No.63「老いとがん」
今回の漢方仲間との勉強会のテーマは「がん患者」でした。以前はがんになると有効な治療法も少なくまさに死に至る病でしたが、最近は治療法が進歩して治るがんも多くなりました。だいぶ前に余命宣告を受けたと言っていた方が元気にテレビに出ているのを見ると、やはり長生きはしてみるものだと感慨深いものがあります。
勉強会で、がんの患者さんに何が起こっているのかを考えました。驚き、不安、痛み、怒り、妬み、悲しみ、絶望、諦め、宗教心、悟りなどですが、これらは老いでも同じことが起きるけどどこか違う、違いは何かと考えました。
がんは年齢とともにできやすくなります。老いと特に若い人のがんの大きな違いは周りに対する責任だと思います。若くしてがんに罹患した患者さんは子育てや仕事などそれぞれの責任から何としてでも治したい、死にたくないと考えるかと思います。しかし、老いでは期間の長短はあれ人生のゴールは見えており、生きたいと思っても周りに対する責任は軽くなっていることが多いのではないでしょうか。
高齢の方に「がんかもしれません。いろいろ調べましょう。」と言っても「もう年だからいいです。」と言われることはよくありますが、若い人ではまず見かけません。
だいぶ前になりますが、私が外科で研修医をやっていて、救急で来院された高齢の患者さんに「これは手術すれば助かります。手術しましょう。」と言ったら「もう歳だからいいです。思い残すことはありません。」と言われたのを「生きていれば何かいいことがあるはずです。そのために手術しましょう。」と手を握りながら無理やり説得して「先生がそうまで言うなら。」と手術しました。その後大変だったのですが何とか生きて退院されたのを思い出します。今なら違う対応もあったかもしれません。
老境に近づいて同期の仲間でがんで亡くなる者も多くなりました。私自身は前ほど生きることへの執着はなくなっているものの、生きていればさらに面白いものを見ることができるかもと期待する気持ちもあります。父が80歳過ぎた頃に「どこか旅行に行かないか?」と聞いた時に「もう見聞は広めんでよか。」と言っていたことを思い出します。そこまで生きていければいいと思う反面、何事も運命かなと思う今日この頃です。
勉強会で、がんの患者さんに何が起こっているのかを考えました。驚き、不安、痛み、怒り、妬み、悲しみ、絶望、諦め、宗教心、悟りなどですが、これらは老いでも同じことが起きるけどどこか違う、違いは何かと考えました。
がんは年齢とともにできやすくなります。老いと特に若い人のがんの大きな違いは周りに対する責任だと思います。若くしてがんに罹患した患者さんは子育てや仕事などそれぞれの責任から何としてでも治したい、死にたくないと考えるかと思います。しかし、老いでは期間の長短はあれ人生のゴールは見えており、生きたいと思っても周りに対する責任は軽くなっていることが多いのではないでしょうか。
高齢の方に「がんかもしれません。いろいろ調べましょう。」と言っても「もう年だからいいです。」と言われることはよくありますが、若い人ではまず見かけません。
だいぶ前になりますが、私が外科で研修医をやっていて、救急で来院された高齢の患者さんに「これは手術すれば助かります。手術しましょう。」と言ったら「もう歳だからいいです。思い残すことはありません。」と言われたのを「生きていれば何かいいことがあるはずです。そのために手術しましょう。」と手を握りながら無理やり説得して「先生がそうまで言うなら。」と手術しました。その後大変だったのですが何とか生きて退院されたのを思い出します。今なら違う対応もあったかもしれません。
老境に近づいて同期の仲間でがんで亡くなる者も多くなりました。私自身は前ほど生きることへの執着はなくなっているものの、生きていればさらに面白いものを見ることができるかもと期待する気持ちもあります。父が80歳過ぎた頃に「どこか旅行に行かないか?」と聞いた時に「もう見聞は広めんでよか。」と言っていたことを思い出します。そこまで生きていければいいと思う反面、何事も運命かなと思う今日この頃です。