、間違えても間違いに気づいてすぐに訂正できるように、何事も慎重に物事を進めていきたいと考えています。外来で時間をいただくことになるかもしれませんが、その分丁寧に診療しているとお考えいただきご容赦お願いします。



2025年07月28日