この道 : 国道151号線





 国道151号線は、長野県飯田市を起点として終点愛知県豊橋市に至る全長136.7kmの道だ。151号線が結ぶ長野県伊那地方と愛知県三河地方の間には古くから人や物の流れがあった。これに静岡県遠州地方を加えて、三遠南信地域と呼ぶ。より正確を期すのなら、南信=南信州(諏訪より南に広がる伊那谷)と東三河(愛知県の蒲郡市以東)と静岡県遠州地方の天竜川流域以西あたりの地域を指す。
 現在の国道網で言うとこれらの地域は、国道151号線と152号線が南北に伸びて、それぞれ南信と三河、遠州を結び、473号線が三遠をバイパスしているイメージになる。ただ、これら3路線は整備が行き届いているかと問われれば、そうでもないように思う。とにかく番号の大きい473号線の信頼度は語るに落ちるが、152号線でさえも全区間で2箇所の不通区間が存在しているのである。そして151号線であるが、この道も伊那地方と三河地方の大動脈として機能しているとは言い難い面がある。
 今回のレポートは、終点豊橋市から起点飯田市へと151号線をのぼっていく構成になっている。特に但し書きがない場合、写真は飯田市方向を向いて撮影したもの。
 上の写真は151号線の一応の終点・宝飯(ほい)郡小坂井町宮下交差点で撮影したもの。画面奥に延びて行く道が151号線、それと直交して左右に延びているのが国道1号線である。実は151号線はこの交差点で終わりではなく、終点豊橋市西八町交差点(写真で言うと右方向)までは1号線との重複区間という形で続いていく。西八町交差点は、国道23号線、259号線との交点だ。



 三遠南信地区を結ぶ既存国道網には、どうしても貧弱なイメージが付きまとう。そこで計画されたと思しき道路事業が、三遠南信自動車道計画。高速道路計画のご多分に漏れず、先行き不透明感の漂う事業だ。
 1号線から枝分かれしてしばらくの間、小坂井町内から豊川市へと走っていく区間の151号線は片側2〜3斜線の高規格道路だ。その意図するところは明確で、東名高速道路豊川ICと国道1号線、及び23号線を行き来する車を流そうとしているのである。それが証拠に151号線は、豊川ICを越えて北に数百mも進むと片側1斜線対面通行の道に化ける。豊川ICに差し掛かるまでの沿道には飲食店を中心に色々な店が建ち並んでいる。典型的な地方都市のIC接続道路といった雰囲気だ。
 対面通行になってからさらに200〜300mほども進むと、宝飯郡一宮町に入る。その名の通りこの町には、三河一宮・砥鹿(とが)神社がある。151号線に面した神社で、上写真の右手にある森がそうだ。



 対外的には砥鹿神社よりも豊川市内にある豊川稲荷の方が有名だろう。東京の豊川稲荷の本社で、日本三大稲荷の一つ。151号線からも近い。
 一宮町の北隣は新城市だ。一宮町との境界付近は田園地帯となっているが、少し進むと再び新城市の市街地に入る。新城市内の151号線は、一昔前までは中心部の古い市街地を横切っていたが、近年になって郊外地を抜けるバイパスが整備され、そちらが本線となったようだ。沿道に住宅は目立たず、比較的規模の大きな店舗が多い。整備された道と相まって、どことなく人工的な雰囲気の車窓風景である。
 新城のあたりまで来ると山が少しずつ道の方に近づいてきているのを感じるが、これがいよいよ視界を遮るまでに迫ってきたあたりからが、世に名高い設楽ヶ原の古戦場だ。151号線は古戦場の一部をかすめて走る。さらに進むと南設楽郡鳳来町に入り、数百m進んだところに長篠城址がある。城跡も151号線沿道にあり、すっぽんぽんの侍が磔にされている見ようによってはかなりショッキングな看板が立っているので、探すのはたやすい。




 長篠城についてはお城スコープ参照のこと。
 長篠から先の道は、豊川の流れによって形成された渓谷伝いに延びている。信仰の山・鳳来寺山や湯屋の温泉郷を左手に見ながら進路を北寄りに変えていく。路面の十数m下を川が流れていくような場所だが、道はそれほど悪くないので転落などの心配はさほどないだろう。
 さすがにこのあたりまで来ると大規模な市街地が発達している区間は無くなり、道は林間を延びている。目前に迫る山肌には剥き出しになった奇岩が目立ち、かなり自然が豊かになってきている感覚がある。
 ここまで道は少しずつ高度を増して来ていたのだが、鳳来町の外れ付近に差し掛かると長めの坂道が連続する。JR飯田線を右手に見ながら、北設楽郡東栄町へ。




 東栄町域に入ってもしばらくの間は、あいかわらず林間の道を突き進むことになる。しかし、新本郷・駒久保の2つのトンネルを抜けると、盆地に発達した東栄町の中心市街に差し掛かる。緩いスロープを下っていく途中で右前方に見えてくる街並みは、まるで箱庭のようだ。151号線は市街地の西側の縁を延びている。
 もっとも、この東栄市街もさほど広くはない。すぐにまた山深いところを走るようになり、道の斜度もきつくなってくる。東栄町周縁部の道沿いには、時々トーテムポールを思わせる木彫りの像が設置されているのが目に付く。どうやら奥三河地方に古くから伝わる伝統芸能・花祭りをイメージしたもののようだ。薄暗がりで見ると、結構ビックリしそうなデザインではある。




 東栄町内にある中設楽トンネル。右上部にあるレリーフは、花祭りに登場する鬼。この町の売りらしい。
 東栄町の隣は北設楽郡豊根村。愛知県の北の外れに位置する村だ。すでに東栄町内からそうだったが、ここまで来ると人家もまばらになってくる。151号線沿いには何軒か民家や商店が建っているが、集落といえるほど規模の大きな人家の集まりはほとんどない。左も右もひたすら森林が続くような場所である。役場や学校などの施設が集中しているのは、151号線から少し外れた山間部のようである。
 豊根村内の道沿いには、道の駅「豊根 グリーンポート宮嶋」がある。かなり小さな道の駅だが、これより先に少し進むと、道のりがかなり厳しくなるため、ここで一旦小休止をとった方が良いのかもしれない。




 道の駅「豊根 グリーンポート宮嶋」。個人経営らしい。
 豊根村の北部まで進むと、路面からセンターラインが消滅してしまう。まるで林道のようだ。ここから新野峠をはさんで長野県下伊那郡阿南町の中心部に入るまで、ずっとこのような調子が続く。対向車とのすれ違いをするためにはちょっと身構えなければならないような狭路だし、ヘアピンカーブが連続するため見通しもよくない。この区間を酷道と呼ぶことに疑問をさしはさむ余地はない。幸い、交通量はほとんどない。どうも151号線を通って長野県と愛知県を行き来する車は多くなさそうな雰囲気である。お世辞にも走りやすい道とはいい難いためだとしたら皮肉なものだが、この道が南信と三河を結ぶ主要路線の一つに位置付けられていることを考えると、少々頼りない。
 とは言え、少しずつながら道の整備工事が進んでいるらしい。今後はこの酷道区間にも改善が見られるかもしれない。



 
 阿南町には典型的な農村風景が広がっている。豊根から続く鬱蒼とした林間の酷道区間を走ってくると、視界が急に開けるので俄かに開放的な気分になる。町の中心あたりまで行くとセンターラインも復活するが、阿南町のそのまた先、下條村に入る直前までの山岳路区間もなかなか走りづらい道となっているので、油断は禁物だ。ループ橋で高度を稼いだり、見通しの悪いヘアピンカーブが連続したり、神経をすり減らす道行である。
 阿南町内にも道の駅「信州新野千石平」があるので、事前にここで休憩を取るのも良い。豊根のものよりも規模が大きく、売店・食事ともに充実している。




 道の駅「信州新野千石平」。三遠南信伝統の「御幣餅」がここの売り物となっているようだ。
 阿南町の中心部こそかなり開けているようだったが、そこを抜けて下條村に入ってからしばらくの間は、再び道沿いから人家が少なくなる。151号線は谷に面した山腹の高い位置を走っているのだが、集落はその谷底近くに発達しているらしい。下條村では率直に言って単調な沿道の風景の中でも、観光協会の「ようこそ下條村へ 峰竜太のふるさとです」というPR看板が強く印象に残る。
 道の駅「信濃路下條」を右手に見ながら、万歳大橋を渡るとそこから先が飯田市だ。さすがに市部だけあって、間もなく沿道に家々が建ち並ぶようになる。151号線は進路を天竜川近くにとりながら飯田市の中心部を目指す。途中、天竜峡などの近くを通る箇所もあるが、風景自体はごく普通の地方都市のそれである。



 飯田市の名産品・りんごにちなんだ「アップルロード」というかわいらしい愛称を付けられた国道153号線と交差し、151号線はJR飯田駅の方を指して進んでいく。古くからの飯田市街は、駅を中心にして発達したものらしい。盆地に発達した長野の街らしく、この中心部というのが結構な傾斜地上に立地している。平日昼間に訪問したため人出はそれほどでもなかったが、時間帯次第ではかなり賑やかそうな街だ。
 151号線の起点は、市街地の一角にある「中央通3・4丁目」交差点だ。ただし、ここに151号線の起点であることを示す標識の類は設置されておらず、唐突に始まるという印象は拭えない。飯田駅前は目と鼻の先という距離だが駅に接続するでもなく、他国道との交点という訳ではない。ここを起点とした意図がよくわからない、中途半端な位置である。
 全区間を走ってちょうど3時間ほどの道のりだった。








ロケ地:道の駅「豊根 グリーンポート宮嶋」
今回使用した車
ミラ(排気量:660cc)

国道151号線総括
 阿南町〜東栄町あたりの山岳区間が長いのだが、林の中を走っている時間が長くどうしても景観が単調になるし、走りやすい道でもないのでドライブコースにはあまり向かないかもしれない。 純粋な移動路としての利用も、この区間がネックになるか。
 上り坂が多いので軽のスペックでは結構苦しい箇所もある。


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